第十一章 裏技
大玉の驚異的な強さを思い知らされたのでわしは皆とともに作戦会議を開いた。今回のお題はどうやって大玉を動かすかと、相手からの攻撃を迎撃するチーム選びじゃ。
「さて、まずはどうやって動かすかじゃのう」
「次射でも無理なら一体どうすれば・・・」
美紀がちょっと自信なさげにボソッとつぶやく。
「とにかく次射には迎撃側に入ってほしいね。Aクラスのメンバーは全員桁違いの力だ。次射以外で対抗できるとしたら倉橋と大場くらいだからね」
「わしら抜きであの大玉を動かせるんか?」
「問題ない。僕は君と違ってちゃんと頭を使っているからね」
「わしがバカみたいに言うな!!」
遅延はそういいながらゴーレムを生成しだし大玉に向かわせる。遅延のゴーレムが手をポンッと軽く触れる。すると大玉がわずかながら動いたのだ!!
「どうなっとるんじゃ!?」
「大玉の性質はすでに把握済みだ。彼は魔法や物理耐性に強い。だがその代わりにゴーレムなどの精霊系への耐性が皆無なんだ」
なんじゃ、その裏技みたいなやり方・・・遅延のゴーレムは確実に大玉を動かしているがなかなか前に進まない。
「まぁ重さ1tだということには変わりないからね。そこで僕が作ったのがこれだ」
そういって取り出したのがいろんな機械が貼りついている手袋じゃ。
「これは僕が作った『ゴーレム生成器』。使用者の魔力を消費してゴーレムを呼び出せれる」
おおっ!!と歓喜の声。だがその中には・・・
「ちょっと待てよ。それ、ルール違反にならないのか?」
確かに体育祭で機械を使うのはよろしくない。じゃが・・・
「問題ないさ。大玉転がしのルールには人を殺してはいけない以外なにも書いていない。ルールの範囲内さ」
またおおっ!!という歓喜の声。これで大玉を動かすほうは何とかいける。
「じゃあ迎撃チームはわしと美紀と倉橋。大玉輸送チームは残りの皆に任せる」
おおっ————————!!とまたもや歓喜の声。これですべての準備が整った。
その後、放課後のうちに全員にゴーレム生成器を渡した。わしら3人はそれぞれMPを上げるための特訓をしていた。MPの最大値がそのまま魔法の攻撃力になることがある。上げておいて損はない。そのままわしらは大玉転がしの練習に3時間も使っていたのじゃ・・・
———————翌日———————
今日はフツーの授業だったんじゃが・・・
それは突然襲ってきた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
床が急に揺れだした。いや地面が揺れている。この世界が前世と似た世界ならこれがあってもおかしくない。
———地震。自然の力で起きる大災害トップ3の一つじゃ。ちなみに残りの2つは台風と豪雨。
「みんな!!急げ!!避難するぞ!!」
わしらは伊勢盆の指示のもと、避難に成功した。じゃが・・・
「ゴーレム生成器が・・・」
そう、皮肉にもゴーレム生成器を置いていった生徒は数知れない。一つも残っていない可能性もある・・・と思ったら。
「あの・・・全部回収したんだけど・・・」
ボソッとそういったのはこのクラスの中で魔力最下位(遅延を除く)の浅松だった。浅松はこれでもかというくらい影の薄いやつでしかもガリ勉ときた。じゃが・・・
「「「「「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」
こういうときにとても役に立つ。影の支配者とでもいうべきかのう。こうして浅松のファインプレーによってゴーレム生成器が壊れずに済んだ。壊れていたら遅延の負担が増えてしまうからのう。
そしてその後も順調に練習を重ね・・・
ついに6月17日 火曜日。本番を迎える・・・
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