第4話「討伐」
「やっと、神剣になる試験に受けれる準備が整いました。」
ヤクモがいうと、志保も父も嬉しがった。
「おめでとう。で?どうやるの?」
「志保ちゃんにも手伝って貰わないといけません。」
「まさか、私が、蛇を倒すの?」
「そうですよ。」
「無理。」
志保は、蛇って訊いただけでも怖いのに、それをヤクモで倒すなんて。
「想像すると、ヤマタノオロチの蛇って、結構大きいのでしょ?」
「はい。」
「無理無理。」
「でも、そうしないと、私は、神剣になれません。」
志保は、とても怖がっていた。
ヤクモは、志保の前に来て。
「志保ちゃんは、私を持ってくれていればいいの。動くのは私がやりますし、志保ちゃんに蛇を近づけさせません。」
「でも。」
「大丈夫です。私が、志保ちゃんを守ります。」
そこまで言うと、父は。
「ヤクモさん、大丈夫なんですね。」
「はい。」
「だったら、志保、やってあげなさい。」
父の一言で、志保は怖いけど、がんばってやってみるといってくれた。
志保は、父が好きだから、父の言葉は勇気が持てる。
「では、早速、いきますよ。」
ヤクモは、志保に自分を握る様に言い、志保はその通りにすると、急に宙に浮かんだ。
そう思ったら、その場から消えた。
父は、消えた娘を見て、明日の学校へ休むという連絡をしなくてはいけないなって思っていた。
志保は、目を開けると、そこに広がっていたのは、白い空間だ。
ヤクモの説明によると、ここは、白の神様がいる空間で、ここで試験を受ける。
白の神様、白神は白の味方をしている神様で、希望や前向きな方面にも味方だ。
「木刀、ヤクモか。」
「はい。試験を受けにきました。」
白神は、指を鳴らすと、志保の後ろから八つの蛇が現れた。
八つの蛇は、それぞれ赤、黄、青、緑、紫、橙、白、黒の色をしていた。
見た目、黒の蛇が怖いと感じた。
ヤクモは、ワクワクしていたが、志保は、恐怖になっていた。
一般的な蛇だけでも怖いのに、こんな色んな色の蛇であり、大きさは自分の身体よりも大きい。
一飲みで食べられてしまうのではないかと思う位、大きかった。
「では、ヤクモ、この蛇を倒して見せよ。」
「はい。」
すると、ヤクモは志保の身体を操る。
「志保ちゃん、しっかりと私につかまっていてね。」
「つかまっていてっていっても……きゃ。」
まず、赤蛇は、志保を目掛けて攻撃を仕掛けて来る。
大きな口を開けて、上からくる。
攻撃を避けて、身体を小さくしゃがみ、ヤクモは上を向く。
そして、志保の脚力を使い、バネの様に跳ね上がる。
すると、今来た蛇の喉にヤクモが刺さった。
その瞬間、赤蛇は固まっていた砂が指で押さえると散るみたいに、崩れ去る。
ヤクモは、休まずに次に来た青蛇の攻撃を避けるが、青蛇は赤蛇と違って冷静だ。
上からではなく、正面から襲い掛かってきた。
逃げる場所は、右左しかなく、ヤクモは左に避ける。
すると、青蛇は自分の身体をそのまま左に動かした。
範囲としては、大きく、逃げ場がない。
すると、ヤクモは地面に突き立てた。
青蛇がヤクモに当たると、そのまま青蛇が来た方向へ、体重をかける。
すると、木刀は包丁の様に切れて、青蛇の身体が切れた。
瞬間、赤蛇と同じく、崩れ去る。
次に、緑蛇が来た。
緑蛇は、自分の身体を左右に動かして、迷わせる。
どちらに避けたらいいのか。
ヤクモも同じに左右に動き、同じ動きになった時、志保の身体を重りにして、身体を後ろに反った後、反動で前に真っ直ぐ飛んでいく。
緑蛇の頭を貫き、緑蛇が崩れ去る。
志保は、息が上がっていたし、汗も沢山出ていた。
だが、構わずにヤクモは、次の黄蛇を見る。
黄蛇は、自分の身体を撒いて、そのまま、上から押しつぶすかの様に落ちていく。
ヤクモは志保の身体ごと、あえて黄蛇の中に入り、周りが暗くなる。
