第14話VS化け猫
ー住宅街ー
「この辺りにいるはずだけどどこにいるか分かる?」
『この辺りなのは確かだが気配が多くてな分かりずらい。』
協会から20分ほど歩いた住宅街にやってきた月兎だったが依頼された化け猫の探索に思ったより手間取っていた。
「今までは割りとすぐに見つけてたのにどうした?」
『今回の化け猫は気配を隠すのが上手いな気配の擬装が出来ている、そういう術が使えるようだな。』
「?化け猫は皆気配を消す術が使えるってこと?」
『いやこれはおそらくその化け猫の個性的なものだな。本来の化け猫は身体の巨大化が主な術だからな。』
「それは厄介だね。」
破月にも見つけられないとすればどうしようかと悩んでいると観月から『私であれば見つけられるかも』と言われた。
「観月だと見つけられるってどうして?」
『私は目でものを見極めることが出来ません。なので他の感覚である耳がとても良いのです。』
「なるほど。聴覚で探すってことね。」
『はい。というわけで集中しますね。』
というと右手に妖力が集まっていった。
『…見つけました!3つ目の交差点を右に行った所の公園にいます。ですがこれは…』
「なんかおかしいことでもあった?」
『たまにノイズのようなものが聞こえるのですが気のせいでしょう。』
『いや、少し待て。……うむなるほどどうやら化け猫だけが敵な訳ではないようだ。』
「どういうこと?」
『化け猫なんか比にならんぐらい力がある妖怪がいるようだぞ。気配を消しているのもそやつだな。』
「それって大丈夫なの?」
『よっぽどのことがない限り大丈夫ではあるとは思うがまぁ心配だったら様子見だけするか。』
「そうしようか。」
そういいながら公園に向かってゆっくり歩いていく月兎。
『今回の依頼はどんな依頼なんだ?』
「この辺りでペットが居なくなる事案が頻発してるんだって。最初は人間の誘拐だと思われてたんだけど妖力が検知されてたらしいよ。」
『化け猫とはなぜ分かったんだ?』
「目撃情報とか妖力の質から化け猫って分かったらしいよ。」
『となるともう1体の妖力が気になるな。』
「どんな妖怪がいると思う?」
『流石に分からんな。観月は分かるか?』
『そうですね…嗅覚的には恐らく獣系の妖怪だと思います。』
『であれば狐か狸だろうな。猫又の線もあるか。』
「そんな種類がいるのか。」
『はい。しかし近づいたことで分かったのですが匂いの質が違うのでおそらく猫又では…あるじさま!』
「ッ!あぶね!」
破月達としゃべっていると急に大きな猫が襲い掛かって来た。
「何処から来たんだこいつ!?」
『こやつやはり気配を消す術が使えているぞ気付けろ!』
いきなり月兎を襲った化け猫を見ると虎サイズの大きさだった。
「とりあえずコイツ倒していいよな!?」
『いや、まだダメだ。』
「何で!?」
『何か違和感がある。普通よっぽどのことがない限り違う種類の妖怪が協力することはない。』
「そうッ!なのッ?じゃあッ!何でッ?」
『うむ。何か訳があるのだろうな。それが知りたいから適当に追い込め。』
「ムズッ!」
化け猫からの攻撃をかわしながら破月に無理難題を突き付けられどうしようか悩んでいると
『あるじさま私達を使ってください。』
「どうすればいい!」
『私達3匹の内使いたい力を意識しながら右手に集中してください。』
そう言われた月兎は観月のことを意識しながら右手に集中すると右手の猿達が消えていき大きな目が現れた。
「目が出てきたけどこれを目に当てれば良いのか!?」
『はい。そうしてくれれば相手も視覚を失います。』
「分かったッ!」
そう言いながら自分の目を右手で塞ぐともちろん自分も目が見えなくなったが化け猫もいきなり目が見えなくなったのでとても焦っていた。
「ギャウウウウウ」
「破月!俺の目になれ!」
『分かった。あと左腕の主導権を渡せ。自動で攻撃する。』
「分かった!」
『ではまず左に1歩前に5歩進め。』
「了解!」
破月に言われた通り左に1歩前に5歩進むと左腕が独りでに動き化け猫が「ギャッ!」とさけんだ。
「どうなった?」
『一応毒はつけた。もう目は戻していいぞ。』
「分かった。」
右手を目からはずすと前足が傷つきその傷をなめている化け猫がいた。
「どうなる?」
『分からんがちゃんと傷はつけた。一筋縄では行かないと分かった以上恐らく逃げるだろうな』
破月とはなしていると化け猫が、溶けるように姿を消した。
「!?逃げたぞ!どうする!?」
『大丈夫です。今ここからはなれている音は聞こえています。追いかけていきましょう。』
「分かった。案内してくれ。」
『はい。』
そう言いながら化け猫の後を追いかける月兎達だった。
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