第19話鬼とナンパとJK
「いってぇ…」
「自業自得。」
私がパラソルで鬼のお腹殴ってからすごく静かに過ごせてる。
その殴られた鬼は横に座ってお腹抱えたままだけど。
それにしても熱いな…
「手加減しろよな。俺じゃなけりゃ病院送りだぜ。」
「あんたじゃなければあんな発言しないわよ。それより喉乾いた、飲み物買ってくるけど何か飲むの?」
「…え?大丈夫か?」
「は?なにが?」
パタンって本を閉じて飲み物聞いてみたら口をポカンと開けて心配(?)された。
大丈夫かって、大丈夫じゃないから買出しに行くって言ってんの。熱で頭やられた?
「いや、お前から買出しに行くって…。熱でやられたか。」
「じゃぁあんた買ってきなさいよ。3分以内にね。」
「嘘だろ!?腹痛てぇって言ってんのに3分で買ってこいって鬼畜か!?鬼畜だった!!せめて10分にしろよな!!」
「自己完結のスピードえぐ。10分ならいいんだ。」
あいててってまたお腹抱えだしたし。バカだわ。
そこまで痛がられるとミジンコほどの罪悪感は湧くのよ。
「よっこいしょ。変態はほっといて買い物行くわ。ちゃんと荷物見張っててよ。」
「まだ引っ張るかそれ。」
当たり前でしょまったく。
たしかここから歩いて5分くらいのとこに海の家あったはず。いいの売ってるといいんだけど…。
――20分後。
「いや、遅くね?」
木葉の奴が買出しに行くって言ったきり20分は経った。
いくらなんでも遅すぎるだろ。
なんかあったのか?
「はぁ、しょうがね。行ってみるか。」
あいつの事だから近くの海の家だろ?
歩いて5分…いや、木葉歩くのおせーから多分8分くらいはかかってるかもな。
もしかしたら戻ってきてる途中かもしんねぇけど。
「なんだ?騒がしいな。」
殴られた腹さすってゆっくり歩いてりゃ海の家が見えてきた。
さすがにやられた時はキレるかと思ったが、あんな真っ赤な顔でワナワナしてっとこ見たら怒れねーって。
…可愛かったし。
「なぁーいいだろ?俺達と遊んでも。」
「この人達は日本人なのだろうか。言葉が通じなさすぎ。」
「君可愛い顔してんだから笑ってみてよ。高校生?友達と来てんの?」
「…。」
あぁ、そういう事か。ナンパに絡まれて戻って来れなかったんだな。
2人組か?チャラそーな奴らだな。
さっさと木葉回収するか。
「グイッ))なぁなぁ。そんな冷てぇ態度とんないでさ、行こうぜ?きっと楽しいから。」
「ちょっ、離してくんない?興味ないしタイプじゃないし香水臭いし。警察呼ぶわよ。」
「強気なのもいいね。ますますー《ガッ》あ?」
こいつ…なに勝手に木葉抱きしめてんだよ。
さっきから目の前でベタベタと。腹立つんだよな。
「鬼?ちょうどよかった。コイツらおっぱらってぇ…怒ってる?」
「なんだよ、彼氏か?悪ぃな彼女は俺達が貰うぜ」
「…ざけんなよ」
ーギリ!ギリギリギリ!!
「い゙!!いってぇ!!なんだコイツ!?すげぇバカ力だ!!」
彼女じゃねぇし。勝手に変な妄想すんな。
それに肩握っただけで悲鳴あげるような奴にやるつもりもねぇっての。
てかいい加減離れろ💢
「さっさと離せよ。腕もぎるぞ。」
「ひっ、くそ!!行くぞ!」
「お、おう」
バシ!て強めに俺の手を払って走って逃げて行きやがった。
チンピラが。調子乗ってんじゃねぇっつの。
「ねぇ。」
「あ?あ。木葉、大丈夫か?」
「私は平気。その、、助かった。」
「おう。怪我してねーんだよな?」
「うん。ありがとう、お礼に…」
「!?」
お礼?…木葉が俺に?これだけの事で?
いやいや。きっとお礼参りだろ?木葉だし。
今度はなにされんだ…。
「ドキドキドキ《ドサ》ー??なんだコレ。」
「買った物あげる。戻るよ、私達の荷物置いてきてるんでしょ。」
「はがっ!?お礼ってコレか!?悪魔めっ」
なんてやつだ!?お礼ってこれ、パシリじゃねえぇか!!正気か!?
いや、でもこれが木葉か…。
「ふっ!クスクス。いいじゃん、せっかく来たんだし。行くよ。」
「ーっ。ちっ、お菓子よこせよな。」
「物による。」
物によるって。
まぁいいか、笑った顔見れたしよ。
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