ぶいなろっ!!~デビュー3分で前世バレする伝説を作ったVTuber。そんな推しライバーの俺に対する距離感がバグっている件。俺はいちリスナーであって配信者ではない!~
第19配信 初期のキャラ設定は途中で無くなることがある
第19配信 初期のキャラ設定は途中で無くなることがある
ぶいなろっ!!六期生のコラボ雑談は良い感じで進んでいた。
進行役であるアマテラスがメンバーに適度に話を振りバランス良く全員が会話に絡んでいる。
それにリスナーも暴走する事は無くコメント欄も穏やかな感じだ。そう……余りにも静か過ぎる。嵐の前の静けさのような不気味さを感じる。
いや、多分気のせいだ。毎度毎度テンションマックスで騒いでいたらリスナーの身が持たない。今日ぐらいは大人しく流すつもりなのだろう。
今回はコラボ配信と言う事もありリスナーはアマリス、ガブリス、ベルリス、ルーリスの四つの勢力が存在する。
それ故、ライバー同士が絡み合いでテンションアップした際には該当勢力による合戦が開始される。
合戦時は自軍のライバーを鼓舞したり弄ったりしてお祭り騒ぎになり、より面白おかしく出来た方に軍配が上がる。
勝ったからと言って特に報酬がある訳ではなく、単にリスナー達の自己満足なので比較的平和な戦だ。要はコラボを盛り上げようというリスナー同士の本気の遊びだ。
今回に限っては六期生はまだデビューして日が浅く自軍のライバーの特徴をまだ把握しきれていないため、各勢力の垣根は無く平和に終わると思う。
……思っているのだが、この六期生は各メンバーが普通じゃないので何が起きても不思議ではない。
気分的にはあれだ。黒髭おじさんが入った
トークと言う名のナイフを刺していき、いずれ黒髭のおっさんが飛ぶ現象が起きる。――そんな気がする。
気分が落ち着かない中、進行役のアマテラスが次の話題をメンバーに訊き始めた。
『それでは、次の話に移ります。皆は今後どのような配信をしていきたいのじゃ? それではルーシー、ベルフェ、ガブリエールの順に答えてもらおうかのう?』
心なしかアマテラスの話し方が変になってきた気がするが、これは今後の配信について重要な話題なのでそっちに集中しよう。順番通りにまずはルーシーが答える。
『ルーはリスナー――闇堕ち君たちといっぱいお喋りしたいから雑談とか、あとゲーム配信したいなぁ。歌うのも好きだから歌配信はやってみたい』
ルーシーの配信内容が割と無難な内容だったので少々拍子抜けする。この堕天使に感じた危険な雰囲気は俺の勘違いだったらしい。次はベルフェが話し始める。
『ベル様は小説を書くのも読むのも好きだから、小説投稿サイトに投稿されていて書籍化されていない作品の紹介とかやってみたい。作品の数が余りにも膨大だから凄く面白いのにあまり知られていないのが沢山あるんだよ。そう言うのを見つけて話題にしていけば、小説投稿がさらに盛り上がる切っ掛けにもなるんじゃないかと思うんだよね。あっ、当然だけど事前に作者さんに確認は取るからね』
今までクソガキムーブを貫いていた人と同一人物とは思えない、理路整然とした内容だったので驚いた。何か口調も落ち着いているし素で話しているっぽいな。
俺も小説投稿を趣味にしている人間の一人だからベルフェの言っている事は良く分かる。
書籍化される前の作品が話題になる機会は少ないし、ニッチな内容だとストーリーや文章が面白くてもそもそも読んでもらえなかったりするのはざらだ。
そう言った作品が取り扱われて皆に認知されれば投稿者側もやる気が増して、投稿サイトがさらに活気づくかも知れない。
この配信内容は観たことが無いからどうなるかは予測がつかないけど、ぶいなろっ!!の運営会社のファイプロは小説投稿サイトの運営で大きくなった会社だから、この試みは面白いと思う。
そして次はいよいよウチの天使ガブリエールの出番だ。これからどのような配信をしたいのかガブリスの一員としてとても気になる。
『うーん、ワンユウさんの雑談とかゲーム……新作からレトロゲームに難易度が高めのものとか色々やりたいです。歌配信もやりたいし……あっ、昔失敗して封印したASMRにも再チャレンジしたいです。ぶいなろっ!!にはセリーヌ先輩やフェニママを始めとしたASMRのガチ勢がいるので教えて貰いたいです』
コメント
:やりたい配信で真っ先にワンユウの雑談が来るあたり、ガブちゃんのワンユウに対するガチ度が窺える
:そもそもワンユウの雑談って一体何を話すんだろう? 経歴とか?
:リスナー個人のプライバシーを配信で晒すなんて話聞いたことないぞ
:でもちょっと興味があったりもする
:けれど興味を持ち過ぎると天使がターミネートしに来るという恐怖よ
:これが噂に聞いたワンユウの話か……本当にいるんだ
:彼の存在はガブリス以外でも有名
:ここまでライバーやリスナーにコスられ続けてもなお話題に事欠かないワンユウって何者なの?
ワンユウ:何者もなにも普通のジャパニーズです
:――!! 本人が降臨したぞ!!
:これが噂のエブワンユウゲリオンか……つ、強い!
:残念だが、ワンゲリヲンは前回の戦いで100%破壊されたので現在修理及び改造中だ
:100%……って、それ完全大破してるだろw 新しく造り直した方がいいでしょうよ
ホワリバ:ロボットには新型ではなく改修型からしか摂取できない栄養がある
:わかりみが深い
ジン:確かに。ボロボロになった愛機が修復強化されて再び一緒に戦う姿は胸アツ
ブラテン:ロボットの話コスりすぎで草
ワンユウ:六期生の記念すべき初コラボだって言うのに、雰囲気がガブリスのコメント欄みたいになっちゃったよ。皆スマヌ
:いやいやいや、これは面白くなってきたぞ
:コメント欄に火が入った。もっと燃料を投下しろーーー!
:ドプドプドプドプドプドプ……ドガァァァァァァァァァァァァァンッッッ!!!
:火に直接ガソリンをかける奴がいるか、バカモノーーーーーーーーー!!!
嵐が来てしまった。その原因の一端が自分にあるので何とも言いがたい。
ここから余りヒートアップしなけりゃいいんだけど……。そう言えば次はアマテラスが今後の予定を話すんだったな。
コメント欄からアマテラスに視線を向けると彼女は楽しそうに笑っていた。
『ふふふ、なんかコメント欄が面白い事になっとるね。うちはまだリスナーさんと、こんな風に打ち解けられていないけぇガブちゃんが羨ましいわ。うちも頑張らにゃあね』
『あっ、アマちゃん話し方!!』
『素で喋っちゃってるよ!!』
『少しずつ口調が崩れてきたから怪しいとは思っていたけど、やっぱり素が出ちゃったかぁ』
『あわわ! こ、これはちが……違うんじゃよ。……ほら、わらわはさっきからこんな感じで話しておるじゃろ? じゃけん、皆の聞き間違いじゃよ』
『ああ、話し方がどんどんグチャグチャになってきたよ。もうダメかもしれん』
メンバーに話し方を指摘されて焦り出すアマテラス。顔を真っ赤にしてワタワタしている。さっきまでのお淑やかなおっとりお姉さんは、現在進行形で可愛さが爆発していた。
コメント欄はアマテラスの話し方の件で一気に白熱し、広島弁だと言う事が特定された。
『広島弁……いや、ちが……違うんじゃよぉぉぉぉぉぉぉ!!』
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