第二十五章 覚悟しとけよ
◆ 黒速 次射 ◆
「美紀が休みじゃと?」
わしは
「うん、急にLINEで連絡があって・・・」
「不自然じゃな・・・」
やはり浅元から聞いたあのうわさのせいじゃろうか・・・
「黒速君、何か知ってるの?」
「ああ、浅元から聞いた話なんじゃが・・・」
本当は言うかどうか悩んでいた。これを聞いて傷つくと思ってな。じゃが美紀がこんな状況じゃ。もう隠すこともないじゃろう。
「大場美紀は校長に
小鮒さんは顔面蒼白の状態で何とか声を発する。
「えっ?美紀ちゃんが・・・・・・媚び売っている?」
「根も葉もないうわさなのは間違いない。じゃが見知らぬ人からすればそう見えるかもな」
「なんで!?」
「多分、わしらに勝ったことじゃろう」
わしはこの噂を聞いたときからこの可能性を考えていた。
「わしらのチームは発表者公表された時点で優勝確定だなんて言われていたほどじゃ。それが実際はおぬしたちの優勝。不満を持つやつが少なからずいるじゃろうな」
「そんな!!」
そうこう話していると遅延がこっちに向かってきた。
「ここまでの3日間、少しだけ調べたがどうも犯人は女子っぽいようだ。この事件、男子はほぼ関わっていないと見ていい」
「実際に犯行がいつから行われていたかじゃが・・・もう検討はついている」
「本当かい?」
「ああ、一週間前からじゃ」
「一週間前?それって文化祭が終わった一日目?」
「ああ、そこから噂はすぐに広まっておった。それにどうも美紀も少し変じゃったからな。元気がないというか・・・・・・無理に取り繕っている感じじゃったな」
「じゃあなんで助けてあげなかったの!?」
「本当にいじめを受けているのか情報が足りなさすぎる。それに万が一噂が本当だった場合、わしらは共犯だってことになるしな」
じゃからこの一週間、何も手を出さなかった。校長にも確認をしたが「決してしてないよ」という証言をもらい、録音させてもらった。
「いじめは机が濡らされていたり、下駄箱にごみくずがたくさん入っているのを想像していたが・・・思ったよりも過激のようじゃな」
すると遅延が思い出したかのように言い出した。
「・・・!そうか!噂を広ませた奴が今回美紀をいじめた奴だとしたら、噂を広ませた奴を特定すればいい!!」
すると遅延がカバンから何かを取り出した。コウモリのような形をした機械だ。
「この、『コウシュミレート』を使おう。これなら全校生徒の記憶を取り出して誰から聞いた話なのか分かる」
このままだと授業が始まるので一度席に戻ることにした。
―――一体だれがやったのか・・・浅元はわしらに情報提供してくれてるから可能性は0%に近い。じゃあクラスBの誰かか?
結局答えが出ないまま、昼食の時間となった。人の少ないところでわしらは集まり、昼食を食べ始めた。すると遅延が言い出した。
「さっきの話だけど特定できたよ。広めた人物は五名いる」
一人じゃないのか。するとこの五人全員が犯人、もしくは誰か一人が四人に広めたかじゃな。
「
「この五人に共通点ってあるの?」
「それが・・・・・・」
遅延が意味深にこちらをチラ見してくる。いやいやいやいやマジでなんじゃ?
「この五人、裏で『黒速ファンクラブ』を設立してるらしい」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?
「はああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ?」
「あれ、黒速君知らなかったの?」
「知るわけないじゃろ!!」
「まぁ次射は口調と趣味以外はほぼ完璧だからね。結構狙ってる子もいるよ」
マジかよ、いったいいつの間に・・・
「同じグループってことはこの五人が噂を広めた可能性が高いな」
「そうだね、彼らはいつもこの学校の空き教室を使っているらしい」
「・・・なるほどな」
「黒速君?」
「次射?どうした?」
なんじゃろうな・・・この感じ・・・なんだか懐かしいな。ざっと20年ぶりじゃろうか・・・
わしがこんなに『怒り』の感情をあらわにするのは!!
「なるほどなぁ!!」
久々の怒りで魔力が暴走している。近くにいた遅延と小鮒さんは魔力によって吹き飛ばされてしまった。若干理性がないように見えるがこれがわしの前世の若かれし頃の姿じゃ。
「クククククッ。ハハハハハハハッ!!!」
いつの間にか悪役のような顔になっていた。
「覚悟しとけよ・・・あいつらぁ!!」
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