ぶいなろっ!!~デビュー3分で前世バレする伝説を作ったVTuber。そんな推しライバーの俺に対する距離感がバグっている件。俺はいちリスナーであって配信者ではない!~
第14配信 太陽ちゃん大好きグループの面々
第14配信 太陽ちゃん大好きグループの面々
悲しい夢オチから始まった朝。起きてスマホを見るとAINEのチャット数が数十件になっていた。
どうやら太陽リスナーのチャットグループでやり取りが行われているみたいだ。
恐る恐る確認してみると、案の定ガブリエールの件だった。
元太陽のリスナー仲間たちが昨日からやり取りをしていている。皆、俺にチャットに参加するようにずっと言っている。
「皆にガブリエールのこと連絡するのすっかり忘れてたなぁ。やっぱり怒られるのかなぁ、嫌だなぁ……。でも、このままにしておくことも出来ないし、相談もしたいし……」
太陽ちゃん大好きグループ
ワンユウ:皆様、お久しぶりでございます
ホワリバ:あーーーーー! やっと出てきた。待ってたぞ、ワンユウ
ブラテン:もしかして……寝てた?
ワンユウ:うん、寝てた。良い夢……だったよ
ホワリバ:さすが御大将は肝が据わってるねぇ
ジン:その様子だとアーカイブは観ていないようだな
ワンユウ:アーカイブ? 何かあったのか?
ロキ:説明するより自分で確認した方が早いと思うわ
アータ:とんでもない事になってるよ
ライト:きっと驚くと思う
AINEでやり取りをしているのは元太陽リスナーの個性豊かな六名の仲間たちだ。
【ホワリバ】ことホワイトリバーはロボットを愛する男で太陽がロボットゲームの配信をした時は人が変わったようにコメントをしていた。三度の飯よりロボが好き。
【ブラテン】ことブラックマウンテンはホワリバの会社の同僚らしい。常に冷静で物腰が柔らかく、太陽の卒業配信の時には色々とお世話になった。
【ジン】は武士のようにかたい口調でコメントする男だ。その一方で割とミーハーな部分もあるなど自分で決めたキャラ付けにブレがある。大学生らしい。
【ロキ】はこの中で唯一の女性……と思いきや実は男性だったりする。本人曰く心は女性とのこと。実際、女性側に立った意見をしてくれたりと俺たちの良き相談相手である。バーで働いているらしく聞き上手だ。
【アータ】は巨乳好きでスケベな高校生だ。スケベなのでセンシティブな話になるとテンションが上がる。その一方で小さい頃から武術をやっている意外な一面もある。
【ライト】もアータと同じく高校生でこの中で唯一関西地方に住んでいる。剣とか刀などの刃物に造詣が深いがその理由は教えてくれない、謎多き高校生だ。
その六人に勧められる形でヨウツベのアーカイブを確認してみると本当にとんでもない事になっていた。
「なっ……太陽のアーカイブの再生回数が桁違いに増えてる! どうして……?」
しかも再生回数が増えているのは一つや二つじゃない。もしかしたら全てのアーカイブが……。
困惑しているとAINEに皆のメッセージが入力されてきた。
太陽ちゃん大好きグループ
ロキ:どうだった? 凄いでしょ
ホワリバ:多分、太陽ちゃんの全アーカイブが対象になっていると思う
ブラテン:この一晩で太陽ちゃん周りが一変してしまったんだよ
ライト:その理由はワンユウなら良く分かるだろ?
ワンユウ:昨日のガブリエールの初配信か。皆も知ってるんだよな、ガブリエールが太陽だってこと
アータ:もちろん! 初配信のアーカイブ観たよ。生コメントってなんなのさwww
ジン:かなり攻めた内容だった。BANされなかったのが不思議だ
ロキ:ヨウツベのセンシティブ規制は年々緩和されてる感じよね。余程凄い内容でなければ割と大丈夫みたい
アータ:確かに。昨日の太陽……じゃなかった、ガブちゃんがワンユウの生コメント貰った時の反応なんてヤバかったよ
ブラテン:アータ、生言い過ぎ
ホワリバ:お前、ナマ言いたいだけだろ
アータ:バレた? その後の乳揺れ凄かった。何度も観返しちゃった
ワンユウ:清々しい程にエロ高校生の見本だな、お前は
ライト:高校生男子が皆アータみたいにスケベだと思われるのは心外だ
アータ:嘘吐け、お前だってどうせ何回も観たんだろ? 太陽ちゃんのASMR練習の時、興奮してただろお前
ライト:何回も観てねえし! 興奮してねえし! 適当言ってると斬るぞ!!
アータ:斬れるもんなら斬ってみろ。俺は逃げも隠れもしない!! 関西から関東に来るまで何時間掛かるかなぁ?
