第10話 メンバーは?俺のことが好きだと!?

 魔獣を倒した俺たちは、少しの休息を取り、再び常闇の森の最深部を目指して歩き始めた。道中、マリナが俺にふと尋ねた。


「そういえばリリーアとはどういう、その、夫婦というものなのか?もしかして」


 その質問に俺は少し驚いた。リリーアは俺の仲間であるが、夫婦という関係ではなかった。しかし、マリナの問いかけには微妙な期待感が込められているようにも感じた。


「いや、リリーアとは、ただの仲間だよ。今のところはね」と俺は答えた。


 その答えを聞いたマリナはほっとしたように笑顔を浮かべた。「そうなのか、ちょっと気になってたんだ。クルア、あんたのこと、特別に思っているんじゃないかって」


 その瞬間、エリスが興味深そうに会話に割って入ってきた。

「そうね、リリーアとクルアの関係、私も気になってたわ。まさか、恋人同士なんてことはないわよね?」


「いや、そのなんていうか?」と俺は曖昧な返事をした。


 エリスはニヤリと笑い、「ふーん、じゃあ私にもチャンスがあるってことね」


 その言葉に俺は少し赤面した。エリスの冷静な性格の裏に隠れた大胆さに驚かされる。


 リリーアは、俺の背中をぐりっと掴んでニッコリフェイスでこちらを見ていた。


 こわい。こわい。こわい。

 そして、いたい。心も身体も。


 ティアナもまた、笑顔で会話に加わった。「リリーアが特別な存在じゃないなら、私たちだってクルアともっと親密になれるってことだよね?」


 俺は何とかその話題を変えようとしたが、三人の女性たちの視線が俺に集中しているのを感じて、どうにも逃げ場がなかった。仕方なく、俺は真剣な顔で彼女たちに向き合った。


「皆、確かに俺はリリーアは今は、特別な関係じゃないけど、それでも俺にとっては大切な仲間なんだ。皆も同じように大切な仲間だよ」


 その言葉に、マリナは少し驚いた顔をし、エリスは満足そうに頷き、ティアナは微笑んでいた。


「分かったよ、クルア」とマリナが言った。


「でも、私たちももっと良い関係になりたいって思ってるのあんたのこと、もっと知りたい」


 エリスもまた、

「そうね。クルアがどんな目標を持っているか気になるけど」


 うぐっ。


 ティアナは頷きながら、

「私たち、チームだけど、それ以上の関係になるのも悪くないよねー」


 俺は彼女たちの言葉に少し戸惑いながらも、心の中で暖かいものを感じていた。彼女たちが俺のことをそんな風に思ってくれているなんて、想像もしなかった。


 その後も俺たちは森を進み続け、ついに最深部にたどり着いた。そこには、古代の遺跡が広がっていた。石造りの建物や彫刻が、長い年月を経てもなお美しさを保っていた。


 俺たちは遺跡の中に足を踏み入れた。


 魔獣を倒しながら俺たちは、少しの休息を取り、再び常闇の森の最深部を目指して歩き始めた。


「ここが…常闇の森の最深部か」と俺はつぶやいた。


 エリスは周囲を見渡しながら、「この遺跡、何か重要な秘密が隠されているに違いないわ」と言った。


 ティアナは素早く周囲をチェックし、

「警戒は怠らないで。ここにいると予感がする」

 マリナは剣を構えながら、

「私たちの力を合わせれば、どんな危険も乗り越えられるさ」


 俺たちは遺跡の中に足を踏み入れた。薄暗い通路を進んでいくと、大きな扉が現れた。その扉には、古代の文字が刻まれていた。


 エリスがその文字を読み解きながら、「この扉の先には、強力な魔法が封印されているらしいわ」と言った。


「それを解除するにはどうすればいい?」と俺は尋ねた。


「特定の魔法の詠唱が必要ね。私が試してみるわ」とエリスは自信満々に言った。


 エリスが詠唱を始めると、扉が徐々に開き始めた。その先には、輝く宝石が散りばめられた広間が広がっていた。しかし、その中央には巨大なゴーレムが立ちふさがっていた。


「これが最後の試練か…」と俺はつぶやいた。


 マリナが剣を構え、「さあ、行こうか、クルア」と微笑んだ。


 エリスは魔法を準備しながら、「私たちの力を見せつける時が来たわね」と言った。


 ティアナもまた、ナイフを手にし、「クルア、後ろは任せて」と言った。


 俺たちは再び戦闘態勢に入り、ゴーレムに立ち向かった。マリナの剣術とエリスの魔法、リリーアの支援魔法、ティアナの機敏な動きが一体となって、ゴーレムを圧倒していく。


 戦いが終わり、ゴーレムが崩れ落ちると、広間の中央に輝く宝が現れた。


「これが…目標の宝か」と俺はつぶやいた。


 しかし、その瞬間、エリスが微笑みながら、


「わたし、宝以上に大切なものを奪われてしまったかもこれは運命というやつかもしれないわ。ねぇ?だ・ん・な・さ・ま」


 はい?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る