第2話蠱毒
ー次の日ー
「ふぅ。思ったよりスムーズに着きそうだな。」
実家に帰って来た時にしか車を運転しないので完全なペーパードライバーではあるが、恐る恐る運転をしなんとか祖父の家に着きながら独り言が口からこぼれた。
「とりあえず骨董品ぜんぶ居間にでも出しておくか。」
そう思い二階に保管してある骨董品を一階の居間に移していきいよいよ最後の骨董品を運ぼうとしたときに違和感を感じてよく見るとボロボロになったお札が箱に貼ってあった。
「なんだこれ?よくわかんないけど曰く付きってやつかな?中何が入ってるんだろう?っと!」
月兎がその箱を運ぼうとしたとき箱に貼ってあったお札が崩れてしまった。
「うわ縁起悪いな~。!」
その時ふと寒気がして箱を落としてしまい中から壺が飛び出てきた。
「思ったより綺麗な壺だな?高く売れそうな気がする。ラッキー!…ん?」
出てきた壺を見ていると中からなにやら乾燥した物や欠片が落ちてきた。
「なんだこれ?なんかの虫の羽か?でもしっかり箱閉まってたけどな?まさか初めから入ってたのか?…よくわかんないな。」
月兎が壺を抱えながら考えているとふと視線を感じた。
(ん?なんかさっきからどことなく誰かに見られてる気がするな。)
『キサマガ コドクノ 呪イヲ トイタノカ』
(!?なんだこれ!?どっから喋ってるんだ!身体が動かない!てかこどくってなんだ!?)
『アワテルナ ホントウナラバ キサマヲ タベル トコロダガ ワレハイマ ショウメツノキキニ ヒンシテイル ユエニキサマ二 憑カセテ モラウ』
(はぁ!?勝手にそんなこと決めるなよ!てかおまえってなんなんだよ!?食べるってなんだよ!?つくってなんだよ!?)
『ノンキニ シャベッテイル ヒマワナイ 憑カセテモラウゾ サモナクバ オマエヲ喰ゾ』
(!?良くはわかんねぇけど食われるぐらいだったらそのつくってやつにしてくれ!?)
『契約ハ成ッタ。 クワシイハナシハ マタアトデダ イマハ ネ…ル…』
(グっ!身体が熱い!左腕は焼け落ちそうだ!)
左腕にナニかが蠢くような違和感を感じた後、猛烈に体が熱くなり意識を失うのだった。
ー二時間後ー
ピンポーン、ピンポーン
「ん…何の音だ?…」
ふと失った意識を取り戻して時計を見ると二時間も経っていた。
「ヤベ!!鑑定士さん来たのか!ってかさっきの何だったんだ!?現実で起こったこととは全く思えないけど…。」
辺りを見回しても近くに落ちているのは壺しかなく何も怪しいものは落ちていなかった。
(夢だったのかな?にしてはリアルだったけどな。汗もかいてるし…「すいませーん!中村さんはいらっしゃいますでしょうかー!」それどころじゃなかった!)
「はーい!今行きまーす!。」
ー実家ー
その後鑑定を無事に終え、実家に帰ってきた。
「ただいまー!」
「お帰んなさい。鑑定どうだった?」
「まぁまぁだったよ。詳しい鑑定結果は二、三日後に電話してくるってさ。」
「分かったよ。あんた今日色々動いて汗かいたでしよ?晩御飯前にお風呂入っちゃいな。」
「は~い。」
そんな会話をしながら早速お風呂に入ろうと洗面所で着替えている時、ふと鏡を見ると。
「なんだ?左腕になんついてるな。角の生えた蛇?さっき意識なかったときにでもチラシでもふんで移ったのか?」
そう思って強く擦るが全然取れなかった。
「シャワーで落とすか。」
そう思いお風呂にはいってよく洗うが一向に落ちる気配がない。
「何がついたんだ?石鹸で洗っても全然落ちないな。」
『…!…!』「ん?なんか聞こえた気がするけど上の階にネズミでも出たか?」『…!…イ!オイ!』
「ッ!なんだ何処からか変な声が聞こえる!」
『ナニヲ イッテイル コノワレヲ アラッテイル ダロ』
「?洗ってる?俺自分しか洗ってないけ…ど…。」
そう思いながらふとさっきまで落とそうとしていた左腕の蛇がこちらを見ながら動いていた。
『ヤット キズイタ カ デワ アラタメテ ワレハ 「しゃ、しゃべったーーーー!!!!!てかうごいてるーーーーーー!!!!!」…ウルサイゾ オヌシ』
いきなりの事で何がなんだか分からなくパニックになる月兎だった。
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