第22話鬼とJKと強盗
「はぁ、やっと解放された…」
重たい空気に耐えてやっと自室に戻れたらなんだか気が抜けちゃった。
バフン!てベットに倒れて明日からどうしようって考えが浮かんだけど、たぶんママは明日にはいないだろうから大丈夫でしょ。おそらく。
「鬼とママ、折り合い悪そうだったなぁ。ふぁ…ねむ…」
ママがすごくけ嫌いしてるように見えちゃうんだよねぇ。以外と使えるやつなんだけど。
まぁしょうがないのかな…私言ってなかったし、居候いるって。
拗れちゃったのはもうしょうがないからとにかく寝よ。
なんとかするでしょ、鬼が。
―――
―
ーガサゴソ…ガサゴソ…
…なんだろ…なんか聞こえる?
誰かいるのかな。
「ねむ…誰かいんの?」
「!」
あ、いる。誰だ?
頭がボーッとするな。目もかすんで…
ーゴシゴシ
「…。いや、マジで誰。」
「…」
目こすってハッキリ見たやつは黒帽子に黒マスクつけた不審者でした。
何事?どうやって入ったの?
てかなんで私の部屋?なにもなくない?
自分で言うのもなんだけど、かなり殺風景よ?
「とりあえず殺虫剤まいとくか。」
ブシャァアァア!!!!
「ぎゃぁぁぁ!!なんで!?ここはもっと悲鳴あげるだろ!?」
「だって害虫…」
「なんて娘だ!?どんな教育受けてきたんだよ!!」
いぎゃぁぁあ!!って両目抑えてゴロンゴロンしてる。
目に入ったのか、ドンマイ。
てか教育って…泥棒する奴に言われたくないわ。
「おいなんだよ今の悲鳴!」
「あ、鬼。」
「コイツ以上に!?近寄るな!!」
「なにがあったんだ…」
サッ!と防御の姿勢で構える強盗と殺虫剤を片手に持った私。
それを見て深いため息ついて口がへの字になってる鬼の図はなんておかしな事か。
「コイツに!!殺虫剤をぶっかけられたんだよ!!」
「それは相手を間違えたお前が悪いな。だってコイツ、鬼畜と理不尽のハーフだぜ?そりゃそうなる。」
ーブシャァァァ!!!!
「ゔぐぁ!?なんだこれ?!」
「キ○チョール」
「なんでまた俺も?!」
誰が鬼畜と理不尽のハーフだっての。
嘘ばらまく口は塞がなくちゃ。
ついでに強盗も。
そろそろ弱ってきただろうし警察呼ぼうかな。
「ケータイケータイ…あった。緊急連絡110番。」
「!!このクソ娘!!ここまでされて警察なんか呼ばれてたまるかよ!!」
「なっ、木葉ぁっ!!」
「え?ー!」
プルルル、プルルルって聞こえるケータイに気を取られてたから気づくの遅れちゃった。
強盗がバット握って私の前に大きく振りかぶってる。
あ、ヤバい。さすがにアレは死ぬ。
ーガァアン!!!
「っ(絶対死んだっ)」
「あっ、ヤベつい…」
「〜〜…。あ、痛くない。」
痛覚死んだ?
「ってぇ…おい、大丈夫かよ木葉」
「鬼?な、ちょっと鬼!あんた…」
私の前に抱きしめた姿勢のまま項垂れてるのは鬼だ。
いつの間に目の前に?
それに抑えてる肩…まさかあのバットを?
「なんで、、」
「なんでもなにもお前顔面やられてたろ。」
「そりゃそーだけど。ひ、110番…」
「おぉ、珍しいな。木葉が動揺してる。しなくていーぜ、ひゃくとーばん。」
「「え?」」
うわ、強盗と声がダブった。
なんでよここは喜ぶとこでしょう?そりゃ驚くけどさ。
「呼ばなくていーけどよ、さっさとこの場を出てけよ。それと”二度とこんな事考えんな”って伝えとけ」
「ーっ!し、知ってたのか?」
「俺はな。ちゃんと伝えとけよ」
「え、なに?どういう事?」
ひどく驚いてる強盗とすごい呆れてる鬼。
意味わかんない。どゆこと?
てか警察呼ばないって、鬼じゃなくて仏じゃん。
「お前は知んなくていいぜ木葉。盗人、お前何も取ってねーんだろ。 」
「あ、あぁ。」
「だったらさっさと消えな。」
「…ぜ、絶対呼ぶなよ。」
「おーよ。」
あ、強盗が気まづそうに逃げてく。本当に警察呼ばないなの?
ジロって睨むだけで何考えてんやら。
「なんで呼ばないのよ警察。」
「あいつも被害者だからな。もう寝よーぜ、疲れた」
「はぁ?被害者?てか寝ようぜって、手当してないでしょうが。救急箱持ってくるから待ってなさいよ。」
「いらねぇよ、そんなもん。鬼はこれくれぇなんとも…っ。どうした?」
「…」
なんともって、フルスイングのバット受けてて何言ってんの?
大丈夫なわけないじゃん。
「私に逆らうなバカ鬼。ジッとしてなよ。」
「って、悪の組織のボスみてぇなセリフ!!はぁ。わーたよ、早くしろよ。」
「私に命令するな。」
上からものを言うなんて早いっての。
早く手当して、私も早く寝ようかな。
―――
「だ…抱きしめそうになった…」
泣きそうな木葉の顔に顔を真っ赤にした鬼でした。
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