24、魔法少女ユリア登場!?
「
俺は背中にかついだアコースティックギターを気にしながら、学食棟の下で待っていた
「あれ?
左右を見回す俺に、
「げっ、魔法少女!?」
学食テラスの手すりに見覚えのあるピンクのフレアスカートを履いた少女が立っていた。嫌な記憶がよみがえってきて、俺は顔をしかめた。だが彼女は俺とは違う。だって胸元に輝く大きなリボンの左右にはたわわに実る二つの――メロンかな?
少女は手にした幼児向け玩具っぽいピンクのステッキを夕方の空へかかげ、
「学園を守る愛と正義の使者、マジカル・ユリア参上!」
女児アニメの主人公もかくやと思わせる可愛い声を張り上げた。
「ようやくヒロインっぽいのが出てきたな」
「はっ!?」
ぽつりとつぶやいたら振り返った
俺たちが見上げるテラスの上では、学生や学食のおばちゃんが大騒ぎしている。
「危ないから降りろ!」
「そこから飛び降りる気!?」
「誰か先生を呼んできてー!」
必死で止める人々など
「とうっ!」
掛け声ひとつ、手すりから華麗にジャンプした。
あーこれは間違いなく鼻から地面に激突するやつ!
俺は少女が怪我するところなど見たくなくて、思わず手のひらで両目を覆った。
だが――
しゅたっ
「
コメディのお約束をあっさり無視して、
「安心して
手のひらでこめかみを押さえた
「
「そ、そうか。俺とは違うんだな」
インドア派にとって運動神経の良い奴なんて異星人である。
「あ、
目をそらすと、
「
「ストーップ
「いい? 正義の味方は普段、正体を隠して生活しているの」
「ちょっと待て
頭が痛くなってきたぞ。
「まさかこのおとぼけ後輩に俺の正体、話しちまったのか!?」
「違うの、
「親友?」
こてんと首をかしげたのは黙って話を聞いていた
「
「うわぁぁぁっ!」
突然
「言わないでっ! 本人の前でバラさないで!!」
「
「ぎゃぁぁぁっ! 黙って! 何も言わないでよ
なんだなんだ? 女子同士の友情ってこういう感じなのか?
俺たちの脇を通り抜けて学食棟へ向かう部活終わりの学生たちも、怪訝そうな目で二人を振り返っている。
あっけにとられる俺の前で
「とりあえず中に入って、座って話しましょうか」
「うんうん、わたしも
「俺は男!」
「じいじのクレカが使い放題だからわたしのおごりーっ」
元気に俺と
「
「わたし、魔法少女に憧れてるの!」
俺たちの会話は全く嚙み合わないところから始まった。俺は助けを求めて
「この服もね、じいじに魔法少女の動画を見せて、これ欲しいって言ったら買ってもらえたの。部下の人が苦労して探したから感謝しなさいって言われたんだ」
自慢げに胸元のリボンを引っ張った。
「そんなに魔法少女になりたいなら代わってくれよ」
俺はコーヒーゼリーをスプーンですくいながらため息をついた。
「それは無理なんじゃない、
話を聞いていないのかと思っていたらしっかり聞いていた
「じゃあ
「
「冗談だよっ☆」
「あれ? この曲――」
テラスから身を乗り出す俺の横で、
「
「あっ、
「なんで俺の曲が!?」
─ * ─
次回『
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