かけがえのない友達と恋人

天川裕司

かけがえのない友達と恋人

タイトル:(仮)かけがえのない友達と恋人


▼登場人物

●川田幸弘(かわた ゆきひろ):男性。20歳。大学生。

●十和田信二(とわだ しんじ):男性。20歳。大学生。幸弘の友達。

●金山優斗(かねやま ゆうと):男性。20歳。大学生。幸弘の友達。

●小中島未来(こなかじま みき):女性。20歳。大学生。幸弘の彼女。可愛い。

●有田浩二(ありた こうじ):男性。20歳。皆とは別の大学。幸弘の幼馴染。イケメン。


▼場所設定

●D大学:一般的な私立大学のイメージで。幸弘達4人が通っている。

●街中:ビデオ電話する場所や幸弘の自宅含め一般的なイメージでOK。


NAは川田幸弘と金山優斗でよろしくお願いいたします。

(イントロ+メインシナリオ+解説:ト書き・記号含む=3123字)



イントロ〜


皆さん、こんにちは。

今回は友達付き合いの中で起きた意味怖エピソード。

一体どの辺りが意味怖なのか?

その辺りを含め、皆さんも一緒に推理してみて下さいね。



メインシナリオ〜


(NA:幸弘で)


俺の名前は川田幸弘。

今年20歳になる大学生だ。


俺にはいつも一緒に遊んでる仲間がいる。

十和田信二、金山優斗、小中島未来、そして有田浩二だ。


この中の未来と俺は付き合っている。

今年交際1年目で、まぁ関係は良好だ。


そして浩二は俺の親友で、

他の3人とはまだ遊んだ事がない。

信二と優斗と未来は俺と同じ大学だが、

浩二は別の大学に通ってる。


浩二と俺は昔からの幼馴染で、

別々の大学に行ってもずっと仲が良かった。


でもそのうち浩二も仲間内に引き込んで、

みんなで一緒に遊ぼうなんて思っていた。


ト書き〈ビデオ電話〉


浩二「よぉー♪ちょっと久しぶりだったなぁ、元気にやってるか?」


幸弘「ああ♪相変わらずさ!お前も元気そうでよかったよ。最近大学は真面目に行ってっか?」


この日、俺と浩二は久しぶりに電話していた。

最近ちょっと会えない日が続いていたんだ。


浩二も俺もレポート課題が忙しく、

それに浩二は早めの就職活動にも繰り出していた為、

なかなか会える時間が作れなかった。


俺は俺で未来とちょこちょこデートもしており、

その意味でも他の友達と遊ぶ時間を作れなかった…

と言うのもある。


そしてこの日から又、

俺と浩二は頻繁に連絡し合うようになっていった。


(未来とデート中)


そんなある日。

未来とデート中に浩二から電話が入ってきた。

またビデオ電話でお互い話す。


浩二「あ、すまねぇ!デート中だったか?」


幸弘「はは、別に構わねえよ♪」


未来「どうも〜♪初めましてー」


この日が未来と浩二の初顔合わせとなった。

お互い印象も良く、打ち解けるのは早かった。


浩二「幸弘〜、お前こんな可愛い彼女持って幸せだなぁ♪絶対幸せにしてやれよ〜」


幸弘「わ、わかってるよそんなことー」


未来「あは♪」


でも未来はそれほど率先して喋らなかった。


大体気に入った相手なら乗り出してでも喋るのに、

浩二に対してはどこか遠慮したような姿勢だ。


初めに「どうも〜」なんて挨拶したその後は、

ずっと俺の背後に隠れるように画面を覗いていた。


別に怖いとか嫌だとか、そんな様子は無いようだ。

ただ何となく、何気なくそうなっただけ…

みたいな様子。


ト書き〈またビデオ電話〉


そんなある日。

今度は5人全員でビデオ電話をした。


優斗「よっほー♪」


信二「幸弘ォ〜、お前早く教科書返せよな〜」


未来「フフ言われてる〜、早く返したげなさいよ」


幸弘「わかってるよ〜」


浩二「初めましてー、幸弘の幼馴染やっとります浩二って言いま〜す♪」


未来「あは♪変な自己紹介〜」


信二「あ、よろしく♪」


優斗「よろしくどうもぉ〜」


そしてこの日。

初めて浩二はビデオ電話を通じて自己紹介し合い、

これからどんどん一緒に遊んでいこう!

なんて勢いでみんな喋り合っていたんだ。


浩二は俺のビデオ電話で一緒に映り、皆と喋っていた。


わざわざビデオ電話?

なんて言う人もあるかも知れないけれど、

まぁ初めのクッションとしては丁度良い。


俺達4人はいつも学校で会ってるからいいけど、

浩二にとってはみんな初対面だ。


浩二には少し昔から奥手なところがあって、

それならビデオ電話で1つクッションを置き、

しんどくなればその場でおさらば…!

