第24話

☆☆☆


「ちょっと郁哉、その怪我どうしたの!?」

帰宅した僕を見て母親は大絶叫だった。

今まで喧嘩なんてしたことのない僕が、こんなにボロボロの姿になっているんだから、きっとひどいイジメがあったんだと思っているんだろう。


「大丈夫だよ、イジメじゃないから」

「なにが大丈夫なのよ! 午前中には家から女の子を助けて、帰ってきたらこんなボロボロで……」


母親のすっかり混乱しきった様子に僕は頭をかいた。

「ごめん。実は帰ろうとしたときにイジメに遭遇してさ、助けてたら、こうなった」

まだ痛みはあるものの、心はスッキリとした気分だ。


あのまま、見て見ぬ振りをして幸雄を置き去りにしていたら、きっと今頃後悔していたと思う。

そんな僕を見て母親はさっきの和彰みたいな、泣き笑いみたいな顔を浮かべた。


「全くもう。そんなんじゃ、お母さんいくら心臓があってももたないわよ? 手当をするから、いらっしゃい」


母親に手を差し伸べられて僕はおずおずとそれを握る。

久しぶりに握りしめた母親の手はとても小さく感じられれ、僕は少しとまどったのだった。

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