第3話憑きもの

 ー浴室ー


「えーーーー!えーーーー!なんか喋ってるんだけどーー!!えーーーー!」

『ウルサイ!』バチッ!


 月兎が騒いでいると急に頭が痛くなった。

「痛っ!」『イイカラ ハナシヲキケ』

「だって!よくわかんないけど喋るはずないものが喋ってるから!」『ソレニハ リユウガ…』

「ふぅ。つかれてるのかな?早くお風呂出て寝よ。」『マテ マダハナシガ…オイ…キケ…』

 月兎は手早く身体を洗い夕飯を食べる前に寝ることにした。


「母さん、俺疲れたから少し寝るよ。」

「はいよ。夕飯冷蔵庫に入れとくから起きたら勝手に食べてね。」

「は~い。」


 ー夢の中ー

 寝ているとなぜか自分が水の中に包まれているようか不思議な感覚になり、ここが何処か考えていると何処からか先ほど聞いた声が聞こえてきた。


『オイ』

(うわ!また声が聴こえる!…ってか俺寝てないっけ?)『ソウダ ココハ ユメノ ナカダ』

(じゃあ何で声なんか聴こえてるんだ?)『ソレハ ワレガ 憑イテイル カラダ』

(ついてるってもしかして憑いてるってことか!)『ソウダ』

(何で!?)『キサマト 契約 シタカラダ』

(契約?そんなのいつしたっけ?)『キサマガ ツボ ヲアケタ トキダ』

(そういえばそんなことした気もする!)


 確かに思い返すとそういった話をした覚えがあった。


(じゃあ契約の解除は!)『デキン』

(何で!?)『ソレハ 契約ガ 古ノ 契約ダカラダ』

(それだとどうなるんだよ!)『契約ヲ カイジョ シタケレバ 契約ノ リコウ シカナイ』

(契約ってどうすればいいんだ?)『ワレハ イマキエカケテイル ソノタメ生命力 カ 妖力ガ イル』

(消えかけてるってなんでだ?)『ナガイ アイダ ツボノナカデ フウジラレテイタ カラダ』

(封じられていた?)『ソウダ ヨクシランガ ワレヲ フウジタヤツハ ハヤリノ蠱毒 トヤラヲヤッテミル トイッテイタ』

(また迷惑なやつだなソイツ。てか生命力か妖力?てのはどうすればいいんだ?)『キサマノ 生命力 ヲ モラウカ 妖怪ヲ喰ウ コトデ 吸収サレル』

(生命力なんかやるわけないだろ!?しかも妖怪を食わせるなんて無理だろ!)『ナラバ キサマノ 生命力ヲ 喰ラウシカナイ』

(やだよ!)『シカシ ソウシナケレバ マンゾクニ カイワモデキン トリアエズ カイワガデキル リョウハ モラウゾ』

(は!?そんなのヤダぞ!てか妖怪なんか倒せないし!)『キサマニ シナレルノハ ワレモコマル チカラハカス』

(力って何するんだ?)『イズレ ワカル クワシクハ アシ…タ…』


 ー自室ー


「はっ!ハァハァ…。今のって夢か?いやまだ左腕に蛇の模様が取れてないし多分マジだったんだよな…最悪だ。」


 そう思いながらしばらくベットで項垂れていたが「とりあえず死にたくないし妖怪?をヤツに食わせなきゃいけないのか…俺戦いとか出来ないけど大丈夫なのか?」

「てか力を貸すって言ってたけどそれって何してくれるのかな?もしかしてなんかスーパーパワー使えるようになるのか?それは少し嬉しいな。」


 などと不安に感じながらもなにもしないと死んでしまうので自分を誤魔化しながらも動かざるをえなくなってしまった。そして色々考えに考えた結果。


「とりあえず飯食って寝るか。明日になればアイツからなんか言ってくるだろ。多分。」

「しかもなんか生命力吸われるらしいけど生命力ってどうやって回復するんだろ?てか出来るのか?なんとなくごはんとかで回復出来そうだからしっかり食っとこう。」


 1週回って冷静になった月兎はそう思いつくと、母親作ってくれていた夕飯を食べるためにリビングに降りていくと父親が一人でお酒を飲んでいた。


「おう。お帰り。おやじの遺品整理任せちゃって悪いな。」

「別に良いよ。てか遺品の骨董品の中になんかいわく付きのものってなかった?」


 ふとあの壺のことを家族が知っているか気になった月兎が聞くと。


「ん~。いわく付きか…そういえばむか~しのご先祖様が悪ふざけで当時流行りだった蠱毒とか言う壺に毒を持った生き物を封じ込めて作る呪い?に使った壺があった気がするな。」

(いやアイツがいってたヤツって俺のご先祖かよ!?)


 衝撃の事実に内心ビックリしていると父親は「まぁおやじは眉唾物だって言ってたし、その話をしたときもめちゃめちゃ酔ってた時だからな。当時はワクワクしたもんだが今となっては嘘だと思うがな。」と笑っていた。


 そんな父親を見ながら月兎は(それほんとだわ!)と心の中でツっこんでいた。

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