第32話修行パート5
ー修練場ー
昨日また破月に新しい毒と薬を使えるようにするために噛まれたせいで寝たはずなのに疲れながら修練場に向かった月兎だった。
修練場につくと真二が色々と準備をしていた。
「すいません。遅れました。」
「いえ。少し準備をしていただけですよ。クマがでてますけど大丈夫ですか?」
「破月が新しい毒と薬を教えてくれたんですけど破月教えるとき噛みついてくるんですよ。それが大変で。」
「あ~。分かります。自分に宿っている雷獣…春雷【しゅんらい】といいますが、春雷も新しい術を自分に教えるとき身体中に電撃をはしらせますから気絶してしまいます。」
「ですよね?たいへんなんですよ。」
思わぬところで共通することがあり話が盛り上がった。
「取り敢えず今日はどんなことができるのかの確認が主な内容なので身構えなくても大丈夫ですよ。」
「ならよかったです。」
そういうと2人で真二が準備をした的の前に移動した。
「ではこの的に攻撃を繰り出してみてください。」
「?この的にですか?大丈夫ですか?」
「そうでした!初めてだととまどいますよね。大丈夫ですよ。この的は付与術を生業としている久遠家が作った術を蓄積し後に発散させる効果が付与されている的ですので壊れることはありませんからおもいっきり攻撃して構いませんよ。」
「そうなんですね。」
「実際にやって見せますね。宿しの奥義も観せますよ。修練にやる気がでるとおもいますし。」
「ありがとうございます。」
そうして真二の術を観るために少しはなれた所に移動した月兎。
「じゃあまずは普通に攻撃をしますね。地走り!」
そう真二が唱えると真二の足から雷が発生し地面を伝って的に当たった。
「す、すごい早い攻撃ですね。」
「雷は攻撃のスピードが早いのが売りでね。」
そう笑う真二の周りの地面はいまだに帯電をしているようでピリピリと音をたてている。
「次に行く前に少し宿しの奥義について解説をしますね。」
「解説ですか?」
「宿しの奥義には段階があります。」
「段階ですか?」
「はい。奥義その一は変妖【へんよう】です。」
「変妖?」
「はい。変妖は妖怪を宿している部分をその妖怪の姿に変えるものです。実際にやってみますね。」
そういいながら真二が軽くジャンプすると真二の足が雷に包まれていき雷そのものになっていった。
「これが変妖です。これでも術をつかいますね。飛雷【ひらい】!」
そう唱えながら真二が足を振ると先ほどより大きな雷が今度はさらに早く的に飛んでいった。
「このように変妖化すると更に攻撃が早く、また強くなります。」
「おお~。」
「今度は奥義そのニです。これは半妖といいます。」
「聞いたことある!」
「これは宿しの中では世間の言う半分妖怪で半分人間のことを言うのではなく奥義のことを指します。…ではいきますね。」
そういうと真二が雷に包まれていった。しばらくすると
「これガ半妖でス。」
といいながら手足に雷のリングをした獣人のような姿の真二が現れた。
「か、カッコいいです!」
「ありがとうございまスでハ術ヲ見せますネ。蒼天の雷」
そう真二が唱えると青色の雷がまっすぐ的に向かっていきバチッ!と大きな音をたてた。
「これガ半妖でス。」
そういうと真二は元の姿に戻った。
「ふぅ。やっぱりこの姿はつかれますね。」
「そうなんですか?」
「なれですね。ちなみに奥義その三は人妖【じんよう】といい意識を完璧に持ったまま姿は妖怪そのものの姿になることです。」
「?ならないんですか?」
「人妖は宿し全体からみて一割ほどしかなれないとても難しい術なので自分もまだできないんですよ」
そんなに難しいのかと戦慄していると、
「ちなみに変妖は全体の五割、半妖は全体の三割しかできません。」
「俺にできるようになりますかね?」
「自分が見る限り才能はあるので半妖までは確実にいけるとおもいますよ。」
「がんばります!」
「では今はどこまでやれるか見せてください。」
「分かりました。じゃあ準備しますね…ッ!」
「あぁ。すいません!まだ周りの地面が帯電したままでしたね。」
そういうと真二は足の爪先で地面を軽く叩いた。
「はい。これで地面の帯電は解除しました。じゃあやりますか。」
「は、はい!」
自分もいつかこんな強くなるのかと少し怖くなった月兎だった。
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