第8話邂逅
ー夜中ー
「なぁこんな歓楽街に本当にいるのか?」
『あぁ。女郎蜘蛛はヒトガタになれる妖怪だからな。男を引っかけて喰らうタイプだ。』
「フーン。男としては怖いな。てか破月に言われてここに来たけどよくこの場所がいるって思ったな。」
『お主の記憶を読んだからな。』
「じゃあ俺のあんな記憶やこんな記憶なんかも視たのか?」
『…そんな記憶はなかったぞ。』
「は!?お、おまえほんとにみ、みたのかよ!」
破月と会話をしながら歩いていると人通りが少なくなってきた。
『おい。居たぞあそこだ。』
「…どこ?」
『あそこで酔いつぶれたフリをしているやつだ。』
「あれ?めっちゃ人じゃん。あんなの普通の人じゃ分かんないよ。」
『だから言っただろ。ヤツは介抱しようとしたヤツを狙っているんだろうな。介抱するフリをして近付け。』
「りょーかい。」
若干の恐怖はあるもののいたって自然に女郎蜘蛛に近付いて行く。
「おねーさん。大丈夫ですか?」
「う~ん?だれ?」
「通りすがりの一般人ですよ。」
「ふ~ん。ん!?はぎぞゔ!」
「え!?どうしよう。」
「あそこのビルの間に運んで。」
「分かったよ。」
月兎は言われた通り女郎蜘蛛を介抱していると
『恐らくこの先にはヤツの巣がある。気付けろよ。』
(まかせて。)
しばらく女郎蜘蛛を介抱しているといきなり身体の自由がきかなくなった。
「ウフフ。駄目よほいほいついてきちゃ。悪~い女に食べられちゃう。」
「それってまさかキミのことだったりする?」
「さて、どうかしらね。」
そう言いながらただの女性だった姿が顔は六つ眼になり下半身は蜘蛛の姿となった。
「みて?刺激的でしょ?」
「なかなかにね。じゃあこういうのはどう?」
そう言いながら身体に巻き付いた蜘蛛の糸を毒で溶かした。
「あら?それ凄いわね、今まで私のエサのなかにこんな力が使えるのはいなかったわ。」
「そうだろうね。」
「まぁいいわ。じゃあイタダキマス」
そういうと女郎蜘蛛は裂けた口を開きながら飛び掛かってきた。
「あぶなっ!」
「もう!避けないデヨ!」
女郎蜘蛛は何度も飛び掛かって来るが月兎はとある仕掛けを仕掛けながら必死に避ける。
「チッめんどくさいわねアナタ。さっさとクワレナサイ!」
「ぐッ!」
避けられるのを面倒に思った女郎蜘蛛は糸を月兎の足に巻き付けると思い切り引き寄せ月兎の四肢を蜘蛛の足でとり押さえた。
「やっとツカマエタわ。じっくり食べてアゲルわね?」
「それは無理だよ。」
「なんでそんなコトいうのよ。アナタは今私に取り押さえられ…て…いる…の…よ…」バタッ
「やっときいたかやっぱ気化した毒はちょっと効きにくいな。」
『ちゃんと効いたんだ別に良いだろ。』
「まぁな。」
月兎は女郎蜘蛛の攻撃を躱しながら気づかれないように少しずつ気化させた麻痺毒を吸わせていたのだった。
「クソガ!」
「こわ。じゃあさっさと倒しますか。」
そういうと左腕に腐食毒を纏うと女郎蜘蛛の頭を鷲掴みにした。
「ギャァァァァァァァァァ」
「よし。終わったか。確かに簡単だったな。」
『だから言っただろ女郎蜘蛛は腕力自体はそこまでだからな。ムッ!』
「どうした?」
『恐らく陰陽師が来るぞ!早く逃げろ!』
「まじか!分かった!」
月兎は急いで現場を後にした。
『完全に捕捉されている!追いかけられているぞ!』
「嘘だろ!まだ死にたくはないぞ!」
『我もだとにかく走れ!』
追いかけてくる陰陽師からから逃げていると人気のない場所にでた。
『やられたな。人払いの結界がはられている、追い込まれたな。』
「ハァハァ。どうするよ?」
『どうしようもないさ。敵対者でないことを祈れ。』
走り乱れた息を整えながら追跡者を待っていると美少女と紳士の二人組が現れた。
「やっと諦めましたか。はじめまして私は海野 雫【うみの しずく】と言います。」
「私は従者の佐藤 重蔵【さとう じゅうぞう】と申します。」
「…ご丁寧にどうも。じぶんは中村 月兎です。」
お互いの自己紹介が終わると雫が語りだした。
「貴方は野良の方ですよね?是非協会に所属しませんか?」
「協会?」
「はい。貴方や私達のような妖怪と戦える人材を守るのが協会です。知らないのですか?」
「なにぶん最近力を持ったもので。」
「そうですか、では協会について「お嬢様場所をかえては?」そうね。中村さん場所を変えてもよろしいですか?余り結界を使い続けたくないので。」
「分かりました。」
「では我が家の車で移動しましょう。付いてきてください。」
そういって三人は場所を移すのであった。
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