第33話修行パート6


 ー修練場ー


 真二の術を見たので次は月兎の術を見せる順番になった。


「じゃあ早速やっていきましょう。」

「分かりました。」


 そういうと的に向かって攻撃をする準備をする月兎。


「じゃあいきますね。毒三日月!」


 まずは一番使う術である毒三日月を使った月兎。


「遠距離攻撃ですか。この術はよく使うんですか?」

「そうですね。毒の種類を変えたり毒同士を混ぜたり色々とやり方は変えますが一番使う術ですかね。」

「どんな毒の種類があるんですか?」

「腐食毒・麻痺毒・出血毒・神経毒・溶解毒ですかね。後新しく昨日使えるようになった毒はまだ使ってないですね。」

「それはどの術でもそうなんですか?」

「はい。他にも毒霧や毒手、毒砲、毒雨が主に使う術なんですがどの術でも毒の調整ができます。」

「ではまず新しい毒を把握するところからいきましょうか。」

「はい。」


 そういうと新しい毒についての解説を破月が始めた。


『では毒の説明をするぞ。まずは凝固毒。これは液体を凝固させる効果があるもので主な効果は血液を固まらせるものだが毒を固まらせることもできるぞ。』


 そういわれた月兎は凝固毒を使ってみた。


「毒が固まるか…死刀【しとう】」


 そう唱えると毒が固まった刀が左手に現れた。


「これは…毒でできた刀ですか?」

「はい。新しい毒の凝固毒を使った術です。凝固毒は液体を凝固させる効果があるらしいので刀にしてみました。」

「なるほど。実体系の妖怪に強い術ですね。」

「そうですね。」


 そうして次の毒についての解説にはいった。


『次は睡眠毒だ。これはそのままだな寝てしまう毒だ。ただこの毒はあまり強い妖怪には効かない毒だな。』

「なるほどじゃあこの毒を使うとすると…毒息」


 月兎は左手を口元に持っていくと息をフーっと吐いた。すると左手からナニか飛んでいったのが分かった。


「今のは?」

「これは睡眠毒ですね。呼んで字のごとく寝てしまう毒です。」

「見えにくい毒ですしかなり危険ですね。」

「でも毒の飛翔時間が少なくすぐ地面に落ちてしまうみたいですね、的まで届きませんでしたし。しかも強い妖怪には効きが悪いみたいです。」

「なるほど。射程が短いんですね。」


 こうしてまた次の毒についての解説にはいった。


『次の毒は幻覚毒だ。この毒も効果は簡単で幻覚を見せる毒だ。この毒は蓄積すればするほど強い幻覚を見るようになる。』


「となると、毒針!」


 さっきの凝固毒と幻覚毒を混ぜた細い針を作り的に投げた。


「針ですか?どんな効果があるんですか?」

「相手に幻覚を見せるらしいです。この毒は蓄積が必要な毒らしいです。」

「何回も攻撃が必要なんですね。」


 そして最後の毒の解説にはいった。

『最後の毒は狂騒毒だ。この毒を使われた妖怪は敵味方関係なくなりふり構わず暴れまわり自分のからだが傷ついたとしても止まらずそのうち死んでしまう毒だ。』


「そうなると幻覚毒と似たような感じになるけど…毒弾!」


 今度は針ではなく毒の弾丸が的へ飛んでいった。


「今のは?」

「今のは狂騒毒という暴れだしてしまう毒を使った弾丸です。幻覚毒と違い何回も相手に当てる必要が無いので反動があってもより素早い弾丸状にしてみました。」

「なるほど速さ重視にしたんですね。」


 こうして新しい毒を使ったことを踏まえて真二が月兎の戦闘についてまとめた。


「月兎さんは搦め手から真っ正面な戦い両方できる印象ですね。しかしそれはあくまで肉体があるタイプの妖怪にであって実体がない妖怪には対処できなそうですね。」

「実体がない妖怪というのは?」

「幽霊や鬼火なんかの妖怪ですね。」

「なるほど。そういった妖怪とは戦闘を避けた方がよさそうですね。」


 と新しい気付きを得た月兎だった。


「そういえば先ほど薬としての術も覚えたといっていましたがそちらはどんなことができますか?」

「あぁ。えっと…どんなことができるかな破月?」


 と破月に聞くと


『まずは凝固毒を使った止血薬、麻痺毒を使った麻酔薬、睡眠毒を使った睡眠薬、幻覚毒を使った自白薬、狂騒毒を使った興奮薬、取り敢えずはこれぐらいだな。』


 言われた薬を真二に伝えると


「それは強いですね。特に止血薬と自白薬はぜひ雲居家にもほしいですね、実際に後で作ってくれませんか?」

「俺も作って感覚を知りたいんでぜひ作らせて下さい。」

「では後で作ってもらうとして今日はこの辺りにしましょうか。明日は実際に戦ってみましょうか。」

「分かりました。」


 こうして新しい力と自分の得手不得手が分かりやる気が上がった月兎だった。

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