逆位置のコーヒー / ジークムント様

 さて本日のお客様は、井ノ下功様の作品「逆位置のコーヒー」より、主人公のジークムント様。カクヨムの自主企画「あなたの主人公を占います」からの記念すべき第一号のお客様となります。 


 占い物です! それもカードによる占いです。流行れ占い物、流行れタロット。


 大変面白く読ませていただきました。ありがとうございます。


 作品はこちら↓↓↓

 https://kakuyomu.jp/works/16816452218394709218


 以下あらすじより一部引用。


 ******


 ジークムントさんは占術師、つまり占い師さんです。高名な方なのですがとある理由から今は隠居暮らしをされています。


 そんなジークムントさんの元にある日突然、弟子入り希望の少年ドゥイリオさんがやってきます。


 こうして始まる不器用ながらも平穏な師弟二人の暮らし。


 しかしそのころ、王都には不穏な空気が漂い始めていたのでした。


 ******


 主人公のジークムントさんは占術師さんです。それも生半可な腕前ではありません。そんな人を私が占っていいんでしょうか、とも思うのですけど。


 この物語には(恐らく)作者様オリジナルの占い用のカードが登場します。このような神託(オラクル)を受け取るためのカードのことを一般に「オラクルカード」と呼びます。


 オラクルカードには枚数、絵柄ともに様々なものがあり、それぞれ一組でカードの作者さんの見ている世界を構築しています。タロットもオラクルカードの一種ですね。


 タイトルが「逆位置のコーヒー」となっています。コーヒーの絵柄のカードを何らかの神託や象徴だとするとどんな意味になるでしょう。


 安らぎ、習慣、休憩、しゃきっとする、苦み、ほっと一息。そんなところでしょうかね。ではその逆位置というと……?


 ちょっとここでタロットの「アルカナ」についてお話します。


 便宜上カードの絵柄を「アルカナ」と呼びますが、本来のアルカナというのはものすごく大きなものです。たった78枚で世界を作っているのですから。


 アルカナを直接見ることはできませんし、見てはいけません。これは天体望遠鏡で太陽を見るようなものです。絶対やっちゃいけないことなんです。というかそんなこと考えたこともなかったです。


 カードへの置き換えと占い師による解釈という二つのフィルターを通して初めて安全にアルカナを観察することが出来ます。だから占いは外れることもあるし、外れないと駄目なんです。外れるからいいんですよ。外れない占いはもう占いじゃないです。


 なんですけど、この物語の主人公のジークムントさんはタロットで言うアルカナに相当するモノ(作中の言葉を借りると「神様の腹の内」)を直接見てしまいます。


 ここの描写凄かったです。ざわざわしました。


 さらに言えばそもそも占い師って、物語に関与しちゃいけないんですよ。それは物語の主人公に任せないといけない。そんなことしたら見た全ての人の責任を負うことになる。


 それなのにジークムントさんは……。


 また前置きが長くなりました。それでは占い結果です。


 一枚目:ワンドの10、逆位置

 二枚目:カップ従者ペイジ、正位置

 三枚目:カップのエース、逆位置


 画像はこちら↓↓↓

 https://kakuyomu.jp/users/Kotonoha_Touka/news/16818093079956381501


 ◆一枚目:過去の出来事や問題の原因などが示されます。

 ワンドの10、逆位置


 <通常の解釈>

 明らかに自分の手に余る量の荷物(十本の棒)を抱えて進む人物が描かれています。

 責任感、重圧、オーバーワークなどを表すカードです。


 逆位置では強すぎる責任感や、重荷を抱えきれずに倒れてしまう、責任の重圧に耐えきれずに逃げ出してしまう、といったことを指します。


 <物語上の解釈>

 ジークムントさんの強すぎる責任感と、彼が隠居生活を送る原因となった事件を指しています。


 ◆二枚目:現在のあなた、間もなく起きる出来事を示しています。

 カップ従者ペイジ、正位置


 <通常の解釈>

 カップを手にした若者が描かれています。カップはトランプで言うところのハートに相当するスートで心の象徴です。従者ペイジは子供を意味します。ここからカップ従者ペイジは純真無垢で子供のような人物を指します。近く、そう言った方との出会いがあるかもしれません。


 <物語上の解釈>

 ドゥイリオさんを示しています。手にしたカップはドゥイリオさんが淹れてくれるコーヒーです。



 ◆三枚目:未来の出来事や占いの結果などが示されます

 三枚目:カップのエース、逆位置


 <通常の解釈>

 二枚目の所でもお話しましたが、カップは心の象徴、エースはそれを最も強く象徴するカードです。またのカップスートは水のエレメントを象徴し、カップに満たされた水は心そのものです。


 正位置では満たされた気持ち、幸福感を示すカードですが、逆位置になるとカップの中の水は全てこぼれ、失われてしまいます。


 <物語上の解釈>

 作品タイトル「逆位置のコーヒー」を示しています。


 ◆まとめ

 過去の重圧から隠居暮らしをしているあなた。きっとものすごく責任感の強い方なのでしょう。そんなあなたの元に間もなく出会いが訪れます。その出会いはあなたの心に水を注いでくれます。しかしご注意ください。油断していると、すべてがひっくり返ってしまうかもしれません。


 占いは以上でございます。


 占いの成否は是非本文で!


 占い師の苦悩が描かれていて非常に面白かったです。そう、そうなんだよ! と何度も頷きながら読みました。私は占い師ではないのですけど。



 作者の井ノ下功様、ジークムント様、ご来店誠にありがとうございました。



 そうそう、占い師が主人公の小説と言えばこちらもおススメです。

 https://kakuyomu.jp/works/16816700429050299055

 ネットゲームの中で「主人公達」を相手に占い屋を経営する変人のお話。でもじつは彼女自身にも物語があって……。


 すいません自作です。宣伝です。


 カクヨムの自主企画「あなたの主人公を占います」へのご応募ありがとうございます。予想外に沢山のご応募をいただき、喜びと緊張で震えております。募集は間もなく終了ですが、ここから気になった作品をゆっくり回らせていただく予定です。忘れたころにお手元に届くかもしれません。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る