第十四章 決まってるでしょ?

「・・・みんな?どうしたんじゃ・・・?」


 みんな後ずさりしている。いったいなぜじゃ?と思っていた時わしは気づいた。わしの魔法がまだ発動していることに。


「あっ・・・」


 わしはさっさと魔法を解こうと思ったのじゃがなぜか解除できない。どうやら古代の魔法なだけあり、解除方法も違うようじゃ。


「うぅ~~」

「く、苦しい・・・」


 わしの周りに残っていたAクラスのやつが老衰の効果を受けてしまい80歳ほどになってしまっていた。

 わしはとりあえずみんなのところから離れることにした。これじゃあまともに学校生活できんわい。そう思ったからじゃ。

わしはゼクターマシンで飛翔を発動して旅立った。


————その後わしが皆の前に姿を現すのは夏休みの途中じゃった・・・



◆ 大場 美紀 ◆

 次射が私たちの前から消えて2か月が経とうとしていた。次射は家にも帰っていないとのことだった。虎二さんに聞いても「まだ見つかってないんだ」と言われる。

次射がいなくなった後、体育祭の結果発表があった。結果はBクラスの優勝だった。けど一番の功労者はいない。結局賞金の100万円は誰も使うことはなかった。

そして今・・・

 私たちBクラスで次射を探す旅をしていた。魔法高等学校の校則は厳しく体調不良以外の欠席が3か月以上あれば強制退学させられるのだ。そうしないために次射を探していた。4泊5日の次射探しの旅である。虎二さんからゼクターマシンをいくつかもらったので旅は苦労なく進んでいた。しかし3日経っても次射は見つからなかった。もうちょっと捜索範囲を広げようという話となり、4日目からは学校周辺だけでなく学校を中心に市内全体を探していた。

 だが4日目も結局見つからなかった。ついには学校側も「もうあきらめろ」なんて言い出した。そして運命の5日目・・・

 今日はみんなとばらけて私一人でこの地域、北区を探している。夕刻まで探したが結局見つからなかった。私はもう帰ろう・・・とそう思っていたら・・・

ドオオオオオオオンッ!!

 聞き覚えのある音が聞こえた。一瞬だけ見えた黒い雷。間違いなく次射の黒雷だ。私は急いで音の聞こえた山の中を走った。そして少し走ったところにあった小さな小屋。私は考えるより先に扉を叩いた。


「なんじゃ~??」


聞き覚えのある声。そして扉が開かれ、そこにいたのは私の幼馴染の黒速次射だった。


「・・・・・・へ?」


ダサい声を出した次射を私は勝ち誇ったような顔でみる。


「見つけた」


◆ 黒速 次射 ◆

「お邪魔しま~す」

「ちょ、勝手に入るな!」


美紀に見つかってしまった。今日の夕刻に黒雷を気晴らしに撃ったのがまずかった。近くに美紀がいたらしい。美紀はスマホを取り出して見つけましたと学校側(?)に連絡した。


「なんでこんなところに住んでんのよ。あんた、今日見つかってなかったら強制退学だったのよ?」

「ふ~ん、そっか」

「って他人事みたいね・・・」


わしは抹茶を飲みながら世間話のように聞いていた。


「っていうか老衰の効果切れてんの?せっかく身構えてたのに・・・」

「わしが解除方法を探している間に切れたわい。大体2日間ほどで解除された。」


そう、わしは結局解除方法を見つけることができなかった。これじゃあ実戦に使えない。だから老衰が切れても山籠もりをして解除方法を探していたというわけじゃ。


「んじゃあ早く行くよ」

「行くってどこへじゃ?」


美紀が「(*´Д`)ハァ~~~」とめんどくさそうにため息を吐く。


「学校に戻るに決まってるでしょ?」


わしは美紀に連れられて学校に戻っていた。

・・・・・・と思ってたか?


「いやじゃ」


といいわしは小屋から出ていなかったんじゃ。美紀は「なんでよー!」と言って騒いでおったがわしは暢気に抹茶をもう一杯飲んでいた。


「老衰の効果を解除できる手段が見つかるまでここにおる。そう伊勢盆たちに言っておいてくれ」


「そうですか、彼は解除方法が見つかるまで戻らない・・・と」


私は校長室に向かい、伊勢盆と校長に戻らないことを伝えた。


「しかし困りましたね。彼はこのままでは退学処分になってしまいます」


校長は考える人のポーズをして頭を抱えていた。


「私が持てる猶予はもっても2週間だ。2週間までなら私が食い止める。彼は惜しい人材だからね」


私は「ありがとうございます」と言った後、伊勢盆とともに校長室を出た。


「校長、よく協力してくれたもんだ。やっぱり学校的にも次射は失いたくないってことか」


私たちは少しだけ話した後、家に帰った。

–––それって欲しいのは功績だけで次射のことはどうでもいいの?

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