第3話居酒屋

山崎、金子、大原は並んで帰宅中である。

「山崎あの、クソ部長どうにかならんか!」

「そうだな、金子。下剋上してみるか?」

「下剋上、良い響きだ」

「おいっ、お二人さん、一杯やりましょうか?」

「お、良いねぇ。大原、お前は一番フケ顔だ、バッグ置いてコンビニで酒買ってこい!」

「……フケ顔はねぇよなぁ」

「事実だ。おい金子いくらある?」

「1200円くらい」

「じゃ、オレの金と合わせて1230円か!これなら、ほろ酔い買えるんじゃねぇのか?」

「……山崎、30円しかないのか?」

「ま、この前、新しい矢を買ったから今月はもう金無いんだ。これで、ツマミとほろ酔い買ってこい大原」

「わ、分かった」


大原はコンビニへ向かった。

5分後、大原はレジ袋を持ってきた。

3人は、人気の無い公園の東屋で街灯を灯りに酒宴を始めた。


「よっ、大将」

「君らは、金子君と大原君。今夜は何がいいかな?」

「モモサワーのロックで」

「大原君は?カルピスサワーの水割りで。あっ、大将も今夜は飲めよ」

「お客さん、どうもありがとね。じゃ、乾杯だ」


かんぱ〜い


「ねぇ聴いてよ、大将。うちの上司最悪なんだよ」

「どうしたんだい?」

「無理やり、嫌らしい言葉言わせるんだ」

「大原さん、そりゃパワハラと言うものでは」

「そうなんですよ、大将。うちは雑用しかさせてもらえなくてね。あんな会社、辞めようかな?」

「金子さん、まだ、逆転勝利がありますよ!そのクソ上司を買収してしまえばいいだよ」

「どうやって?」

「上司には彼女さんがいるだろ?」

「はい」

「こっち側に取り込むんですよ!」

「た、大将!あんは、天才か?」

「私はこれでも、マサチューセッツ工科大学出身の居酒屋の大将ですから」


「でも、どうやって?」

「女は甘いお菓子で買収出来るのです」

「大原、聴いたか?甘いお菓子だとよ」

「金子、甘いってのは無限大にあるからどうしよう」

「お二人さん。ずんだ餅で買収してみては?」

「おぉ〜、スゲーや大将は。マサチューセッツ工科大学卒だけある。で、ずんだ餅って何?大原」

「おいおい、ずんだ餅も知らねぇのか?良くそんなんで、女を買収しようとしてるもんだぜ。ずんだ餅ってのは、フルーツポンチだ」

「フルーツチンポ?」

「ちがう、フルーツポンチ!」

「あ、あぁ〜、分かった。楽勝」

「ねぇ、大将、フルーツポンチはずんだ餅なんだよね?」

「お二人さん、察しが良いじゃないか!」 「明日は、白玉粉を練って茹でて来ればいいんだな」

「オレはフルーツ持ってくる。スイカで良いよな?大将」

「何でも良いよ」


早速材料を買いに行くことにした金子と大原。

「大将、ちょっと、スーパー行ってくるわ」

「な〜に、オレは気長にここでやってるさ」


3人は翌日、材料を準備して家庭科室の冷蔵庫にずんだ餅と勘違いしたフルーツポンチを入れて冷やした。

彼らの買収工作は果たして成功するのか?


良い子は、お酒は二十歳から。


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