第30話修行パート3
ー食卓ー
お昼ご飯を食べた後すぐ寝ることが出来ないだろうということで少し夢の中での出来事について話すことになった。
「月兎君夢の中はどうだったかな?」
「はい。破月の過去について聞いていました。」
「聞いてどうだった?」
「どうして蠱毒に閉じ込められていたのかが分かりました。」
「宿した妖怪について知るのは大切なことだからね。」
「そうなんですか?」
「うん。妖怪は存在の定義が重要だからね。」
「存在の定義?」
初めて聞いたものに疑問を抱いた月兎が聞くと、
「妖怪や術は科学では説明できないだろ?じゃあ妖怪や術はどうやって存在するのかというと精神的な要素が重要になってくるんだよ。」
「そうなんですか?」
「ああ。もちろん精神的な要素だけじゃなくて地脈や気なんかも要素として存在するがほら、とある妖怪がある土地だと災いとして語られていても他の土地だと土地神として崇められて入ることがあるだろう?」
「聞いたことはあります。」
「なんでそんなことが起こるのかというと地脈から溜まった力に対して周りの生き物の感情等が混ざりあって誕生するからなんだよ。」
「そうなんですね。」
「あぁ。だから妖怪は周りの影響を受けやすいんだよ。」
初めて聞いたことに驚きながら破月に確認をした。
(破月って今の話って自覚ある?)
『まあ、言われてみたらお主に宿ってから優しくはなっただろうな。』
(確かにそんな気もしないでもないな。)
「月兎君?どうかしたのか?」
「いや、破月に今の話を元に性格が変わったって言う話をしてました。」
「性格が変わるか…月兎君は前鬼・後鬼を知っているかい?」
「いえ。」
「前鬼・後鬼は元は暴れる妖怪だったんだがとある術士の式神になり人に対して優しくなった妖怪だよ。」
「それって破月と似てますね。」
「破月にもおなじことが起こっているんだろうね。」
と破月のことについて話し合っていると、里美が
「…もうそろそろ時間。」
といった。
「そうだね。じゃあもう一回破月と話し合ってこようか。」
「はい。」
こうしてもう一回破月と話すために夢の中に入っていった。
ー夢の中ー
「ただいま。」
『戻ってきたか。どこまで話したかな?』
「蠱毒の中にいた破月のとこにナニかが来た所だよ。」
『そこか。…あの時は我も相当荒れていてなそんな中蠱毒の壺に入れられたのが大蝦蟇【おおがま】だったんだ。』
「大蝦蟇?」
『あぁ。カエルの妖怪でな、口から気を吐き出し触れたものを飲み込むといわれている妖怪だ。』
「カエルなら蛇の破月の方が相性いい気がするけど?」
『大蝦蟇は蛇も食べるぞ。しかもやつは槍も持っているからな。中々に狂暴なヤツだった。』
「戦ったの?」
『戦ったぞ。ヤツは我が毒を持っていることに気がついたのであろうなこの我のことを食べようとはせずに槍で攻撃的してきたんだ。』
「でも倒したんでしょ?」
『結果的にはな。ヤツは我が毒を持ち使うことは気づいていたが何に毒を含んでいるかまでは気づいてなかったようでな、我の血を吹きかけたら毒に侵されて苦しみだしたからな一気に食ったわ。』
「おおー。」パチパチ
破月に向かって拍手をした月兎だった。
『だが食べた後から異変が起こったんだ。』
「異変?」
『頭の中にな声が響くようになったんだ。』
「声?」
『そうだ。「苦しい。死にたくない。貴様のせいだ。」とな。』
「ずっと?」
『ああ。ずっとだ。なにもしてないときも戦闘しているときも食事しているときも寝ている時もだ。』
「それはキツいね。」
『気が狂いそうだったな。これも恐らく呪いの一種だったのだろうな我は順調に狂っていった。』
余りにもキツそうだったので言葉を失っていると、
『そこからは妖怪が定期的に入れられていくようになっていったんだ。』
「妖怪?」
『あぁ。オオムカデやら鴆【ちん】やら毒息やら毒を持っている妖怪をどんどん入れられてなどんどん食べていった。』
「強いんだね。」
『まぁな。だが食べれば食べるほど頭の中の声も大きくなっていったんだ。』
「…」
『そうしてあるとき気づけば我は水ではなく毒を使うものになっていた。』
こうして初めて破月が毒を使う理由を月兎は知るのだった。
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