第11話いろいろな決定


 ー支部長室ー


「と言うわけで二人の戦いを見た結果月兎君5等級からのスタートね。」

「5等級?」

「えぇ。妖怪には等級が5~特の6段階あるのよ。貴方は5等級の妖怪を倒せるくらいだから5等級スタートよ。」

「一番下ですか…。」

「がっかりしないで、普通協会に入ったばっかの人は5等級にもなれずに研修からだから。」

「生き死にかかってますもんね、そりゃそうだ。」

「5等級からなんて珍しいのよ?貴方の前は隣でしょげてる子だもの。しかもその子は小さい頃から実家肝いりで鍛えた結果だしね。」


 それを聞いた雫が目線を落としたまま

「…それなのに引き分けてしまったわ。」

 と言った。


「しょうがないわよ。この世界は弱肉強食。大体今の貴方は4等級なのに5等級に負けたなんて下手したら降格よ?」

「ごめんなさい!」

「全く…罰として何個か人気のない依頼を受けてもらいます。」

「はい。」


 鈴華の雫への説教がひとしきり終わると今度は月兎と話し始めた。


「月兎君と契約した妖怪はどんな妖怪なの?」

「よく分かんない蛇の妖怪です。」

「分からない?本人に聞いてみたら?」

「そうですね本人に聞いてみ『夜刀神【やとのかみ】だ』…夜刀神って言うらしいです。」

「あら、曲がりなりにも神様じゃない。のわりに力が弱いわね。」

「俺の先祖がふざけて最近まで蠱毒にいれてたからだと思います。本人も言ってたし。」

「それでなのね。本来夜刀神って水の神なのに毒を使っている謎も解けたわ。」

「てか破月って水の神さまだったんだな。」

『今はかなり変質してしまったがな。』


 すると今度は雫が月兎に質問をした。

「ところでどういう契約をしたの?」

「破月と?」

「うん。」

「倒した妖怪を食べさせることだよ。食べることで力を取り戻すんだって。」

「貴方に対する恩恵は?」

「破月が取り込んだ妖力の2割を生命力に変換して俺にくれてます。うまく行けば不老長寿らしいですよ?」


 それを聞くと鈴華は顔をしかめながら「それは誰かに言った?」と聞いてきた。


「いえ。まだだれにも。ダメですか?」

「えぇ。不老長寿が完璧にいない訳ではないけど珍しいからね。いまいる不老長寿は5人だけど全員特級だからね。」

「それは凄そうですね。」

「凄いわよ。彼等は一人いるだけで国を落とせるって言われてるしね。」

「凄いっすね。」

「だから誰にも言っちゃダメよ。」

「分かりました。」

「じゃあ今度は契約の間に行きましょうか。」

「契約の間?」

「そうよ。本来の式神使いや宿しの人達は契約の間で妖怪なんかと契約するのよ。」

「へぇ~俺って出来ますかね?」

「妖怪以外にも神獣や妖精・精霊なんかとも契約できるからね。可能性はあるわよ。」

「まじっすか!?楽しみです!」

「二人とも行くわよ。」


 ー契約の間ー


 床に幾何学模様がはいっている部屋をみて「へー契約の間ってこうなってるのね。」と雫が言った。


「契約の間初めてなの?」

「だって召還系の術士じゃないと用がないもの。」

「そうかじゃあ珍しかったりする?」

「そうね。そもそも召還系の術士が少ないこともあるけどね。」

「そうなんだ。」


 月兎がなんとなく優越感を味わっていた所にごそごそ壁一面にお札を貼っていた鈴華が「準備できたわ!」といった。


「よし!じゃあ月兎君この模様の中心に立ってくれる?」

「はい。」


 少し緊張しながら立つと鈴華から「じゃあ私が言ったこと繰り返してね。」と言われた。


「じゃあ行くわね。『 我望む 我と共にある者 我望む 我に力を授けし者を』。」

「『我望む 我と共にある者 我望む 我に力を授けし者を』。」


 詠唱を唱えた瞬間に幾何学模様が光り壁に貼っていたお札が一斉に燃え出した。


「月兎君大丈夫!?壁の札が燃えたことなんて今までないわ!もしかしたらかなり強いなにかがでてくるかも!」

「わ、分かりました!」


 明かりに目が眩んでいると何処からか声が聞こえてきた。

『ほぅ。おまえ面白いな。力を持つものがかなり混ざっているな。』

(混ざってる?)

『あぁ。このまま行けばお前は世界最強にもなれるだろう。何を望む。』

(可愛いお嫁さんと一軒家とペットがいれば良いです。)

『フハハハハハ。ある意味欲望に正直だな。よし!力を貸してやろう!』

(本当ですか!?)

『うむ!だがいまの貴様には無理だ。からだが耐えられずに爆発するからな。』

(じゃあどうすれば良いですか。)

『こうしよう。今は我の力を3匹に分けてお前に宿す。俺に耐えられるようになったら進化するようにしよう。』

(ありがとうございます。)

『では目覚めよ!』

(待ってください貴方はいったい)

『…それは進化後のおたのしみとしよう。…いや、ヒントだけだそう。俺は過去に人と過ごしていた。さぁ。当ててみよ!』


 そういうと声は段々聞こえなくなって言った。


「…くん!月兎くん!」

「え?」

「大丈夫!」

「はい。ッ!そんなことよりいったい何が召還されたをだ…」


 そう思いながら目の前を見ると。


「「「キーー」」」

「さ、猿?」


 3匹の猿がいた。






 さぁ。何に進化するでしょうか?当ててみてください!



 あと、週間ランキングに乗りました!522位ですが初のランキング!嬉しいです。ありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る