第12話三位一体


 ー契約の間ー


「で?この3匹の猿はいったいどんな能力を持っているのかしら。」


 そう言いながら雫は耳をふさいだ猿を撫でている。


「多分だけど見ざる・言わざる・聞かざるね。」


 そういっている鈴華は口をふさいだ猿を抱えている。


「へぇ~。どんなことが出来るんだろう?。」


 月兎はそういいながら目をふさいだ猿をじっとみていた。すると目をふさいだ猿が語り出した。


「我らは見ざる・言わざる・聞かざるです。我らはあるじが自分の目・口・耳をふさいだ時にそれをみている者の目・口・耳もふさいだ状態にすることが出来るというものです。」


「へー。自分も使えなくなるんだったらあんまり使い勝手良くないな?」

「そんなことはないわよ。例えば雫のような遠距離系の力の使い手は詠唱することで威力が増したりさせることとかするけどそれが防げるのでしょう?使い方によっては強いわよ。」


 いまいち見ざる・言わざる・聞かざるの強さを見いだせていない月兎に強さの解説をする鈴華。すると「この子達の名前はどうするのですか?」と雫に聞かれた。


「う~ん。名前か~。どうしよ。」


 月兎は見ざる・言わざる・聞かざるの特徴から名前をつけることにした。


「う~ん。見ざるは観月【みずき】、言わざるは葉月【はずき】、聞かざるは鬼月【きずき】にします!」

「意味はどういう意味なの?」

「はい。観月はシンプルに観るという字からとって観月に、葉月は言葉と言い字の葉からとって葉月に、鬼月は聞くという言葉の音からとりました。ちなみに月は僕の名前から取りました。」


 そう名前の理由を二人に説明した。


「じゃあ観月・葉月・鬼月の3匹は月兎くんのどこに宿るの?」と鈴華が聞くと3匹は目線をあわせてなにやら会議はのようなものをし始めた。


「二人はこの後どうするの?」

「私はもう少しここに残って今日の修練の反省をするわ。」

「俺は明日も会社があるのでもう帰ります。土日になったらここの支部に来ますね。」

「分かったわ。」


 そう3人でこの後の予定を離していると「決めました。出来ればあるじの右手の甲が良いのですが出来ますか?」と聞かれた。


「無理だよ!俺会社あるし入れ墨だと思われたら下手したらクビだよ!」

「だったら身体に入れ墨をいれるような術士用のカモフラージュ人工肌があるからそれを配布するわよ?」

「そうですか!ならば手の甲が良いのですけど良いですか?」

「…まぁ良いよ。」

「ありがとうございます。では早速!」


 というと3匹は月兎の右手の甲に吸い込まれていった。


「じゃあこれで一旦ある程度の話し合いとかは終わったね。」

「じゃあ今日はこれまでということで。」


 そういうと月兎は新しい仲間をくわえて家に帰った。


 ー夢の中ー

(これは…夢の中か久しぶりだな)

『であろうな。』

 聞こえた声の方を見ると相変わらず大きな破月がいた。


(会うのは久しぶりだね。何で俺はここにいるの?)

『新しい者がはいってきたからな、顔合わせだ。』

(意外とマメなんだね)


 そう笑いながらいうと『笑うな喰うぞ』と怒られた。


『もし、あるじここは我らの先輩の空間ですかな?』二人が振り向くと観月だけがこの空間にいた。


(あれ?後の二匹は?)

『葉月は喋れないのでおいてきました。鬼月は聞こえないので話し合いにはそもそも参加しません。』

(そうなんだ。大変だね。)

『意外となれるものですよ。ところで先輩の名前はたしか破月殿とおっしゃられるのですね。今後ともよろしくお願いします。』


 そういうと観月は頭を下げた。


『うむ。よろしく頼むぞ。お主らもまだまだ本気ではないようだしな。』

『流石夜刀神様です。気づいておいででしたか。』

(そういえば契約の間でそんなこと言われたな。)


 月兎は契約の間での事を思い出していくと確かに力に耐えられないだろうから最初は力を分けると言われたことを思い出した。


『いまはまだ本来の力を出すことはできませんがいつか本当の姿であるじさまに会える日を楽しみにしてます。』

『我も楽しみにしているぞ』


 その声を聞きながら意識を落としていった。

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