第9話協会とは


 ー車の中ー


「というわけでえぇっと…「雫で良いですよ。」雫さん。さっき話にでて来た協会とはなんなんですかね?」

「その前に月兎さんは野良の術士ですよね?ご家族に術士の方は?」

「居ません。ず~っと昔にふざけて蠱毒をした人は居ますけどそれぐらいですね。」

「なるほど。では協会のことは知りようもないですね。協会とは明治維新後の日本での陰陽師達の組織です。」

「結構最近ですね。」

「えぇ。ちなみに明治維新前は仏教・神道の二派閥がメインでしたが明治維新後にキリスト系も合流しました。その際に名称が陰陽師から術士になりました。」

「そんな種類があるんですね。」

「はい。そんな協会の主な役割はわれわれ術士のバックアップです。」

「バックアップ?」

「例えば、妖怪についての情報収集や先ほど使った人払いの結界の設置、依頼の割り振りなど多岐にわたります。」

「依頼の割り振りってなんですか?」

「妖怪と術士は遥か昔から居ます。そのため権力者の中にはわれわれをよく知る者もいます、そういった人物からたまに妖怪の退治などが依頼されることがあります。その依頼を割り振ることですね。」

「なるほどね。」


 協会についての説明を受けていると車が古びた喫茶店の前に止まった。


「お嬢様つきました。」

「ありがとう。」

「?ここは何処ですか?」

「ここは協会の支部よ話は中にはいってからで良いかしら?術士は協会に入るのが義務なので。」

「分かりました。」


 そういうとお嬢様と二人で喫茶店に入っていった。


 ー喫茶店(協会支部)の中ー


 カランカラン

「お嬢様、お久しぶりでございますな。」

「えぇ。新しい術士を連れてきたのだけど協会について話したいの。個室は空いてますか?」

「それは喜ばしいことですな。どうぞお好きにお使いください。」

「ありがとう。」


 雫はマスターと手慣れた会話をすると月兎と共に喫茶店の奥にある個室に入って行った。


「では話の続きですね。何かききたいことはありますか?」

「雫さんはどんな妖怪に憑かれているんですか?」

「あぁ。すいません術士のタイプの話ですね?」

「タイプ?」

「はい。術士はみんな妖怪に憑かれているというわけではないんですよ。」

「そうなんですか!?」

「はい。術士のタイプは大きく分けて3つに分かれています。まずは肉体タイプです。このタイプは、自身の肉体的を駆使し妖刀や対妖怪用の武術などを使う人達です。重蔵がそうですね。」

「へぇ~強そうですね。」

「銃で打たれても死なないですからボディーガードとしても優秀です。次が遠距離タイプですね。このタイプは、木火土金水や海外の魔法などを駆使する人達です。私はこのタイプですね。」

「ザ・ファンタジーって感じですね。」

「極めれば天地創造も出来ますからね。最後が特殊タイプですね。このタイプは、無機物に血からを付与する能力や結界を張る能力・貴方のような妖怪を宿す能力を使う人達のタイプです。」

「個性的な能力ってことですか?」

「えぇ。前の肉体タイプや遠距離タイプは100%とはいいませんが大体遺伝します。しかし特殊タイプは基本突然変異的に現れます。」

「そうなんだ~。じゃ俺ってもしかして珍しい?」

「はい。先ほどの話から聞くに貴方は【宿し《やどし》】と言われる術士ですね。」

「宿し?」

「はい。宿しとは、身体に妖怪を宿す術士のことを指します。」

「まんま俺だ!」

「宿しの術士はかなり珍しいので私も初めて見ましたがどうやって妖怪を宿したのですか?」


 月兎は雫に破月との出会いから契約についてを語った。


「なるほど。それはかなり珍しいですね。」

「珍しい?」

「はい。聞いた話によると宿しの方達は大体宿した妖怪と戦った結果認められて憑かれると言われています。しかし貴方は妖怪の生命維持のために憑かれているわけなんですね。面白いです。」

「そうですか?」

「更にいうと貴方に憑いた妖怪は使える毒の種類とタイプが多いのでかなり力が強い妖怪ですね。」

「それは良いのか悪いのか。」

「弱いよりましですよ。では少し試してみましょうか。」

「試す?」

「はい。私と少し戦いましょうか♪」

「え!?」


 月兎は思ったもしかしてバトルジャンキー?…と

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