第27話鬼とJKと寝どこ

現在おやすみ前の21:00。


もう眠いのにちょっとしたトラブルが発生している。


「はぁ…いいでしょ別に。」


「よくねぇ。絶対ダメだ。」


「ワイは鬼畜と言えど女子と寝れて幸せじゃぞ。」


そう。このタヌキの寝床問題。


さぁ寝ようと思ってタヌキ抱っこしてリビングを出ようとしたら焦った顔の鬼に肩掴まれて止められたんだよね。


どうしたのかと思えば”それ、どうすんだ?”ってタヌキ指さして聞いてくるし。


一緒に寝る。って答えたら断固反対って頑なに拒否されてる。


なんでよ。こんな子狸一緒に寝ても害はないでしょ。


「うるせぇこのスケベタヌキ。とにかくダメだ、部屋余ってんだろ?そこに寝かせろよ。」


「いやよ。こんなちょうどいいマクr…ん゙ん。ぬいぐるみ。抱き心地良さそうじゃない。」


「ワイは枕にされるんか??」


キョトン。って抱っこしてる腕の中から私を見上げるタヌキのお腹が気持ちよくて、プヨプヨしちゃう。


寝心地いいと思うんだよね、このお腹。


ザ・脂肪。


「気のせいだよタヌキ。そうだ絵本でも読み聞かせてあげるよ。カチカチ山のタヌキね。」


「それはタヌキが最終的に泥舟で沈められる恐ろしい話じゃなっ!!なぜそれを選んだんじゃ!?」


「あんたも逆らうとどうなるか…身に染みる話でしょ?」


「ヒィィッ!?イツキ!!この女子は本当に人間なんじゃろな!?」


「人間だ一応。おら、さっさと離せ木葉。」


「なんでそこまでして阻止したいのよ。イヤイヤ期か?」


てか一応って。100%混じりっけなしの人間だっての。


この鬼、そんな言うなら寝ている鼻に山わさびでも練り込んであげようか??


「んなわけあるかっ!!ったくよぉー、言わねぇ方がいいと思ったが…」


「なにを?」


「あー。ヤシチ、お前タヌキじゃなくて人型になれよ。」


「む?よいぞ??」


人型??は?


ーバフン!


「ーへ??」


「女子、ずいふん小さいよのう。」


「こいつ人間だと18歳くらいなんだぜ。」


た、タレ目イケメン。


ふわっとした煙が晴れたらめっちゃ身長高いタレ目のくるくるヘアー(茶髪)が私に抱きついてる。


これホスト顔だ。


え???てかあの子狸が18くらいって、じゃぁこの鬼…


「ジジイやん。」


「それは俺の事だよな!?そりゃ人間からしたらすげぇ年上だけどよっ」


「イツキは齢50の中堅鬼じゃからな。人間だと相当年寄りじゃろ。」


「腰が”>”こうなる日も近いのか。」


「ならねぇよっ!!妖怪の中じゃ全然若いんだからな俺は!!」


「へぇ?」


「てか木葉から離れろヤシチ!!」


グイーッ!!てタヌキ引っ張って無理やり引き離そうとしてる鬼。


そうか、この鬼そんな年寄りだったのか。


もっと労るべきかな。


いや、いいや。鬼だし若いって言ってるし。


「えー。年頃の人間の女子は柔らかいしいい匂いじゃから離れとうないんじゃが。」


「妖怪は基本変態なのかな?」


「女子もええじゃろ?さっきまで枕にしようとしてたくらいじゃもんな。」


むぎゅぅぅってしがみついてなんかスンスンされてる。


変態だ。これは見まごうことなく変態だ。


「ブチッ))…ヤシチ。これが最後だ。」


「む?イ、イツキ??」


「離れろ。」


サッ!!!て。


すごい、鬼の一言でキュウリ見た猫みたいに飛び退いた。


ーグイッ!!「!?」


ぎゅー。


「ふーっ。…その。さっさと寝ろよ木葉。」


「いや、寝るの邪魔してたのあんたでしょ、鬼。」


なんだろ?ブスくれた鬼が無言で引き寄せて抱きしめてきた。


とりあえずムクれてるのは伝わってくる。


タヌキもポン!て音鳴らして子狸に戻っちゃったし。


どうすればいいかな、この空気。


「とりあえず変態防止に盛り塩でもしておこう。」「やめとけバカ!」


バカとは何事か。


決めた、鬼が寝た時に枕の横に塩漬けにした沢庵大量に置いとこ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る