第16話保護


 ー神社ー


 妖狐との戦いのあと化け猫家族の対応についてマスターに電話したところ人を送るので待っていてほしいと言われたため化け猫を監視しながら待つことにした月兎。


「なぁ。この化け猫毒かかってるけど大丈夫?」

『麻痺毒はほとんど解けているし後遺症もないから大丈夫だが心配なら化け猫に手をかざせ。』

「?分かった。」


 破月に言われた通り左腕を化け猫にかざすと手のひらから液体が振りかかった。


『これで良い。』

「!?今の何?もしかして毒?」

『アホが。薬だ薬。昔から毒と薬は切っても切れないものだ。』

「そうなんだ。てっきり苦しまずに殺すのかと思ったよ。」

『ならなぜ助けた。』

「そっか。」


 化け猫の毒を中和しているとゴリゴリマッチョでスキンヘッドの強面が近付いて来た。


「すいません。わたしは協会から派遣されてきた本郷 努【ほんごう つとむ】です。」

「えっと。中村 月兎です。この化け猫のことなんですけど。」

「なるほど。とりあえず回復させましょうか。」


 そういうとお札を化け猫に張り付けた。


「やはり回復のお札をもらってきてよかったです。」


 化け猫の回復を待っていると「ミーミー」と言いながら5匹の仔猫が現れた。


「この仔猫が化け猫の子供?」

『だろうな。しかしこれは…』

「ん?どうかした?」

「月兎君どうかしましたか?」

『どうやらこの仔猫達は半妖だなそのためまだ妖力が使えずに妖狐にみつかったのだろう。』

「破月…俺に憑いてる妖怪なんですけど、破月曰くこの仔猫達半妖らしいです。」

「なるほど半妖ですか。月兎君は半妖については?」

「分かりません。」

「半妖は読んで字のごとく半分妖怪のことをいい、小さい頃は妖力もなにも使えないが成長するとただの妖怪よりも強くなる傾向になります。」

「それで妖狐もも食べようとしてたのか。」


 化け猫の子供達について喋っていると化け猫の回復が終わった。


「回復できましたね。ではここから化け猫との交渉にはいります。」

「交渉?」

「はい。ではいきます。お願いしまします『さとり』」


 本郷が唱えると本郷の足元から人形の妖怪が現れた。


『!?この妖怪は!?』

「!?この妖狐は!?」

『心を読まれた!?』

「心を読まれた!?」

「さとり。月兎君の心を読むのは辞めなさい。」

『……』

「…あの本郷さん。この妖怪は?」

「この妖怪はさとり。心を読む妖怪です。」

「妖怪ってことは本郷さんも?」

「はい。使役系の術士です。私達の支部では月兎君が来るまでは私1人だけでしたからぜひあってお話ししたいと思ってました。」

「それは俺も是非したいです!」

「ではそれはまた今度しましょう。今は化け猫をどうするか決めましょうか。ではさとり。化け猫の心を読んで下さい。」


 そういわれるとさとりは化け猫と見つめあった。


『…怪我を治してもらった事は感謝している。妖狐のこともな。…お前達は何が目的だ。』

「まぁ強いて言えば我々に保護されませんか?」

『…保護とは?』

「あなたは姿を惑わす術が使えると聞きました。なのでとある場所の隠匿を手伝っていただきたい。」

『子供達はどうなる?』

「子供達を同じ場所に行っていただきます。子供達にもあなたの術を継承していただきたいですし。」

『我々に得は?』

「人に襲われなくなりますね。妖怪からも守られます。」

『…分かった。お前達についていこう。』

「そうですか。よかったです。では契約しましょう。」


 そういうと本郷は指先をナイフで傷つけた。


「これを舐めてくれますか?そうすれば貴方と繋がりができます。」

『分かった。』


 本郷の指先から出た血を化け猫が舐めると化け猫が、光輝いた。


「よし。じゃあさとり君はもう帰っていいよ。ありがとう。」


 そういうとさとりは溶けるように消えていった。


「じゃあ月兎君。帰って報告をしようか。化け猫達もついてきてね。」

「はい分かりました。」

『うむ。いくぞ我が子達。』


 そうして2人と6匹は神社を後にした。

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