第十二章 本気なんで

 とうとう来てしまった・・・体育祭当日。今回、体育祭で優勝すれば100万円がもらえるかもしれない。最下位であればBクラスがとてつもないブーイングを食らうことが予想される。なぜかじゃと?ふっ教えてやろう。なぜなら・・・


「あ、いた。次射~!!」


ちょうどいいタイミングでやってきたのはわしの母親、黒速くろはや瑠奈るなである。


「急に話しかけてこんでくれ!」

「えっ~だって言ったらすぐに行っちゃうじゃない」


わしが前世94歳の爺さんじゃということはまだ教えていない。教えて失神でもしたら大変じゃからな。


「今日、虎くんも来てくれるって!」


虎くんとは黒速くろはや虎二とらじ。わしの父親のことじゃ。


「じゃ、あとでね~」


そういって母親は去っていった。


午前8:50 Bクラス教室


「欠席はなしだな、よし」


今、出席確認が完了した。欠席者はゼロ。みんなゴーレム生成器をちゃんと持ってきてる。これでほとんど勝ち確定じゃ!!


「よし、行くぞ!」


そしてわしは全員を連れてグラウンドに向かった。グラウンドには生徒の保護者、警察関連の人、さらに自衛隊スカウトマンも来ている。総勢15000人以上じゃ。

グラウンドに着いた後に各自で準備運動をして第一種目に移る。ちなみにグラウンドも第2グラウンド、第3グラウンドなど合計5つある。おまけに大玉専用会場もあるので6カ所で分かれて同時進行で始める。

こうして始まった第一種目、50m走。これはなんでもありの50m走じゃ。妨害よし、魔法強化よしじゃ。序盤から他のクラスを圧倒して見せた。じゃがAクラスとほぼ互角。そこでわしの番がやってきた。


「よーい・・・」


わしはさっそく特技『襲雷』を使用する。


「ドンッ!」


の瞬間に襲雷で一気に抜き去る!!タイム0.51秒。最速じゃ。


「1位 黒速!!」


こうして50m走はなんなくクリア。ちなみに順位はこうじゃ。

クラス別順位

1位 Bクラス

2位 Aクラス

3位 Cクラス



個別順位

1位 黒速 次射 0.51秒

2位 浅元 順一 1.44秒

3位 大場 美紀 1.92秒



そして次に大玉転がしの時間だ。そういえば虎二が来ていると言っていたが・・・見当たらんのう。

そんなことを思いながら会場に向かう。そして挨拶をした後にみんな、開始位置に向かう。

作戦はこうだ。わしと美紀、倉橋で相手を食い止める。そのすきに全員で大玉を押す。


「よーい・・・ドンッ!」


スタートと同時にわしら3人が動きだす。まずは先制をして大玉を動かそうともさせない作戦だ。相手のAクラスはボッコボコにされ、すでに数人は戦闘不能にした。

(殺してはいないぞ?)

そのすきに遅延たちがゴーレムを使って大玉を動かしていく。その時・・・


「おらぁ!!」


浅元が全員に向かって魔法を放った。彼が放った魔法は見事に全員のゴーレム生成器に命中した。ゴーレム生成器は粉々に砕け散ってしまった。


「よし、これでやつらはゴーレムを作れない!お前ら、今のうちだ!!」


わしらが困り果てている間にAクラスが隙をついて大玉を動かそうとしている!!


「次射!どうする!?」


遅延がわしに指示を求めてきたがわしの知恵を振り絞っても今の状況を打開する策が思いつかない。どうすればいいのじゃ!?どうすれば・・・


「次射!!」


ふと誰かがわしに声をかけた気がした。じゃがクラスの者じゃない。もっと野太い声をしている・・・

もしやと思い、声が聞こえた方向を見るとそこにはある人物が空中に浮かびながら立っていた。薄青色の服装に茶色の目をしたダンディーな男性がいた。


何度も言うが彼の名は黒速虎二。わしの父じゃ。

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