第9話鬼と嫌がらせされるJK

月曜日。


事件はここから始まった。


「…」


クスクスと密かに笑われる声。


朝、登校して私の机に来てみればお決まりのような花瓶に花。


しかも綺麗な菊の花だ。


「もしかして…これがあの社会問題のやつ?」


普通ならここでドキッとするか悲しくなるのかもしれない。


でも私は違う。


「わぁ、私こんな事されるの初めて!へぇ、結構いい花供えるんだ!」


集団行動が苦手な私にはクラスメイトから気にされることってなかったから。


こういうのは見た事あっても体験するのは初めて。


へぇ!意外となんとも思わないものだね!


「すごーい。初体験しちゃった…。はは!記念に写真撮っておこ。」


ーパシャ!


と私がウキウキしてるのが珍しいのか、それとも思惑が外れて呆気に取られてるのか。


用意したであろう、以前の私の机占領してたクラスメイトも周りのクラスメイトもアングリ口を開けてる。


なんて情けない顔。


「(でもそうだなぁ。これ以上エスカレートしたら面倒だから対策打たないと。)」


丁度1週間後には全校集会がある。


先生達は内緒にしてるけど、この時に学校インタビュー系の突撃生放送が来るらしいし。


うるさそうだから休むつもりでいたけど。


「ふふふ…ニヤリ」


いーこと思いついちゃった。


突撃生放送、衝撃的なものにしてあげよう。


最近楽しみな事が増えて嬉しいなぁ。


よし!このまま泳がせとこ。


―――


ー夜ー


「ちょっと出てくる。」


「あ?こんな時間にどこにだ?」


「学校。」


「??」


あれから1度帰宅して家電量販店へ行って。


ホームセンターにも行った。


今の私は準備OK。万全だ。


「ふふ」


「ゾワッ!…人殺すなよ。」


「人聞き悪いわね。私が殺すとしたら1号はあんたよ。」


「サラッと何言ってんだよっ!お前さっきの外道丸出しの極悪人顔分かんねぇだろ!!」


「さぁ?分かんない。とりあえず私行くから。じゃ。」


「行くって…俺もついて行ってやるからちょっと待ってろ!」


「?ついてきてもあんた入れないかもよ?」


だって私が用意した入り口、すごく狭いから。


ついてくるのはかまわないけど。


「そん時はどっか別のとこから入るっての。つーかなんでこんな時間に学校だよ、忘れ物か?」


「ん?ふふ、私今クラスでイジメられてるの。」


「ほぉ。…はぁ!?なんだそりゃ!?」


「初めてだからね。別にかまわないんだけどこれ以上エスカレートしたら迷惑でしょ?だから。」


「殺すのか。」


「お前をな。」


「冗談冗談。んで?なんで学校?」


この男本当に息の根止めてやろうか。


どうどうとか言って調子乗ってるじゃない。


「ったく。私有利に泳がせておくためよ。楽しみだなぁ。」


「イジメって楽しむモノなのか?」


首傾げて何を不思議がってんのかしら。


そんな当たり前の事を聞いて…


正真正銘のバカ?


「頭の悪いサルがいくら集まったって浅知恵なのに。それを恥ずかしげもなく遂行してんのよ?」


「お、おう。」


「レベルの違いを思い知った時にはもう、社会的地位はガタ落ちでしょうね。クスクス。楽しみだわぁ。」


「あぁ、喧嘩売る相手間違えたな…」


本当にね。


さて、話してても時間がなくなる。


ちゃぁ〜んと仕掛けに行かないと。


「ふふ。」


―――


「南無阿弥陀仏」


と合唱し唱える鬼だった。




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