しかし、ヤクモはその中で回転を始めた。
志保の身体が、回転に耐えきれなかったが、ヤクモを離さなかった。
ミキサーの原理で、とぐろをまいている黄蛇を中から攻撃し、黄蛇が崩れ去る。
流石に、志保の身体が持たないから、白神が少しの休憩を出した。
「志保ちゃん、大丈夫?」
ヤクモが息が上がり、汗を流して、しかも回転したから目が回っている志保に声を掛けると。
「やりすぎ。」
その一言だけであった。
白神は、様子を見て、志保に浄化と回復の魔法をかけた。
志保の身体に、白い光で包みこむと、疲労している場所を重点にして、光が集まり、回復が出来れば、光が少しずつ志保の身体に溶け込む様になくなっていく。
順番に良くなっていく志保。
呼吸をしやすくなった志保に、もう一度、ヤクモが声をかける。
「大丈夫?」
「ええ、あんなに辛かったのに、なくなっているわ。」
「よかった。……気持ちが先走り過ぎて、ごめんね。」
「はー、そんなに興奮していたの?」
「だって、神剣になるための試験だよ。こんなに気持ちが昂るなんて、もう最高ですよ。」
「そう。でも、お手柔らかにね。私の身体、体育系じゃないから。」
「はい。」
それから、十分休むと、再開となった。
志保は、ヤクモから手を離さないかもしれないが、先程の行動で離しそうになっていた。
白神に頼んで、ヤクモと自分の右手を包帯で巻いて貰った。
これで離れないだろう。
そんな装備をした志保が一歩前に出ると、目の前に現れたのは、紫蛇だ。
紫蛇は、攻撃をしかけてこなかった。
志保が一歩前に出ると、紫蛇は後ずさる。
そう、攻撃はしないが、近づくと距離を取る。
どう、攻略が必要かと志保が考えていると、ヤクモは考えずに速さで勝負をしようとしていた。
「志保ちゃん、覚悟はいい?」
「え?」
ヤクモは、自分を地面に立てて、その場で回り始めた。
そして、丁度良い遠心力になった時、地面から離れる。
すると、志保の身体ごと、紫蛇に向かって飛んでいく。
紫蛇は、反応が遅れて、志保ごとヤクモは、紫蛇にぶつかり、頭の上に乗った。
ヤクモはそのまま、紫蛇の頭を刺すと、崩れ去った。
次に現れたのは、橙蛇である。
橙蛇は、速かった。
速く、上からバンバンと音を立てて、叩いてくる。
虫が何かに叩かれるって、こういう気分なんだろうな。
攻撃する隙がない。
だが、ヤクモは攻撃をしてくるなら、それを利用するまでと思い、自分の身体を立てた。
すると、橙蛇は、勢いが余って、自分からヤクモに刺してしまった。
そして、崩れ去った。
次は、黒蛇であった。
黒蛇は、見た目も怖く、目が赤く光っていた。
しかし、攻撃は緩やかで、今までの速く攻撃してきた蛇よりも、本当にゆっくりであった。
だから、調子が狂い、黒蛇に抱き着かれて、身動きが取れなくなった。
ゆっくりだからといって、速く攻撃をしてしまい、タイミングが悪く、捕まった。
志保の身体は、とても苦しそうにしている。
ヤクモは、黒蛇に何度も攻撃を仕掛けるが、傷がつかないし、崩れ去らない。
段々と志保の体力が奪われていく。
すると、黒蛇は志保の様子を見る様に、顔を向けて来た。
その隙を見切り、ヤクモは自分を振り下ろした時、黒蛇の目をかすめた。
力が緩み、志保が解放された。
休みなく、ヤクモは攻撃をし、黒蛇の身体に突き刺した。
黒蛇は、崩れ去った。
志保の身体を見ると、息が乱れている。
急に、身体に空気が通った為、咳もしている。
「ごほ、ごほ。」
「志保ちゃん、大丈夫?」
「すこ…まって…。」
すると、白神は、最後の白蛇に休憩をいい、志保にまた、回復魔法をかけた。
志保が回復すると、白神は白蛇に乗って。
「さあ、最終面のボスを倒して見せよ。」
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