第20配信 この世はデコボコだらけ
アマテラスの絶叫が響き渡り本人は右往左往している。落ち着いた雰囲気のおっとりお姉さんは今やパニックの渦中に居た。
同期の三人が落ち着くように言っても本人の混乱は収まらない。コメント欄はアマリス達のボルテージが臨界点に達しお祭り騒ぎになっていた。
自分の所のリスナーの暴走を見てアマテラスもどんどん変な方向にヒートアップしていく。
あれ? なんかこの感じ既視感が……ガブリエールの初配信時のドタバタと同じ感じやんけ!! アマテラスは完全に配信酔いでテンションがおかしくなっている。
『はわわ、はわわ……どうしよ、どうしよう……? ハッ、そうだ。うちにはまだ奥の手があったんじゃ! み、皆ァァァァ! これを観て少し落ち着いてぇぇぇぇぇぇ!!』
何が起こるのかとアマテラスに注目すると彼女の巫女装束が着崩れ肩と胸元がはだけるセンシティブな姿に変わった。
巫女装束をきっちり着こなしていた時には分かりづらかったが、この女神かなりお乳様がデカい。ガブリエールと同等のサイズと見た。
『うち、一応Hカップあるんじゃけど……これでアマリス――転生者さんは落ち着いてくれた?』
ほんの数分前までは露出の少ない巫女装束で身を固めていた女神様が今では肩やHカップの胸の谷間を露出し、潤んだ瞳と上目遣いでこっちを見ている。
こんな事をされて落ち着くリスナーは居るのだろうか? いや、居るわけ無い。初配信時のガブリエールと同様にアマテラスも正気を失っているっぽい。
コメント
:ウチの女神様が世界一ィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!
:一生付いて行きます、アマテラス様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
:オレ達の推しは何てモノを隠し持っていたんだ! ありがとうございますぅぅぅぅぅぅ!!!
:うわぁ、うわぁ……! Hカップって何カップだっけ? Fより大きかったっけ? 頭の中が二つの富士山に支配されてバカになってりゅううううう!!
:おいおいおいおいおい、うちの女神様は方言彼女に加えてHカップの巨乳属性もあるのかぁ。控えめに言って最強かよ
:属性が渋滞を起こしてるなぁ。この辺りでちょっと属性整理をヤラナイカ?
:えーと 巨乳 素人 お姉さん 女神 巫女服 方言彼女 これでどうでしょうか
:おい、それオレが昨晩あるサイトで絞り込み検索したワードと全く一緒じゃないか!
:その話詳しく!
:それで君、その検索結果はどうだったのかね? 早く報告したまえ!!
:焦り過ぎやでw
:その絞り込みワードでヒットした動画は……ありませんでしたぁぁぁぁぁぁぁ!!
:チクショォォォォォォォォォォォ!!!
:誰もどんなサイトなのか言及しなかったのに自分で動画って言っちゃったよwww
『ああああああ! うちの転生者さんが今までに無いほど荒ぶってる……なんでぇ?』
『そりゃそうでしょうよ』
『こんな破壊力抜群の谷間見せられたら興奮するに決まってるでしょ。このユニットの神チーム二名はそこら辺が天然か』
『……ふぇ、私も?』
自分のセンシティブさに気が付いていないアマテラスにツッコミを入れるベルフェとルーシーの悪魔チーム二名。
神チームの片割れであるガブリエールも困惑している辺りアマテラスの何がいけなかったのかちゃんと理解出来ていない様子。
ガブリエールには前世でゲームばかりやらせるんじゃなく、もう少し常識も教えるべきだったか。反省しかない。
『それじゃトークを再開するけどアマちゃんのやりたい配信はグラビア撮影会って感じかね。はい終了~』
『待ってぇ、ベルフェちゃん! さじを投げないでぇぇぇぇ! うちがやりたいんはそう言うんじゃないんよ』
『アマちゃんはどう言う配信がやりたいの?』
追い詰められるアマテラスにガブリエールが救いの手を差し伸べる。
個人的にはVTuberのグラビア撮影会生配信と言うのも非常に興味があるが、本人の意見も聞いておこう。
『実はうち歴女なんじゃけど、刀剣とか神話伝説とか、そこに出てくる登場人物の話とかやってみたいんよ。その他にも皆で一緒にゲームとか色んなコラボしたいんじゃよ』
『わぁ、それ面白そう。伝説の剣だけでもエクスカリバーとかアロンダイトとかレーヴァテイン……沢山あるもんねぇ』
『そうなんよ! 日本国内だけでも
そこには肩と胸を放り出しながらだらしない表情をする女神様がいた。
淑やかおっとりお姉さんの面影は既になく涎をすする音が聞こえる。この女神はマジモンの刀剣大好き女子だ。
正確には世の刀剣をイケメン男子に擬人化した作品のファンなのだろうが、この作品を好きな女性は好きが高じて本物の刀剣にやたら詳しかったりするからマジでビビる。
俺の会社にも刀剣女子がいるが推しの日本刀の話になった時に刀身の波紋や反り具合などについて説明された時には、この人刀匠なのではと疑ったほどだ。
アマテラスがディープな歴女であることが発覚し六期生の今後の配信展開イメージが固まってきたのだが、さっきちょろっと出てきたグラビア撮影会の話題になる。
『今後のコラボ配信だけど、グラビア撮影会ってルーは興味あるなぁ』
『え……本気で言ってる? ベル様はヤだよ、絶対ヤダーーーーー!!』
『どうして? 私もルーちゃんと同じくやってみたい。ガブリスさんに……
『ルーちゃんとガブちゃんがやりたいなら、恥ずかしいけどうちもええよ。3Dモデルが解禁されてコスチュームがある程度揃ってきたらやってみる?』
夢に終わったかと思ったグラビア撮影会生配信の開催が現実味を帯びてきてコメント欄が白熱する。この場に居る誰もが盛り上がる一方、只一人抵抗を続ける者がいた。
『ちょっとーーー! なんでグラビアの話が進んで行くの? ベル様の意思はガン無視かい!!』
『どうしてベルちゃんはそんなにグラビアやりたくないの? ベルちゃんの背信者さんに観て貰いたくないの?』
ガブリエールの純粋でストレートな意見がベルフェを貫き彼女は俯く。するとブツブツ呟きながら顔を上げた。
『……そりゃ、これから一緒の背信者には観て貰いたいなぁと思うけどさ……でも……でも……ベル様の周りにはIカップとかHカップとかGカップとか巨乳揃いで明らかにベル様浮いてんじゃん!! でっかい富士山が六個プルプル揺れている中で二個だけ丘がチョコンとある状況って何なのよ!! 羞恥か? 羞恥プレイか!? デビューして早々にこんなアブノーマルプレイを強いられる状況って何なのさ!!』
ぶいなろっ!!全メンバーの中でも設定上最強クラスのハズの悪魔ベルフェ・ナハトは自分のちっぱいを悲しそうに見下ろしながら泣いていた。
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