第6話 リリーア?の真実だと!?

 リリーアの突然の行動には驚いたが、彼女の気持ちは理解できなくもない。彼女にとって、俺は自由を取り戻した恩人であり、頼れる存在だ。その感謝と愛情があのような形で表れたのだろう。


 翌朝、太陽が昇るとともに俺は目を覚ました。リリーアはすでに起きており、村の中央で他の住民たちと話している姿が見えた。彼女は気丈に振る舞っているように見えるが、昨夜の出来事が頭をよぎっているのは明らかだった。俺は深呼吸をして、彼女に歩み寄った。


「リリーア、おはよう。昨日のことはもう気にしないでいい。今日の予定について話そう。」


 リリーアは俺の声に驚いて振り返り、少しはにかみながら微笑んだ。


「おはよう、クルア。ありがとう、あなたの優しさには感謝してるわ。」


 俺たちは村の外れにある丘に向かい、地図のバツ印が示す場所について話し合った。それはリリーアたちの集落の近くにある古い遺跡で、彼女たちの祖先が住んでいた場所と言われている。遺跡には古代の秘密が眠っているとされ、多くの冒険者が探し求めてきた場所だ。


 俺たちは昼食を取り、準備を整えた後、遺跡に向けて出発した。道中、リリーアと俺はこれまでの経験を語り合った。彼女の強さと優しさ、そして俺が彼女たちを助けた時の決意について、深く理解し合うことができた。


 遺跡に到着すると、その壮大さに圧倒された。古代の石造りの建物が並び、その一つ一つに歴史の重みが感じられた。リリーアは遺跡の入口で立ち止まり、深呼吸をした。


「ここが、私たちの祖先が住んでいた場所……クルア、ありがとう。あなたと一緒にここに来られて、本当に嬉しい。」


 俺はリリーアの肩に手を置き、微笑んだ。


「これから何が待ち受けているか分からないが、共に乗り越えていこう。」


 遺跡の内部は薄暗く、古代の壁画や彫刻があちこちに施されていた。リリーアは興味津々にそれらを見つめ、祖先の暮らしについて語った。俺は彼女の話を聞きながら、遺跡の中を進んでいった。


 やがて、巨大な石の扉にたどり着いた。リリーアはその前で立ち止まり、何かを思い出すように目を閉じた。


「クルア、ここには私たちの祖先の秘密が隠されていると言われているわ。」


 俺たちは扉を開け、内部に進んだ。そこには広大なホールが広がっており、中央には巨大な祭壇があった。リリーアは祭壇に近づき、その上に置かれた古代の書物を手に取った。


「これは……私たちの祖先の記録。ここには、私たちが失っていた真実が書かれている。」


 彼女は慎重に書物を開き、ページをめくった。古代の文字で綴られたその内容は、リリーアたちの祖先がどのようにしてこの地にたどり着き、どのようにして自由を求めて戦ったかを詳細に記していた。彼女は感動し、涙を流しながらその記録を読み進めた。


「クルア、私は祖先の意志を継いで、この地を守り続けなければならない。だからこれからは、一緒に……」


 遮るように俺は言った。


「すまないな。俺はここを去らなければならない。追放された勇者と一緒にいてはだめだと思う。村の皆やリリーアには感謝しかない。しかし、俺は旅に出るんだ。俺の願いを叶えるために。」


「その元勇者の願いってやつ、聞いても大丈夫かな?」


「大丈夫だ。俺の願いは、俺だけのハーレムを作ることだ!」


 リリーアは驚きと戸惑いの表情を浮かべたが、次第に微笑んだ。


「クルア、それがあなたの願いなら、私は応援するわ。でも、あなたが旅立つ前に一つだけお願いがあるの。」


「何だ?」俺は慎重に尋ねた。


「私もそのハーレムに加えてほしい。あなたを助けるために、共に旅をしたいの。祖先の意志は、私たちが結婚してからでも大丈夫よ!長老には私から話しておくわ」


 リリーアの瞳は真剣だった。


 俺はしばらく考えた後、微笑んで頷いた。


「分かった、リリーア。一緒に旅をしよう。」


 リリーアは喜びに満ちた笑顔を浮かべ、俺の手をしっかりと握った。これからどんな困難が待ち受けているのか分からないが、共に歩むことを決意した瞬間だった。


 ♦︎♦︎♦︎

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