第77配信 パリオ④
『ガンバレ! ガンバレ! メロン~、ガンバレーーーー!!』
『セシリー先輩、私の事ガブリエールじゃなくてメロンで認識してませんか!?』
『胸にそんなに立派なメロンがある事デスシ、この際ガブリエール・メロン・ソレイユに改名シテハ?』
『それをやったら誰も私のことガブリエールって呼んでくれなくなると思います! 今のセシリー先輩みたいにメロンメロンて言うでしょ? 絶対そうなりますよ!!』
コメント
:メロンちゃ~ん、がんばえ~!
:メッロッン! メッロッン! う~ん、メロン!
:メロン嫌いな人なんて聞いた事ないから良いと思う
:メロンの皮の網目で縛られたいと思う私は変態でしょうか?
:思い切り変態だと思います(確信)
:そんな話をしてたら総帥によって緊縛プレイをされているガブちゃんを想像してしまった
ワンユウ:どうしてそうなる? ってかそんな事しないからね
:天使を緊縛するとは何て罪深い……総帥あんたやっぱ最高にイカしてるよ!
ワンユウ:だからしてないっつってんだろうが!! 俺を勝手に変態に仕立て上げるんじゃあない!!
:さっき網目緊縛願望を言った人は天才か!?
:突然ですが、食べ頃メロンの見極めポイントを述べよ
:メロンの尻がくぼんできたら食べ頃
:メロンの尻に弾力が出てきたら食べ頃
:網目がハッキリしているもの
:常温で、つ・い・じゅ・く
:何故だ!! 食べ頃メロンの話をしているハズなのに想像するのは緊縛調教されているガブちゃんの姿だと!? オレはおかしくなってしまったのか?
:いいえ、あなたはおかしくありません。何故なら僕も同じ事を考えているからです
:尻にナニカサレタ天使が脳裏をよぎる
ガブはセシリーのボケに付き合いながらパンティーパリオで敵を連続で踏み殺すというマルチタスクをこなし、俺はガブに緊縛調教変態プレイを強要しているというデマと戦っていた。
やがてパリオのゲーム配信にも関わらずパリオの話題そっちのけで進んでいったステージは終盤に差し掛かり、今作でも最強と名高い中ボス『女子高生』が出現した。
女子高生の見た目はセーラー服を着た女の子なのだが、これがラスボスを凌駕する強さを持っている。
その攻撃手段は平手打ちで彼女にビンタされたパリオはもれなく即死する。
攻撃に一回耐えられるスーツパリオであろうが、酔っ払い酒瓶パリオであろうが分け隔て無くビンタ一発で即死。
女子高生は身体能力が非常に高いため三十路のパリオでは彼女の動きに付いていけない。かと言ってパンティーパリオで挑むと女子高生の能力は底上げされ、圧倒的スピードとビンタで瞬殺される。
この現象について当時は何の説明もされなかったらしいが、パンティーパリオが被っているパンティーはどうやら彼女の物であるらしい事がプロデューサーコメントで示唆されている。
つまりパリオはマジモンの変態なのだ。こんな変態が約四十年もゲーム界隈でトップを走っているなんて恐ろしい話だ。
ちなみにゲーム内で女子高生を倒そうと踏みつけるとパリオが死ぬ。例え自分を襲ってくる相手だろうと女子を傷つける不届き者は自滅する。
その為プレイヤーは女子高生の即死ビンタを避けつつ逃げまくって彼女から逃げ切るしかない。
ガブも相当苦労して女子高生の追撃を振り切り先のステージに進むことが出来た。
『はぁ、はぁ……女子高生って凄いパワフルですね』
『メロン様の高校時代はどうだったのデスカ?』
『私の高校時代……? うっ、頭が……!』
『ネガティブ感情を検知! エッ、高校生活を訊いただけなのにドウシテ!?』
高校時代を思い出そうとして頭を抱えるガブリエール。俺も他人の事をとやかく言えるほど高校生活が充実していた訳ではないが彼女のソレは闇が深い。
そんなガブの仄暗い雰囲気を感じ取ったセシリーはそれ以上深入りする事はしなかった。一応あいつも空気を読むことは出来る模様。
こうしてワンユウ茸、メロン、高校生活の陰という話題を提供しながらパリオはラスボスのヒャッハーのもとへ辿り着いた。
何せ結構昔のゲームなので劇中で会話があったり詳しいストーリーが語られる事は無い。ただ小太りで頻繁に「ヒャッハー!」と声を出すだけのおっさんであるヒャッハーは変態に何度も踏まれて呆気なく倒されてしまった。
倒したガブも「え、終わり?」と言って拍子抜けした感じでスタッフロールが始まった。
『結局、中ボスの女子高生が圧倒的に強かったですね』
『このゲームは三十代の男性よりも十代の女性の方が身体能力が高いという事実を証明したかったのかも知れまセンネ。――それはそれとシテ、この一作目のパリオの裏設定知りたくありまセンカ?』
『裏設定なんてあるんですか?』
パリオの裏設定なんて俺も知らなかった。コメント欄を見ると知っている者も居るみたいだけど皆一概にコメントの歯切れが悪い。
『実はパリオとヒャッハーは昔つるんでいた友人という裏設定があったのデス。ずっとくすぶった生活をしていたパリオのやる気を出させる為にヒャッハー自らが世間の憎まれ役を買って出ル……というストーリーだったらしいデス』
『ええっ!? 私そんな話聞いたこと無いですよ?』
『それはそうデス。子供用のゲームにしては重すぎる内容だったノデ、この設定は早々に封印されたそうデス。ヒャッハーは、本当は友達思いの良い奴だったらしいデスネ』
『そんな友達の頭を何度も踏んづけたんですか私……』
『昔話で人間と仲良くしたい赤鬼の為に友人の青鬼が一芝居打つというものがありマスガ、まさにそんな友情の話だったのデスネ』
こうして最後はちょっとしんみりした感じでガブとセシリーのコラボ配信は終了した。
パリオとヒャッハーが直接殴り合うのはこの初代だけで、二作目からはヒャッハーと戦う時は直接踏んづけるのではなく攻撃をかいくぐって罠を発動させたり、逃げたりするのが基本だったりする。
もしかしたら二人の関係性を知る開発スタッフ陣も二人が直接殴り合いをする展開はしたくなかったのかも知れない。
パリオシリーズは他にもパズルゲームやレースゲーム、RPGにもなっており、特にRPGではヒャッハーが仲間になるのでこの裏設定を知っている者からすると嬉しい展開だったりする。
そして今まで仲の良かった友人との関係性が変化するという状況が陽菜自身にも迫っているのだが、それはまた別の話。
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