第五章 魔物ってなんじゃ?

あれから数日経ち、先生、伊勢盆が険しい顔でこちらを向いてきた。


「お前ら、落ち着いて聞け。実はな・・・」


いったい何事じゃ?


「クラスA恒例の魔物退治レースの相手にうちが選ばれた」

「「「なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!?」」」


みんなとても驚いておる。じゃが・・・


「魔物ってなんじゃ?」


その一言で全員が静まり返った。全員がこちらを向いてきた。


「「「「魔物知らねぇのかよ!!?」」」」

「知らんぞ」


わしが魔物を知らんことにかなり驚いているようじゃ。実際わしは転生してからあまり外に出歩いてなかったからのう。


「とにかく勝つためにも今から黒速の魔法を参考にさせてもらうぞ」


はて?なんでわしの魔法を?MPが高いからか?

よくわからなかったがとりあえず体育館に移動したのだった。


「よし、次射。試しに黒雷を使ってみろ」


言われたので発動したのじゃが・・・


「おい、黒速。どうやればそのような技が使えるんだ?」

「そう言われてものう・・・」


実際わしは幼少期から何か訓練したかというと何もしていない。ただ陽気に過ごしておっただけなんじゃが・・・


「う~む、魔法研究部に行ってみるか」


わしらはその魔法研究部とやらに立ち寄ったのじゃった。


「なるほど、そういうことですか・・・」


魔法研究部に着くと一人の生徒ともう一人、白衣を着た先生がいた。先生はフラスと名乗った。


「まずもう一回水晶玉に手をかざしてみてください」


仕方なく手をかざすと・・・


「ほほう・・・」


フラスは驚きもせずに水晶玉とわしを交互に見ながら・・・


「君、何歳?」


突然変な質問をしてきた。


「えっ16ですけど?」

「今のウソでしょ??本当の年齢を教えてくださいよ~」


ものすごく近寄ってくる。おそらく本当の年齢というのは精神年齢のことを言っておるのかのう。だとしたらこの人天才じゃ。


「気づいてるんですか?」

「もちろんですよ。私はレベルについて仮説を立てていたんだよ」


フラスは左右を歩きながら語り始めた。


「レベルは年齢に影響するという話だが、あれは嘘だ。現に16歳のはずの黒速君はレベルが110になっている」


そこでわしに指をさし・・・


「私が考えていたもう一つの仮説は・・・精神年齢によってレベルが変わること!!」


当たってしまった。このフラスとかいう教師、世間すら知らない情報を・・・


「どう?黒速君?あたり?」

「なんでわしに聞いてくるんじゃ・・・」


反射的にわしと言ってしまったがこの際、もう仕方ない。


「わしは前世の記憶を保持したままここに転生してきた」


意外にもすぐにバレたのう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る