第12話鬼と容赦のないJK

1週間後の現在。


私は職員室に呼ばれている。


「…」


「…」


「…」


なぜかって?


1週間分の嫌がらせの内容を保存した音声データを生放送でぶちまけたからよ。


とても面白かったわ、どんどんと血の気が引いていく教師に嫌がらせの張本人達。


やってた内容も過激だったから、生放送なのに1度止められたしね。


だからかさっきからずーっと学校に抗議の電話が鳴り響いてる。


「日暮さん、なにか言うことは。」


「面白かったです。」


「違うでしょ!?謝りなさいって言ってんの!!」


「え、なんで?」


校長が汗流しながらダン!て机叩いて物凄い勢いでツッコミ入れてきた。


ここに集められてるのは嫌がらせの張本人とその親。


そして差別発言をバッチリ撮られていた担任と私となぜかあの鬼だ。


私がWhy??と手を上げて首を傾げたら嫌がらせしてきた奴の親がブチ切れた。


「なんなのあなた!?こんな事して私の娘は心に傷を負ったのよ!?土下座じゃ足らないわ。慰謝料よ慰謝料!!」


「落ち着いてお母さん!日暮さんも謝って!!」


「だから。なんで?嫌がらせを受けていたのは私。大切な物も壊されて教科書はぐちゃぐちゃ。担任からもありえない対応と発言を受けて傷ついているのは私なんだけど。」


「あなたが喧嘩売ったんでしょ!?私の娘は悪くないわ!!」


「はてさて。何をしたのやら。」


キーキーキーキー怒っていてまるでサルね。


あ、そうか。猿の子は猿か(笑)


「ひ、日暮さんがぁ、いきなりカバン置いてきてぇ…ぐす、私ちょっと席借りてただけなのにぃ」


「ほらみなさい!!あなたが原因じゃない!!」


「謝って日暮さん!!」


「あのさ。私の席なのになんで私の荷物置いちゃいけないのよ。ホームルームだって始まるのに、私は座ることも何もできず荷物もって立ってろって言いたいの?」


「でもぉ、いきなりバン!て置くことないじゃん。すごく怖かったぁ」


はぁーぁ。泣き真似の上手いこと。


顔隠してるけどニヤけてるの見えてるからね。


馬鹿な子だな。


「なんて乱暴な子なの!?それだけの事で目くじら立てるなんて!!お里が知れるわ!!」


「って事をラッピングでもして返してあげたいわ。お里が知れるわね。例えそれが原因だとして、今回の事は犯罪よ。」


「はぁ!?」


あーあ、頭悪くて嫌になっちゃう。


こんな事までぜーんぶ説明してあげなくちゃいけないなんて。


たしかココにあれが…


ーゴソゴソ


「はい、どーぞ。これを見てみてよ。」


「なによ?これ。汚い机の写真ね。」


「それ、嫌がらせ初日から撮っていた私の机の写真。どう?もはやアートでしょ?」


「え?」


バサ!と見せた写真はどれもこれもやり過ぎな私の机の惨状。


1枚1枚写真を手に取っては汗を流して何も言えなくなっているキチ母。


校長もさすがに何も言えないみたい。


お口アングリ(笑)


「で?なんでしたっけ。謝れでしたっけ?」


「その…」


「土下座じゃ足らなくて慰謝料でしたっけ?」


「ご、ごめんなさい…。ほらあなたも謝りなさい!!」


「なんで!?ママなら私の味方してよ!!」


「できるわけないでしょ!?ここまで完璧な証拠も抑えられているのに…今度はこれをばら撒かれるわよ!?」


「うっ」


あっはは。悔しそー。


目の前で写真撮ってたのにムキになってエスカレートさせるからよ。


ほんと頭悪い。


「謝りたくないよーで。バラされたいんだ?」


「はぁ!?カースト最下位のブスのクセに調子に乗んなし!!てかあんたが喧嘩売ったんでしょ!?謝れよ!!」


「止めなさいバカ!口だけでもいいから謝りなさい!!」


「いや!!」


強情ねぇ。


最後のチャンスも棒に振って。


どうやったらこんなにひん曲がった性格になるのかしら?


「あーあ。もういいや。」


「え?じゃぁ」


「ネタばらし。この会話、動画サイトで生放送されてまーす。」


「はぁ!?なにやってんのあんた!?」


「私、やられたら倍の倍で返さないと気が済まないの。よかったわね、世の中にはやってはいけない奴もいるって勉強になって。」


コメント欄には次から次へとすごい発言が滝のように流れてる。


クラスメイト性格悪すぎとか配信者こえぇーとか。


こういうの無くすのはここまでするしかない。とか色々。


てか誰よ、配信者こえぇーってバカなこと打ってる奴。


謝罪のチャンスだって与えたのに棒に振ったのは向こうよ。


「あ、校長についてもコメント来てますよ。”被害者に謝れしか言わないのクズ””こんなのが校長とか世も末”ですって。」


「いや、それはその…」


「ま、それは置いておいて。ごめんなさいは?」


「ぅっ…ぐす…」


あらやだ。泣き出しちゃった。


泣いても喚いても解決しないでしょうに。


泣けば勝てると思ってるの?


「ねぇ。泣いてても解決しないわ。日暮さんに嫌がらせしてごめんなさい。もうしません。って言いなさいよ。」


「ご、ごめんなさい…」


「セリフが違う。」


「日暮さんに嫌がらせしてごめんなさい!!もうしません!!」


「はい、合格。あんたが壊した私のポーチも弁償しなさいよね。まぁアレ限定品だから10万くらいするでしょうけど。」


「えぇ!?あなたそんなものなんで学校に」


「持ってきちゃいけないの?弁償しないなら刑事訴訟起こすけど。」


「ひっ!し、します!!弁償します!!」


「させて頂きます。」


「弁償させて頂きます!!申し訳ありません!!」


ふん。ざまぁないわね。


コメント欄も大盛り上がりだ。


ダークヒーローじゃんかっけぇだって。


ダークはいらないっての。


―――


「(俺、こいつだけは絶対怒らせないようにしよ。)」


絶対に敵に回さない事を誓った鬼であった。


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