ロキ:ハァ……お子様二人は放っておくとして、とにかく昨日のガブちゃんの初配信も凄い事になってるわよ
ワンユウ:え……
ブラテン:同時接続者数は三十万超え、現時点でアーカイブの再生回数は三百万回を超えてるよ
ジン:ちなみにチャンネル登録者数に至っては五十万人以上だ
ワンユウ:たった一晩で!? ちょっと確認してみる
慌てて昨日のガブリエールの初配信のアーカイブを確認すると確かに三百万回以上再生されていた。チャンネル登録者数は五十六万人……信じられない。
只でさえVTuber大手事務所ぶいなろっ!!六期生のデビューということで注目されていたんだ。そこに速攻前世バレとセンシティブ行動のオンパレードが合わさってお祭り騒ぎになったんだろう。
ガブリエールの前世である太陽のアーカイブもその影響で沢山の人に観られている。この状況に不安を感じるけど太陽が注目されている状況を喜んでしまっている自分もいる。
でも、一番マズいのは配信中にガブリエールが俺個人を構い過ぎているという事実だ。
太陽の時は俺が呼び込み役みたいな感じで最初からいて、そこに徐々にリスナーが増えていったから俺の存在は自然と皆に認知されていた。
しかし今回は違う。最初からガブリエールには大勢のリスナーがいる。そんな状況で一人のリスナーを特別扱いしていたら反感を買うに決まっている。
ガブリエールの生配信に俺が顔を出せばきっと昨日みたいな事になる。
でも、俺がいなければあいつは暴走しないだろうし時間が経てば徐々に初配信の件も落ち着いていくハズだ。
「生配信を観なくたってアーカイブがあるんだし……それで十分だよ……な」
太陽ちゃん大好きグループ
ホワリバ:ワンユウ、さっきから黙ってるけど……まさかバカなこと考えてないよな?
ブラテン:彼はこういう時、確実に碌な事を考えないから心配だね
ジン:とにかくワンユウの考えを聞かせて貰うとしよう
ワンユウ:いやさ、ガブリエールの生配信には今後参加しないようにしようかと思って
ロキ:やっぱりくだらないことを考えていたわね
ホワリバ:始まったよ。ウチの総帥のウジウジムーブが
ワンユウ:だって俺がいたら絶対配信に悪影響出るだろ。生配信を視聴したら我慢出来なくてコメントしちゃう自信があるし……
ブラテン:やっぱり予め情報を集めておいて正解だったね
ジン:そうだな。ワンユウにはコレを見て自らの考えを改めて貰うとしよう
アータ:あれ? 少し席を外してたら空気が重くなってるぞ
ライト:ちょっと聞いてくれ。アータの奴、さっきからおっぱいおっぱい
ロキ:キッズはちょっと黙ってなさい!!
ライト:ひぃっ!?
アータ:これはロキ姐さんの本気のお怒りモード! 静かにします
俺のせいでアータとライトに雷が落ちてしまった。ごめんよキッズ達。
心の中で二人に謝ると皆に教えて貰ったサイトにアクセスする。そこにはガブリエールの初配信の出来事が説明されていた。
彼女の前世である太陽のことやそのリスナーである俺たちに関しても色々と書かれており、たった一晩でこの記事を作った職人たちには驚かされるばかりだ。
不安を抱きつつ記事を読み進めてみると、俺の予想外の内容で驚いた。
「……えっ? これって……もしかして結構前向きに捉えられていたりする?」
皆が他の記事も読めと言うので見てみると、どの記事も概ね同じ感じで太陽や太陽リスナーの事を讃える内容だった。
そこには俺の事も書かれていて空野太陽を最初から最後まで支え続けたリスナーとして紹介されている。
太陽ちゃん大好きグループ
ワンユウ:記事を読んできました。皆、ありがとう。自分だけで変な方向に思い込んでいたみたいだ
ホワリバ:その通りだよ。皆お前がやってきたことを評価してる
ロキ:そう言うこと。あなたがいなければ太陽ちゃんはとっくにVTuberを引退していただろうし、そうなればガブリエール・ソレイユは当然生まれなかったんだもの
ブラテン:だから彼女の一番の理解者である君に対して皆興味津々なんだよ
ジン:我々がそうだったからな。実に懐かしい
ライト:太陽ちゃんが魅力的なライバーだって言うのは当たり前の事として、ワンユウがいたから彼女のリスナーになった者も多いからな
アータ:そうそう、二人の夫婦漫才見たさで俺はチャンネル登録した口だからね
ワンユウ:本当にありがとう。皆のお陰で安心した。次の生配信も絶対視聴する!
ロキ:元気が出たみたいで良かったわ。今日十四時からガブちゃんの緊急生配信があるから私も視聴する予定。他の皆は?
ライト:絶対観る!
アータ:観るに決まってるっしょ。今から楽しみ
ジン:あれから二ヶ月経ったからな。また彼女の配信が観られるのは嬉しい
ブラテン:きっと他の元太陽リスナーも噂を聞きつけて観に来るんじゃないかな?
ホワリバ:なんか同窓会みたいでワクワクするな
ワンユウ:そうは言っても、俺たちもガブリエールリスナーとして他の皆と何も変わらないんだ。元太陽リスナーとして行儀良くいこう
ブラテン:僕としてはガブちゃん本人が一番はっちゃけそうで不安なんだけどね
ワンユウ:確かに……まあ、とにかく一旦解散して休憩を取ってガブリエールの生配信に備えようか
こうしてチャットが終了すると少し経ってからチャットグループ名が『ガブちゃん愛してるグループ』に変更された。
久しぶりにやり取りをした仲間たちは相変わらず良い奴ばかりで、今回も皆に救われた。
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