第5話 新しい?生活だと!?

 俺の言葉に、彼女は恥ずかしそうに頬を赤くしたが、それでも離れようとはしない。俺は困惑しながらも、どうにか彼女を宥めることに成功した。


「本当に、助けてくれてありがとう。」

 彼女は少し距離を取って、真剣な表情で言った。


「あなたのおかげで、私たちは自由になれた。でも、私のお願いは本気なの。あなたの強さと優しさを見て、私、あなたと一緒にいたいと思ったの。」


 俺は深いため息をつき、彼女の真剣な瞳を見つめた。彼女の気持ちは本物だったが、俺は彼女のことをまだよく知らない。


「名前は?」俺は静かに尋ねた。


「リリーア。」彼女は微笑んで答えた。

「あなたは?」


「俺はクルアだ。」俺は返した。


「リリーア、君の気持ちは嬉しい。でも、結婚はそんなに簡単に決めるものじゃない。まずはお互いをもっと知ることから始めよう。」


 リリーアは少し考え込んだ後、頷いた。


「そうね、クルアの言う通りかもしれない。まずはお互いを知ることから始めましょう。」


「あっ、もしかしてこの場所を知っているか?」


 奴隷たちが安堵の表情を浮かべる中、一緒にバツ印の地図を見ると、リリーア達の集落の近くということで、俺たちはお互いを理解するための時間を過ごすことにした。


 村での生活は穏やかで、俺たちは毎日を平和に過ごしていた。リリーアと一緒に過ごす時間は、俺にとって新しい発見の連続だった。彼女は強くて優しい心を持っていた。


 ある日の夕暮れ、リリーアと俺は村の外れにある丘に座っていた。夕日が地平線に沈む様子を眺めながら、リリーアは静かに口を開いた。


「クルア、あなたに出会えて本当に良かった。あなたのおかげで、私たちは自由になれた」


「俺もだよ、リリーア」俺は微笑んで応えた。「君と一緒にいることで、俺もたくさんのことを学んだ。君の強さと優しさには、本当に感謝している。お礼なんて必要ないさ。」


 明日は地図のバツ印の所へ向かう予定だ。今日はゆっくりと休むとしよう。


 うん?


 そう思っていたのだが、妙に寝苦しいと感じたらリリーアが俺の上に乗っかって、息をはぁはぁしながら顔がいつも以上に赤くなっているのがわかった。もしかして酔っているのか?


「はぁはぁはぁっ!ク、クルア、この前は、人前だったので、えっちなことができませんでしたが、ちょっとだけ、先っちょだけでいいので、どうかお願い!ちょうだい!さあ、早く早く、脱ぎなさいよぉ!」


「いやだぁぁぁ。これは俺の好みのプレイではないぃぃぃ。だれかーだれかー!」


 夜が更け、俺の叫び声が森の静寂に吸い込まれた後、リリーアはようやく冷静さを取り戻したようだ。俺の困惑した表情を見て、彼女は顔を真っ赤にして身を引いた。


「ご、ごめんなさい、クルア……」リリーアは声を震わせながら謝罪した。「私、何をしているのか分からなくなって……」


 俺は深呼吸をして、彼女を落ち着かせるために手を差し伸べた。「大丈夫だ、リリーア。酔っていたんだろう。でも、これからは気をつけてくれ。」


 リリーアは頷き、恥ずかしさに耐えながら、少し距離を取って寝床に戻った。俺もようやく落ち着いて、ベッドに潜り込んだが、なかなか眠れなかった。


 その夜、森の静けさに包まれながら、俺はリリーアとのこれからを考えた。彼女の真剣な思いと、俺自身の気持ちをどう整理すべきか。時間をかけてゆっくりと向き合っていくしかないのだろう。


 翌朝、陽が昇ると共に、俺たちは地図のバツ印の場所に向かう準備を始めた。リリーアの笑顔を見て、少し安心した気持ちになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る