第1話 新しい任務

翌朝、僕は天界へ向かっていた。昨日、れーちゃん───死神長から「朝、天界に帰還せよ。新しい任務だ」という伝書鳩が飛んできたのだ。任務なんて伝書鳩で伝えれば良いのに…相変わらず神使いが悪い。

「にしても、天界で直接って…もしかして討伐任務かな?」

そうこうしているうちに天界についていた。他の死神や天使に挨拶をしながられーちゃんの部屋に向かう。そして扉をノック───をする振りをして思いっきり蹴っ飛ばした。

バコーンオデノカラダハボドボドダ!!ドンガラガッシャーン ウソダドンドコドーン

……なんか所々変なオンドゥル混ざってたな。ま、いいや

「やぁ、れーちゃん」

「」

固まっている。聞こえなかったのかな?

「れーちゃーん」」

「聞こえなかったわけじゃないわよ…………はぁー、取り敢えず何回も言ってるが毎回この部屋に入ってくる度にドアを吹き飛ばすのをやめてくれるかしら?直すのも結構するのよね…」

「以後気をつけます」

「そうやって前回も…もういいや」

「あっ、諦めた」

「誰のせいだと思ってるんだホントに……で、まぁ修理代は後で報酬から天引きして置くとして、新しい任務だよ、イチ」

"イチ"は僕のあだ名だ。僕の正式な名前は死神01。そこから"01"→イチとなったのだ。

「ふむ、で?任務っていうのは討伐?」

「違うわ、そうね…コーチング?かしら」

「誰を?と言うか何故?」

「えっと…この子なんだけど…」

れーちゃんに差し出された写真を見ると、高校生くらいの女の子が写っていた。

「高校生…?」

「ええ、その子よ。名前は姫宮真琴。姫宮家の1人娘よ」

「姫宮家…って結構大きな神社の家系じゃないか!?どうしてそんな子の監視を?」

「姫宮家は代々神事を行なっている分、全員霊能力があるのは知っているわよね?」

「ああ、僕も討伐依頼で何度か協力した事あるね」

「で、この真琴ちゃん。どうやら霊能力が弱いみたいなの」

「それはマズいかも……もしかして……」

「そう、ご想像の通り、今日から真琴ちゃんの学校に一緒に通って、真琴ちゃんを鍛えて貰うわ」

「…ええーー!!」

いや、鍛えろとは言われるとは思ったけど、まさか高校も行くなんて……

「って言うか高校、僕は入れなくない?」

「大丈夫よ。あの学校、"桜丘高校"は姫宮家も創立に関わっているの。姫宮家がイチの転校も、もう手続きしてくれたわ」

「……分かった」

「ちなみに定期テストとかは受けて貰うわよ」

「大丈夫、僕勉強は出来るから」

「そういえばそうだったわね…あ、後名前も決めなきゃ」

「名前?」

「いや、あなた名前ないじゃない」

あー、僕らは番号だしなぁ

「なら、海宮空で」

「分かったわ、姫宮家にはそう伝えておくわね。……じゃあ早速明日からよろしくね」

「はいよー」

さて、どうしたもんか…


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