第十九章 ケチで結構、コケッコー

◆ 黒速 次射 ◆

 学校に向かっている途中、ふと思い出したことがあった。一つはボーイスカウトの奴らにそろそろ会わないとな、と思ったこと。もう一つは体育祭の大玉転がしの時に出てきたベネブという魔物。奴の名前の横に(召喚)とあった。老衰の解除方法を探しているついでに見つけたが、(召喚)は人為的に呼ばれた魔物のことらしい。まぁ元からそうじゃろうと思っておったが・・・

 しかしそこで気になるのはいったい誰が召喚したかということじゃ。あの場にいたのは校長、教頭、伊勢盆、虎二、クラスB、クラスAのメンバーくらいか。校長はわしが退学になるのを防いでくれたから可能性はほぼない。クラスBやクラスAにそんな高度な技を使う奴はいない。となると教頭か伊勢盆か・・・

 そうこう考えていると学校にたどり着いた。まぁ今はまだ考えなくてもいいじゃろう。今、わしはそれ以上に大変なことが起きている。


そう、テストじゃ。

今日からテストが始まるのじゃが、別にテスト自体が問題ではない。問題は・・・


「あっ次射~!」


そうこう考えていると美紀がこっちに走ってきてる。そう、問題はこいつじゃ。


「今日も助っ人頼むね」

「たまには自分でやれ」

「ケチね」

「ケチで結構、コケッコー」


 こいつは戦闘能力は申し分ないが勉学が壊滅的なのだ。この高校はテストがなく、面接と魔法の属性検査を受け、実際に先生と組み手をやり、勝てたら入学できるという変わった学校なのじゃ。なのでこいつでも入学できたのじゃが・・・

 こいつのテストは小学校は40点、中学校は30点じゃった。マジでどうやってここまで生きてこれたんじゃ?


「そうだ、次射。久しぶりにステータス測ろうよ」

「は?なんで?」

「私たち、かなり戦ってきたでしょ?技能レベルもあがってるんじゃない?」


 技能レベルなんてものがあったとは驚きじゃ。わしは美紀から水晶玉を受け取りステータスを見る。しばらくして数値が可視化された。


黒速次射

Lv.110  技能レベル 14

属性:雷・老衰

HP553 MP802

攻撃力862 防御力85 素早さ922





「あんまし変わって無くないか?」

「確かに・・・」

「美紀はどうなんじゃ?」


そういって美紀に水晶玉を渡す。しばらくして美紀の数値が出た。



大場美紀

Lv.16  技能レベル 6

属性:身体強化

HP328 MP54

攻撃力173 防御力118 素早さ104





「元がわからんからすごいのかわからん」

「まぁ、確かに・・・」

「というかこんなのんきにしてはおれんぞ。遅刻じゃ!」

「やっば!本当じゃん!!ちょっと次射!“襲雷”使って!!」

「ふむ、頼み方というもんがあるよな?」

「うううううう!!」

「なんて冗談じゃ。行くぞい!!」


そしてわしは襲雷を使う。光より速いスピードで教室についた。



ちなみにその日の美紀のテストは壊滅的じゃった。

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