第28話修行パート1
ー朝ー
チュンチュン
「ぁー、もう朝か。」
前日に早く寝たお陰で早く起きたのでトイレに行こうと部屋のドアを開けた月兎だったが
「あ、あれ?お風呂?」
なんと部屋を開けた先にあったのはお風呂だった。
「寝ぼけてるのか?」
そういって扉を閉めてからまた開けると今度は
「げ、玄関?」
玄関にでた。
「そういえば昨日真二さんがこういうことがあるっていってたな。どうしたものか…。」
どうしたらこの術から解放されるのか悩んでいると、
『目に力をためろ。そうすれば惑わされはしない。』
「目に力をためるってどうすれば良いの?」
『術を使うときと一緒だ。目に集中して意識を向けろ。』
破月に言われたように目に意識を集中させていくとナニかが目に集まっていくような気がした。
「ナニかが目に集まっていくような気がす…あ。」
『阿呆が、集中しろといっだろ。』
「ごめん。」
1度集中が切れてしまったせいでなかなか力をためることが出来ず1時間ほどたった頃
「…こんな感じか?…よし!出来たぞ破月!」
『ならその状態で扉を開けてみろ。』
破月に言われた通りに扉を開けると今度は普通の廊下にでた。
「やった!廊下に出れた!」
『ところでなんで外に出たかったんだ?』
破月にいわれてトイレに行こうとしていたのを思い出したら急に尿意がこみ上げて来たので急いでトイレに駆け込んだ。
「ふー。間に合ってよかったよ。大人の尊厳を失うところだった。」
『間に合ってよかったじゃないか。』
そうトイレの前で話していると真二がやって来た。
「月兎さん1人で歩けるようになったんですか?」
「はい。破月…僕に宿っている妖怪なんですけど、ソイツに術の破り方を教えて貰いました。」
「心眼の術が出来るようになったんですね。」
「心眼の術?」
「はい。マヨイガの術は幻術の一種なので心眼の術という幻術を見破る術を使うことで惑わされずに済むんですよ。」
「へえ~ここにいる人は皆出来るんですか?」
「いえ。雲居家の方達は長年マヨイガに住んでいるのでマヨイガに認められているので幻術にかかることはありません。他の方も案内をわたしがするので全員が出来るわけではありません。」
「じゃあそんなに出来る人はいないんですね。」
「えぇ。出来るようになるのも大変ですしね。」
そういわれた月兎は気になることがあり真二に聞いた。
「?1時間位で出来るようになりましたよ?」
「それは貴方の状態も関係がありますね。」
「状態?」
「はい。詳しい話しは朝食時に当主からお話があります。まずは朝食にしましょう。」
そういわれて真二と共に食卓に向かった。
ー食卓ー
「そういえば月兎君。心眼の術が使えるようになったんだって?」
「はい。自分は簡単に使えるようになったんですけど本来は難しいんですか?」
「そうだね。もし簡単に使えるようになったら世の中心眼の術使いで溢れるからね。」
そういわれて確かになと思った。
「じゃあなんで自分はすぐ使えたんでしょうか。」
「それは君が一番最初に宿した妖怪の状況が関係しているんだよ。」
「破月の状態?」
「ああ。鈴華ちゃんに聞いたけど消えかけの時に出会い憑かれたんだよね?」
「はい。」
「おそらくそれが原因だね。君達おそらく融合しすぎているよ。」
「融合しすぎている?」
「うん。普通宿しの術士が宿している妖怪の数は一体なんだよ。でも君が宿しているのは…」
「二体ですね。三猿を一体とするならばですけど。」
「そう。二体なんだよ。普通は二体なんて負担が大きすぎて宿せないんだよ。しかも君は妖怪から生命力を変換して受け取っているんでしょ?」
「はい。もしかしてそれも…?」
「ああ。普通はありえない。だってそうなったら宿しの術が世界最強の術になるよ。」
「確かに。」
「これらは君達が融合しているから起こることだよ。でもそのお陰で術の習得がしやすくて恐らく宿しの術の奥義も習得しやすいだろう。」
衝撃な事実を知りビックリはしたが当主から利点を話されると悪いことは無いような気がしてきた。
「デメリットってあります?」
「もしかしたら奥義の時に意識を奪われる可能性はあるが君は二体宿しているからもう一体との三猿がその辺は阻止してくれるだろう。」
『はい。我々があるじ様を守ります!』
『別に意識なんぞ奪わんわ。』
そう話していると涼太達も話しかてきた。
「い~な~。俺も簡単に術覚えてぇな。」
「月兎さんは本来俺らが守らなければいけない一般人だったんだぞ。スタートラインが違うんだ少し位優遇があっても良いだろ。」
「涼太兄さんの言う通りですよ。剛兄さんはもっと真剣に修行してください。」
「2人とも厳しいな。」
久しぶりにワイワイ朝食を食べることに楽しさを感じていると
「じゃあ月兎君一時間後に修練場に集合で。」
「はい分かりました。」
と当主に言われたので気を引き締める月兎だった。
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