【ニコ生配信小説】完璧主義者のオタクが、結婚式会場にいる。

 奥田はいま、推しの結婚式会場に居る。

「ああ、ミアちゃん……とうとう結婚するのか……」

 約5年間、奥田はミアを推し続けてきた。そんな彼女が結婚するという情報を聞いた時は天地がひっくり返りそうなほどの衝撃を受けたものだ。

 それから、結婚式まで奥田は悩み続けたがやがてひとつの結論を出した。

「ミアちゃんが幸せならそれでいい」

 彼女は結婚すると発表してからとても幸せそうだった。それがわかるほど奥田は彼女を推してきたのだ。

「ミアちゃん~! 結婚しないで~」

 結婚式会場の外では彼女の結婚反対派が騒いでいる。奥田は彼女の結婚式を完璧なものにして新たな門出をお祝いしてあげたいという思いから様々な策を練った。

 完璧で邪魔されない結婚式を贈る。それが、奥田に出来る彼女への今までの恩返しであった。

「推しの幸せを、邪魔するんじゃね~!!」

 奥田は外で反対運動をしているファンもどきに応戦する。推しの幸せを心から祝福できない者などファンではないという思想が奥田にはあった。

 小競り合いを続け結婚反対派を退けていると、結婚式会場の扉が開く。

「ああ、ミアちゃん……美しいなぁ……」

 ウエディングドレスの彼女は今まで見たどんな彼女よりも、美しかった。

 その横には新郎が立っている。結婚を発表した時に大バッシングを受けたがそれでもなお彼女と結婚する、彼女を生涯をかけて守ると公の場で宣言した男であった。

「かならず、幸せにしろよ!」

 新郎が力強くうなずくのを見て、奥田は笑って大声を上げる。

「ミアちゃん! 今までありがとう! お幸せに!」

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