そんな形を取る方が良いと俺と2人で決めていた。


未来とは1度だけ顔見知りだから、

まぁそれなりに問題なく打ち解けるだろう。


あとの2人とも気が合えば打ち解ける。


これを機に5人仲良くいつでも遊べるようになれれば良い、

そんなふうに俺は期待していた。


ト書き〈数日後〉


それから数日後。

俺達5人は大学で落ち合う事にした。

もちろん浩二も一緒。


浩二が通ってる別の大学は、うちの大学からそんなに離れてない。

まぁ大目に見ても電車で30分ほどだ。


浩二「よぉみんな!やっと会えたねー」


それまで結構ビデオ電話で喋り込んでいたから、

もう会う時になれば気構えも無くスムーズだった。


信二「やぁ、ビデオで見るよりハンサムだなぁー」


優斗「学部は何なの?」


未来「これからもよろしくね〜♪」


そんなこんなで楽しく喋り合い、

俺達は近くのレストランへ向かった。


そこでやんややんやと喋り合い、俺達は更に打ち解けたんだ。


(皆と別れて帰り)


浩二「いやー今日は楽しかったよ。ありがとな、こんな機会作ってくれて♪」


幸弘「はは♪よせよ、気持ち悪いって」


浩二「はは♪」


皆と別れ、俺は浩二と2人で帰っていた。

浩二と俺は家の方向が同じ。

皆は逆方向で、結構遠かった。


お互い離れた所に住んでいるから、

会えない時はいつもビデオ電話。

最近はツールも便利になって本当に有難い事。


ト書き〈事件〉


(NA:優斗で)


それから僅か数日後の事だった。

幸弘が自宅アパートで殺害された。


手がかりになるものは何も無く、

犯人は依然として判らない。


事件が起きてすぐながら、

警察も手がかり探しに奔走しているようだ。


その日、俺は信二と未来と3人で大学にいた。


俺達は学食前のロビーに集まり、

「どうしてこんな事になったんだ…」

この話題でずっと持ちきりだった。


信二「なんでこんな事に…!」


未来「グス…グス…」(泣いている)


優斗「大丈夫か未来…?」


未来「グス…うん…」


未来はあれからずっと泣いていた。


そんな時、未来の携帯が鳴った。

ビデオ電話ではなく普通の電話のようだ。


信二「ん、誰…?」


未来「グス…浩二君からだ…」



解説〜


はい、いかがでしたか?

意味怖には気づかれましたか?

それでは簡単に解説します。


今回は5人の関係を踏まえた上で、

ラストに注目すればすぐに解ったでしょう。


ストーリー上、

浩二と他の3人はそれなりに打ち解けたようですが、

実際、誰とも携帯番号の交換はしていません。


ビデオ電話していた時も、

浩二は幸弘の携帯電話に一緒に映り皆と喋っています。


幸弘と喋る時だけは、

浩二も自分の携帯から電話をかけていました。


ストーリーでは浩二が自ら3人に電話をかける、

ビデオ電話をすると言う描写は無かった筈です。


つまり浩二の携帯電話の電話帳には幸弘の番号はありましたが、

他の3人の番号は無かったという事。


それなのにラストの場面では、

未来の携帯に浩二から電話がかかります。


そう、2人はいつの間にか幸弘に隠れる形で、

お互いの連絡交換を済ませていたのです。


その理由は…

お互いが相思相愛の関係になってしまったから。


未来が初めに浩二を見て余り喋らないように控えていたのは、

幸弘にその感情・秘密の気持ちがバレないよう隠す為。 


未来は初めて浩二を見た時、すっかり惚れてしまいます。

浩二も同じく未来を初めて見たとき惚れていました。


そして幸弘が邪魔になり、

2人で結託して殺害していた訳です。

なんとも短絡的ながら、幸弘にとっては恐ろしい結末になっていたのです。


そしてこれにはもう1つの隠れた意味怖がありました。


それは…

いっときの感情で衝動的に動き、

それまで愛した人でも簡単に殺せてしまうと言うその現実。


現在の世情では…

「衝動的な事件」

「なんでこんな事が…」

「いっときの感情に任せた凶悪な事件」

というものがそこかしこに散らばっており、

そんな凶悪な悲劇を止められないのが現状です。


このような世情の動きを、

人間が本来持ち合わせた理性でどう引き止めるのか?


「その具体的・現実的な方法が分からない…」

と言う点に今回のストーリーに隠された

最大の意味怖があった訳です。


短絡的な事件・浅墓な事件というものは非常に多く、

それをどうすれば人間の世界から払拭できるのか?


もしそれを解決する事ができ実行に移す事ができるなら、

その人はギネスブックにも載る資格のある

偉大な人物として崇められるでしょう。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=U_pcXdqd7cY&t=3s

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