第十章 魔高大玉事件

◆ 黒速 次射 ◆

いつものように学校に向かっているとこの学校の校長先生がやってきたのじゃ。うちの担任、伊勢盆と話しているようじゃが・・・

校長は見た感じ身長は196cmほどじゃろうか・・・灰色のスーツを着ていて髪は赤髪。そしてなぜか不気味な感じがするんじゃ。

すると話が終わったのか校長は校長室に戻っていった。伊勢盆はわしに気づいたようでこちらに向かってきた。


「おお、次射!ちょうどよかった。少し大玉転がしの件で話したいことがあってだな・・・」


わしは小さくうなずいたあと伊勢盆の後ろについていった。



「ってなわけで今日の1~4時間は大玉転がしのリハーサルじゃ。すぐに移動するから準備しろよ」


わしはそうみんなに告げ、外で待つようにした。

今日の1時間目から4時間目まで大玉転がしのリハーサルをすることになった。いきなり本番は厳しいしな。

わしはみんなが集まったことを確認して伊勢盆に報告。すると伊勢盆が持っていた転移装置を使って会場まで移動させたのじゃ。

そうして着いた会場は全長500mにも及ぶ超巨大闘技場があった。


「で、デカい・・・」

「よし、中に入るぞ」


そして中に進むとうわさに聞いていた半径50m、重さ1tの大玉が2つあった。


「よし、次射。試しにこいつを動かしてみろ」


伊勢盆がそう言ってきたのでわしは半径50mの大玉の上に乗った。そしてあらゆる方法を使って押そうとしたがピクリとも動かなかった。


「次射のパワーでも何一つ動かないのか!?」


久々に遅延ちえがリアクションをした。そしてわしは思った・・・

——————————おもぇわ!!!

なぜこれを使って競技をしようと思ったのじゃ!?試合どころか死人が出るわ!ってかこれそもそも試合が成立するのか!?

伊勢盆に確認してみたが案の定、彼は黙り込んでいた。

そもそも今回のプログラムに大玉転がしを入れることを提案したのはあの196㎝(推定)体重61㎏(推定)の赤髪校長だそうじゃ!!

なぜ彼は今年に限ってこれを入れようとしたのじゃろうか?遅延から聞く話によると大玉転がしは今から78年前の第10回県立魔法高等学校体育祭で死人18人、負傷者175人(観客含む)を出してしまって以降、78年間使わないようにしてきたのだそうだ。

——それをなぜ今更・・・?

ますます校長が怪しくなるが証拠もないのでわしはそれ以上聞かないようにした。


ちなみに先ほどの事件はのちに『魔高大玉事件』という名称で皆から恐れられているという・・・無駄にかっこいい名前しやがって!!


こうして78年ぶりの大玉転がしが明日、幕を開けるのであった・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る