第10話月兎VS雫
ー修練所ー
二人は喫茶店の地下いた。
「さ、ここで月兎さんの強さを測らせてもらいます。」
「いきなり戦えといわれても…」
「たしかに急かもしれないですけどどちらにしても協会としては月兎さんの強さを知ることで仕事の割り振るレベルを決めたりするので必要なことなんですよ?」
「それはそうか。」
うまいこと丸め込まれたような気もしている月兎だったが、必要なことと言われると余り強く言えなくなってしまい、渋々戦闘の準備をするために左腕の破月をあらわにした。
「あら。そちらの妖怪が月兎さんに憑いた妖怪かしら。」
「はい。破月って言います。」
「名前をつけてるのね。」
「変ですか?」
「いえ。名前をつけると宿主と妖怪の間に繋がりができて妖怪がやられてしまっても復活ができるようになるらしいですよ?」
「そうなんですか!破月はまだちゃんと実体化できないんですけど出来るようになるのが楽しみです。」
『まだまだ出来んがな。』
(ま、ゆっくりできるようにしていこうや。)
「では準備はよろしいですか?」
「はい。二人きりで大丈夫なんですか?」
「はい。ここの支部長は遠見の術でこの戦いを視ますので。…では始め!」
そういうと雫と破月はお互いに一旦距離をおくと雫は懐からお札を出すと月兎に向かって投げた。
「っと。危な。」
月兎は左腕に腐食毒を纏うと毒を液体に変えお札に飛ばし溶かした。
「流石にそう簡単には終わりませんか。では次です。『かしこみかしこみ申す…』」
「詠唱ですか?させませんよ!」
雫が詠唱を唱え始めたため月兎は慌てて麻痺毒の煙幕を雫に放った。
「やはり詠唱はさせてくれませんか。」
「やっぱ詠唱とか技名とかあった方が良いんですかね?」
一時戦闘の手を止めながら気になったことを聞く月兎。
「えぇ。そうですね。そうすることによって味方への誤射の防止や威力の増加が期待されます。」
「へぇ~。じゃあ俺もしてみますか。ちょっとやってみたかったんですよね~。」
そういうと左腕に今まではで一番腐食毒を集めるとその腕をおもいっきり振り抜いた。
「毒三日月!」
振り抜いた腕から液体状の毒が三日月状になりながら雫に飛んで行った。
「ッ!いきなり出来ますか普通!?」
そう言いながら雫は勢いよく地面を踏み抜きながら「岩壁!」と唱えると雫の前に大きな岩が現れ毒三日月と「ドガン!」と激しくぶつかった。
「おおよそ毒の威力ではないですね。」
そう言いながら岩の裏から雫が出てきた。
「視てください。岩溶かしてますよ。ぶつかる威力以外にも毒としての効果もあるなんて厄介ですね。」
「じゃあもっと行きますね!」
「分かりました!」
そういうと今度は左の手のひらを向けながら「毒槍」というとつらら状の固形になった毒が雫に飛んで行く。
「ならこちらはこうです!」そういうと雫も手をこちらに向けながら「水砲!」と言い巨大な水の球体を放った。
ズボッ!「ッ!」「ヤバ!」
毒槍と水砲がぶつかった結果なんと毒槍が水砲を貫通し雫向かってまっすぐ飛んで行き、水砲も月兎に向かって飛んできた。
「そこまで!」
そんなときいきなり修練所に一人の女性が現れ「結界!」と唱えると二人の前に半透明のドームが現れた。
「ふぅ。危なかったわね。雫ちゃん?貴方油断しすぎよ。」
「ぐっ。すいません支部長。」
二人の話を聞きながら突然現れた女性が支部長だろうと思った月兎はお礼がてら挨拶をすることにした。
「支部長さんですか?はじめまして中村月兎と申します。」
「はじめまして、私はここの支部長九条 鈴華【くじょう すずか】よ。結界術の使い手よ。」
そういいながら握手すると「じゃあ二人の戦いの結界を言うわね。」と言われた。
「まず雫ね。貴方はさっき言ったようにいくら練習だとしても油断しすぎよ。固形の物に対して液体なんてあぁなるに決まってるでしょ?しかも術を放った後もすぐ動けるようにっていつも言ってるでしょ。」
「すいません。」
「また重蔵さんに一から鍛えてもらいなさい。」
「はい。」
「次は月兎くんね。」と言いながらこちらを向いた。
「貴方は力をつけてからすぐここまで力をつけたのは及第点よ。」
「ありがとうございます。」
「でも貴方も術を使った後が隙だらけね。貴方が今までは倒してきた妖怪程度じゃあそれでよかったかもしれないけど強い妖怪だったら死んでるわよ。」
「…はい。」
「まぁその辺はおいおい出来るようにしといてね。じゃあ詳しい話は支部長室でしましょうか。二人とも付いてきて。」
そういうとどんどん歩いていく鈴華の後ろを肩を落としながら二人がついていった。
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