第6話 『棚からぼた餅』で得た戦果 後編
ー空母『エンタープライズ』艦橋内ー
空母『エンタープライズ』の艦橋内では、艦長が、ワイルドキャット隊に指示を出していた。
「まだ、敵の偵察機は遠くには行っていない筈だ。何としても、撃墜しろっ!!」
そんな艦長に副長が懸念内容を話した。
「大丈夫でしょうか?もしかしたら、既に我々の位置は知らされているのでは・・・。」
だが、そんな副長に艦長は鼻で笑いながら答えた。
「安心しろ。奴等の無線機は安定性が悪く故障しやすい。何しろ、日本製だからな。」
だが、見下し発言に艦長は後悔する事になる・・・。
一方、5機のワイルドキャットの追撃を躱しつつ、『羽黒』の偵察機は打電を続けていた。
やがて、2機のワイルドキャットが『羽黒』の偵察機を射程距離に収めようとしていた。
『羽黒』の偵察機のパイロット達も、ここまでかと諦め掛けた時、2機のワイルドキャットが別方向から機銃を受けて墜落していった。
何があったのか戸惑う『羽黒』のパイロット達は、すぐに理解した。
零戦隊が駆け付けてくれたのだ。
彼等の電文を受け取った遠藤が、第二次攻撃隊の目標を空母『エンタープライズ』に変えて出撃させていたのだ。
これにより、『羽黒』の偵察機を追撃していた5機のワイルドキャットは、零戦隊によって全て撃墜されてしまった。
危機を脱した『羽黒』の偵察機が誘導する形で、第二次攻撃隊を空母『エンタープライズ』のいる海域に導いた。
第二次攻撃隊のパイロット達からしたら、空母への攻撃だったから、テンションも最高潮に達していた。
もはや、空母『エンタープライズ』の命運は尽きたも同然だった。
零戦30機、九九式艦爆30機、九七式艦攻(雷装)30機で編成された第二次攻撃隊の猛攻により、巡洋艦1隻と駆逐艦5隻は大小さまざまな被害を受けたが撃沈は逃れる事が出来た。
だが、空母『エンタープライズ』は魚雷5本、爆弾7発を受けて海中に沈んでいった・・・。
少し離れた海上では、パラシュート装置を浮き輪代わりにしていた羽田が、友軍の猛攻で沈んでいく空母『エンタープライズ』の最後を見届けていた。
「俺の迷子が切っ掛けで、空母『エンタープライズ』を撃沈とはな・・・。」
正直、羽田の心中は複雑だった。
それでも、羽田が齎した大きな戦果だった。
そんな羽田の元に『羽黒』の偵察機が羽田を救助する為に接近しつつあり、そんな『羽黒』の偵察機に羽田は強く手を振った・・・。
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