日常に戻れど
七不思議探検を終えた私達は実子様から書類を貰い、実子様達が居たお社を後にした。
八代先輩に見送られた後、三人で帰り道を歩いていると――
「早速帰ったらすぐ書いて明日出そっと」
駅までの道すがら美貴が言った。
「私の親は許可するのかな……書類に保護者サインが必要なんだけど」
兄が死んでから私から色々な物を取り上げてきた親が書いてくれるかどうか、憂鬱である。
「あぁ、それなら大丈夫だよー。常盤家と祝家を敵に回したくないだろうから」
ケラケラ笑いながら桃香が言った。
「え、そんな、重いモノなの?コレ」
桃香を凝視する。
「いや、えー、うんとねー、別に忍が『常盤の庭』に入りたくないならソレで良いんだけど。もし、忍が入りたいのにそれを親が妨害した場合は『若葉家』に、下手すると本家の『常盤家』にさらに冷遇されるだろうからね」
ただでさえ微妙な立場なのにねー、と桃香は言った。
「え、何で私より私の家に詳しいの?」
「ヒ・ミ・ツ」
そう言った後、桃香は駅まで走って行った。
「あらー、行っちゃったー?」
待ってー、と美貴も追いかけていく、とりあえず私はさようならと声をかけて一人になった途端足取りは重くなった。
結果的にはその夜母親に書類を渡すとあからさまに嫌な顔をしたが、少し書類を読んだ後、ギョッとした顔をした後何も言わずにサインをしてくれた。
後で母親から返ってきた書類を読み返すと、形式上、社及び『常盤の庭』管理者の
母親は妨害したらバレた時不味いと思ったのだろう、本当に器というか色々と小さいように思えた。
私の親への不満不信は明らかに募って行く。
脳裏では「聡明な貴方なら前に進める」と言っていた土地神様の言葉が私にこれからどうするのかと問いかけてきた。
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