第14話 調査開始
佐藤が帰ってから美沙は夕飯の買い出しに出掛け廻と香織はフィリップの帰りを待っていた。
待つこと10分後...
フィリップが帰ってきた気絶したアリシアを背負って。何があったのかと問う廻と香織を置いてアリシアをソファに寝かせ事の顛末を語った。
「そんな事が...」
「とにかく無事で何よりだわ。こっちにも色々あったから共有するね」
香織が佐藤との事を話す
「なるほど今はその担任の手に乗るしかないな。現にアリシアは襲われたのだから」
「そうだよな。ここまで来たらそうするしか」
「正直あいつを信用できない。下手したらあいつの仕込んだものかもしれない。でも...」
「その佐藤って奴の手に乗らざるを得ないといったところかな?」
いつの間にか帰ってきていた知夜が香織の背後から現れた
「だっ大丈夫なのか」
廻は動揺からか少し噛みながらたずねる
「大丈夫!気にしてないよ」
廻は少し言葉選びに違和感を感じたが気にしないことにした
「それと話は最初から聞いていたから説明はいらないよ」
「なら話は早いわね」
知夜が突然現れるのは割とある事なのでやましいことがある廻以外は特に動じて居ない様子だ。
「今日の夜に公民館だけでも調べておきましょうそこならここから近いし。それに日中に忍び込むのは難しいからね」
数時間後…
住宅街の一角にある老朽化で少しボロくなっている小さな公民館。音が出ないように気をつけながら窓を割り中に入る。あまり掃除されていないのか動く度にホコリが舞うし老朽化のせいで床も軋む、よく見たら床には所々穴が空いている。
「着いてきてこういうのは得意なの」
潜入メンバーは知夜と廻の2人。フィリップは外で見張り、香織はシェアハウスに残りアリシアの手当てをしている。
少し進んだところで知夜は立ち止まり廻の方へ振り返る。
「この辺でいいかな。廻少しお話しようか」
廻は息を飲む今朝の事がバレていたのではないかと思ったからだ。
「ペンダント盗んだのあなたでしょ?廻」
バレていた...廻は冷や汗をかきながら必死で頭の中をフル回転させ言い訳を考える...
「まぁいいけど」
「えっ?」
許された。
その安堵の中なぜ許されたのかというもの以外に廻の中で1つの疑問が浮かんだ。
何故人外の化け物である佐藤があのペンダントを欲したのか。確かに作りは精巧で美しかったがそれが理由とは思えない。もしかしたら特別な何かがあるのか...その疑問に答えるかとように知夜が語り始める
「廻、あのペンダントはね教祖様から頂いた物なの。あのペンダントに宿った母神の力が私を守ってくれるって教祖様は言っていた」
知夜は恍惚とした表情でどこか不気味だ
「あの後教会に行って教祖様にペンダントを無くしたことを懺悔しにいったの。そしたら教祖様が「無くしたのではない盗まれたのだ。廻という人間に。だから懺悔の必要はない」と仰ったの。だから私は「では殺して取り返してきます」って言ったら「やめておきなさい。贄以外の殺しは禁じている。それにこれは我らにとって都合がいい。一先ずはその廻という人間を許すこととせよ」と仰った。だから私は廻、あなたを許すの」
廻はこの怒涛の嵐に気圧され何も言えなかった。ただ自分はなにかとんでもない事をしてしまったのではないかという後悔があった
「じゃあ探索を再開しよっか」
知夜は何事も無かったかのように先に進み始める。廻はその後ろを黙って着いていくしかなかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます