第28話鬼とJKと増えた居候
翌日朝。
玄関まで風呂敷背負ったタヌキを見送りに出ている。
「本当によいんじゃな?イツキ。きっと長は怒るぞ?」
「いいって言ってんだろ。てか怒ってんの俺だからな。ちゃんと謝れって伝えとけ。」
「本当にいいの、鬼?嫌われてんのに婚期逃したら一生結婚できないよ?」
「誰が嫌われてるって決めたんだよっ」
そりゃだって、追放の理由…
まぁいいや。
鬼はほっといてタヌキに飴でも持たせようかな。
「ほらタヌキ、コレ。」
「むむ?まさか餞別か!?」
「は!?どうしたんだ木葉!!お前体調悪いなら寝と」「エサだよ。帰り道に食べな。」「通常運転だった。」
パァ!って顔から一転。なんか複雑そうな顔して包みを受け取るタヌキ。
嬉しくないのかな?美味しい飴なのに。
「まぁええわ。ほんじゃの、イツキ。女子も餞別感謝するぞ。」
「はいはい。気をつけてね。」
「俺には言わねぇクセに。」
「またいつでもおいで。お土産持って。」
「ぬかりないのう…じゃぁの!」
パタパタって手を振って出ていった。
はぁ、騒がしい夜だったな。
ーー夜
ピーンポーン。
「あ?なんだこの時間に。おーい木葉ー!」
「なによ。」
「インターホン見てくれ!」
ジュゥゥ!ジュゥゥ!って美味しそうな音鳴らしてキッチンから声をかけてくる鬼。
今は19:30。いつもよりは少し早めの夕食になる予定。
この前のママの襲撃があって以来、結構いいインターホンつけたんだよね。だから見るだけなら別にいいけどさ。
ーパッ「あれ、誰もいないけど。」
「はぁ?なんだそれ。イタズラか?」
まさかの?この私を動かしておいていたずら?
いい度胸だね、今度鳴ったらとっ捕まえて逆さ吊りの刑だ。
「ふふ。」
「ゾワッ。あー…間違いかもしれねぇけどな。ほれ!もう少しで出来るぜ!」
「はいはい。…?」
さてソファに戻ろうかなって後ろ向いた先に見える窓。そこに…
あれ?なんだろ。何か黒いモコモコが映ってる??
ーバァァン!!
「ビックゥッ」
ギュゥゥ!!
「うお!?木葉!?」
びっくりしたっ。
びっくりしすぎて思わず鬼に飛びついちゃった。
何あれ?なんか生き物?
ムカつくな。捕まえて捌いてやらなくちゃ。
「あの窓の。捕まえて明日の夕飯の材料にする。」
「驚いたからってやり過ぎだっ!ここにいろよ、俺が見てくるから。」
背中ポンポンって叩かれて火を止めた鬼がまっすぐ窓に向かってく。
なんだろ?なにがいるんだろ。
ーガララ!
「あ?ヤシチ??」
「うぅっうっ…」
「は?なんでよ?」
鬼の言葉に驚いてすぐに駆け寄ってみたけど。
たしかにタヌキだ。
なぜ?里に帰ったんじゃないの?
「どーしたんだよ、ヤシチ。長に怒られたか?」
「当たり前じゃぁぁ!沢庵の件はわいがついた嘘何だからお前が機嫌とってこいって追い出されたんじゃぁぁ!!」
「あらまぁ。それは自業自得。」
うわぁぁんってちょこんと座ったタヌキが泣いてる。
これはこれで可愛い。撫でたくなる。
「そりゃ残念だったな。どうすんだ?野宿か?」
「できんわアホが!!わいは家から出たことなんかまだないんじゃぞ!!」
「そうなの?じゃぁうち来ればいいじゃん。」
「「え?/は?」」
あ。2人がこっち向いた。
そんな変なこといった?
特に言ってないはずなんだけど?
「なに。行くとこないんでしょ?タヌキ。ならうちにいればいいよ。」
「はぁ!?なんでだよ!!そこまでする必要ないだろ!?」
「はぁ?むしろなんでダメなの。居候だってすでに1匹いるのに。」
「うぐっ」
押し黙った。そりゃ自分だって居候なんだから何も言えないよね。
まぁ今は家政婦みたいなものだけど。
「って事で。帰れるまでうちにいな、タヌキ。」
「お、、女子…そんな優しい心があるのになぜ鬼畜なんじゃ。」
「居たくないなら出ていってもらってけっこう。」
わぁわぁ!って慌てて両手前に出してる。
私に口で勝とうとかおこがましいのよ。
さてと。タヌキも部屋に上がったしご飯出てくるの待とうかな。
━━
「むっっす」
2人きりの時間が減ってむくれる鬼でした。
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