第4話 生まれ変わり

ルイリィは父である騎士団長リンダルトに夢に見た事を話した


リンダルトはルイリィをジッと見つめると覚悟を決めたのか口を開いた


「お前が見たのは事実だよ…私の亡くなった姉の記憶だろう…」


「それは僕がその方の生まれ変わりだという意味ですか?」


「その通りだ…」



18年前…


オギャーオギャーオギャー


元気な産声をあげて女の子が産まれた


リンダルトとディーナにとって初めての子供


「お疲れ様…大丈夫ですか?」

リンダルトは妻であるディーナに優しく声をかけた


「ええ…男の子だと思っていたのに女の子だったのね」


「そのようですね…おや…この子はもしかして!」


「あなた?どうされたの?」


「ええ…やはりそうですか…どうやらこの子は姉さんの生まれ変わりのようですね」


「まぁルルアン様の?」


「この背中にあるオリオン座の形を記したホクロは姉と同じモノですから」


(その通りよ…久しぶりねリンダ…)


「この声は…頭に直接聞こえて来た?」


(赤ん坊だから喋れないから直接語りかけてるわ…リンダにお願いがあるの)


「何ですか?」


(私の左の上腕に星が3つ並んだアザがあるわよね?)


「コレですね?」


(実はバスクの生まれ変わりにも同じ場所に同じ印をつけたの…だから…)


「わかりました…その少年を探し出せと言いたいんですよね?」


(こうして話せるのも僅かな時間…もうそろそろ時間だわ…じゃあ頼んだわよ)


その後は何事も無かったかのように赤ん坊は笑っている


「あなた…姉様に何か頼まれたのですね?」


「ああ…バスクの生まれ変わりを探す手掛かりを教えてもらったよ…」


「ではその子をうちの騎士団に?」


「ああ…何年経ってもね」




「そんな話…」


「信じられないか?」


「ではバルクレオが入団試験を受けに来たのも…」


「ああ…やっと探し出してな…説得するのに骨を折ったがな」


「何故そこまでするのですか?」


「お前に幸せになってもらいたいからだよ…父親としてな」


「彼と出逢うのが幸せに繋がると?」


「私はそう信じている…規則の中ではあるがな」



朝からそんな会話を交わした父と娘はいつものように勤務をこなした


その心の中に変化があったのは彼等だけではないようで…


「おはようルイリィ…」


「バルクレオか…おはようどうした?」


「実は昔から見てる夢があって…」


「左上腕のアザの事か?」


「何でそれを?」


ルイリィは父から聞いた話をバルクレオに聞かせた


「そんな事って…」


「僕も最初は信じられなかったさ…ただ父上が嘘をついていないのがわかったからな」


「オリオン座の形を記したホクロ…」


「そっちが気になったのかよ?」


「見たい…」


「見せるかよ!」


「じゃあ…お前と恋人になって確かめる」


「そんな簡単に僕を落とせると思うなよ?」



そんな出来事があった数日後…


「部隊を帝国に派遣するですと?」


「そうだ…精鋭を集めてな…」


「それは帝国と親睦を更に深める為に?」


「話は向こうにつけてある…道中は危険だから弱い奴はつけるなよ」


アルステミオ国王から依頼を受けたリンダルトは騎士達を集めて話し合いの機会を設けるのだった

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