第25話鬼とJKと狸

カァカァ…


うん、いつもと同じカラスの鳴く声が聞こえてくる。


今はもう夕方。暑さもだいぶマシになっとは言えまだ暑い日が続いているからクーラーは欠かせない。


え?あのタヌキがどこに行ったかって??


ーシャッ!


「…」


「もう少しでタヌキの干物ができるわ。」


日光がよぉーく当たるベランダに干してますが?


カーテン開けると降ろせってうるさいから閉めてたのよね。


さて、白状するかな。


「ほらタヌキ。今朝の事ちゃんと説明しなさい。」


「ぅ…うぅ…飲み物…」


「残念ね。白状するまでなにも無し。」


「ひ、人でなしじゃ!!人間の女子はこの見た目にメロメロになると聞いておったのに!!」


「一部でしょ?私あんたみたいな生意気なガキ嫌いなの。ほらほら、白状したらお水だよ〜」


「はっ…はぅぁっ」


「ゴクゴクゴク。っふぅ。」


「お、鬼じゃ…こやつは人の皮を被った鬼じゃぁぁぁ!!!」


ってなんだ、まだ騒げる元気あるんじゃん。


さすが妖怪…タフだね。


あーあ、結構泣いちゃって水分足らないのに大丈夫なの?


「おーい木葉、、まだ吊るされてたのかヤシチ。いい加減言った方がいいぜ?コイツには俺たちの普通が通じねぇから。」


「うっうぅっ!ワイじゃ!!割ったんはワイじゃっ!!どうじゃこれで満足じゃろっ」


「あー…、余計な事を」


本当に。


憎まれ口叩かないと白状できないの?


それならそれでいいけど。


ースタスタスタスタ


「あっおいっ!女子どこに行く!?」


「木葉?」


ーパカッ


たしか冷蔵庫にあれがあったはずなのよね。


えーっと…あ、あった。


「生意気すぎるから矯正する。」


「え。ってお前、その手のヤツは…」


「なんじゃ!?なにするつもりじゃ!?」


「タバスコ。」


「棒読みじゃんかっ!!せめて楽しそうにだせよな!?」


「これ、鬼用に作ってあるから唐辛子倍で粘度がとても高いんだよね。」


「そ、それをどうするんじゃ…」


「ニッコリ。こうする。」


ガシッと吊るされてるタヌキが動かないように押さえ込んで、瓶を顔面の真上で傾けてみる。


2人からヒィィィ!?って悲鳴が上がってタヌキがまた泣きながら謝ってきた。


「ごめんなさいごめんなさい!!ワイが悪かったんじゃ!ふざけてイツキに飛びかかったら割れてしまったんじゃぁぁ!!」


「うん、よく言った。知ってたけどね。」


「はぅっ!?」


実はちゃんと鬼から事情聞いてる。


だからなんで割れたかとか悪意はなかったとかそんな事とっくに知ってるよ。


でも生意気だから矯正したかっただけ。


「だから言ったろ、ヤシチ。コイツは鬼をも超える性分だってよ。」


「分かってるのによくそんな事言えたね。まぁいいや、ほらタヌキご褒美の水。」


「みっみずっ!!ゴクゴクゴクゴク!!!」


ぷはぁー!って、あら。いい笑顔。


最初から素直に白状してればこんな目に合わずに済んだのにね。


さてと、タヌキを降ろしたところで夕ご飯食べよ。


ーヒョイッ「!?な、なんじゃ!?ワイはもう悪いことしとらんぞ!?」


「抱っこしただけでしょうが。夜ご飯、食べるでしょ。」


「え?」


「いらないの?」


「い、いるが…いいのか?」


「??なんでダメなのよ。」


あんな嘘つく生意気なガキのクセに変なところで遠慮するんだ。


そりゃちゃんと非を認めたんだから出すよ。


まったく、お腹空いたしバカタヌキ連れて早く食べちゃお。


―――


「むっす。」


ヤシチにはちゃんと飴がある木葉に少しむくれる鬼だった。

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