第34話語らい


 ー修行後ー


 修練場にて自分の術を真二に見せ自分の特性を把握した後少し早く修行が終わったので縁側に出て庭園を眺めながらゆっくりとしていると圭がやってきた。


「月兎君。今日はどんな訓練だったかな?」

「今日は取り敢えず自分の術を真二さんに見てもらいました。」

「鍛えるにあたって月兎君の事をしっかりと把握してないといけないからね。」


 そういいながら月兎の横に座った圭


「こちら側の世界は慣れたかな?」

「そうですね。勿論初めは怖かったですし今でも怖いときは怖いですけど慣れてもきましたね。」

「月兎君は元からこっちの世界にいた訳じゃないから心配でね。しかも宿しっていう変わった術を使うからね。」

「ありがとうございます。…そういえば宿しの術士って昔は迫害されていたんですよね?何でなんですか?」

「あぁ。宿しの奥義を見た人達から妖怪が化けていると思われたり、取り憑かれ人だとおもわれたりしてな。昔は殺されることもあったようだ。」

「なにも知らないとこわいですもんね。」

「確かにね。…そんな中雲居家の初代様が宿しの人達を集めて隠れ里を作ったのがこの場所の始まりなんだよ。」

「そうなんですね。」

「隠れ里ができてからは基本的に姿を消しながら暮らしていたといわれていてね。たまに宿しの噂や定期的に旅に出て新しい宿しの術士を保護して大きくなっていったんだよ。」

「そんな大きくなってばれなかったんですか?」

「マヨイガがあったからね。ばれることはなかったらしいよ。ただある時旅に出ている者がバレてね殺されそうになった事があったんだ。」

「それでどうなったんですか?」

「間一髪の所で協会が見つけてくれてねなんとか殺されずにすんでそこから雲居家は協会に所属することになったんだよ。」

「ということは協会には最近入ったんですか?」

「そうだね。雲居家は明治時代にはいってから協会に入ったからいわゆる協会で名家といわれている家では一番新参ものだね。」


 雲居家の成り立ちを聞き更に気になったことができたので聞くことにした月兎。


「協会はよく宿しの人を守りましたね。永らく迫害されていたなら協会の人も排除しようとしてもおかしくないですよね?」

「他の世界を知ったからね。言い方は悪いけど元々式神はあったから妖怪を使うという概念はあったし、外国には身体になにかを宿すやり方がポピュラーであったり、日本でもイタコなどが現れていたからもしかしたらと思ったらしいよ。」

「なるほどそうなんですね。」


 圭と2人で庭園を見ながら話していると夕食の時間になり里美が2人を呼びにきた。


「…お父様…ご飯。」

「そうか。じゃあ月兎君夕飯に行こうか。」

「はい。」


 こうして少し雲居家について親近感を抱く月兎だった。


 ー夕飯ー


「そういえば月兎さんはいま修行どんなかんじなんですか?」

「明日から実戦形式の訓練にはいります。」

「なるほどな。真二を倒せるようになったら次は俺との訓練だから楽しみにしてくれよ!」

「そうなんですか?剛君の学校は?」

「休めるから大丈夫だ!ちなみに俺も涼太兄さんもちゃんと奥義の三段階目までつかえるからな。安心してくれ!」

「すごいですね!三段階目って少ないって真二さんが言ってましたよ。」

「そうですね。確かに難しいですが雲居家の本家である僕たちは母と妹以外の父・僕・弟は三段階目まで成れますよ。」


 まだ高校生の剛や大学生の涼太が奥義の三段階目までつかえるということに感心した月兎は


「凄いな~。」


 と感心した。


「私達は仮にも本家だからね。直接戦闘をする訳じゃない妻や娘は別だが息子達や私は直接戦闘をするから出来る限り強くなる必要があるからね。雲居家としても前線に出ることもあるしね。」

「なるほど。強者の責任ですか?」

「正にその通りだよ。」


 改めて雲居家の凄さと名家としての責任感を再確認し凄い世界だなと思った月兎だった。

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