第7話鬼にイタズラするJK

夕方。


帰宅してからはそれはもう楽しかった。


「ぬ゙ぁぁぁ!!!てめっこの女!!なんて事しやがんだぁぁあ!!!!」


「クスクス。」


玄関扉を開けてすぐの真下にネズミ捕りシート置いて、扉を開けたら別のネズミ捕りシートが落ちるように細工して。


ベタァって引っかかった足に慌てる鬼の頭に、またベタァって落ちるシート。


傑作だわ。


ネバネバして取れないでやんの。


「この鬼畜外道め!!」


「何よ貧乏神と疫病神のハーフ。無警戒に扉開けちゃダメって勉強になったじゃない。」


「あんなジメジメした奴らと同じにすんな!!どーやって取んだよコレ!」


「皮膚ごとベリって。」


「鬼より鬼らしいな!!」


あ、鳥肌立ってる。


自称鬼だから鬼肌?


まぁいいや。


それより買い物しなくちゃいけないからコイツこき使わないと。


「そんな事よりさ。夕方の買い物(私の分)を買わなくちゃいけないから同行しなパシリ。」


「そんな事じゃねぇから!!足は靴下犠牲にするけど頭はこれどうすんだよ!!」


「頭皮を犠牲に。」


「キャッチコピーか!?バカヤロウ!!」


うるさいなぁ。


切ればいいのにそんなの。


頭頂部だけチョキーンて。


「やらねぇからな。」


「は?」


「てっぺんだけ切ればいいとか思ってるだろ。」


「…超能力者?」


「お前の考えそうな事だよなっ!!外れろバカヤロウ!!」


「バカバカ言うあんたこそバカじゃない。こんな簡単な仕掛けに引っかかって。だから冤罪なんか着せられるのよ。」


「ぐっ」


「警戒心育てな能天気」


くそぉぉ!!って悔しそう(笑)


しゃがみ込んで取ろうともがいてるわ。


さて、時間もったいないしこのくらいにして。


たしかこれは食用油で落とせたはずなのよね。


ーパカッ


「はっ!今度はなにすっーぶわ!?」


「食用油。」


「油ぁぁ!?なんでっ」


「せーのっ」


ーブチッ


「んぎゃぁあ!…ってあれ?」


「まぁ多少髪、抜けたけど。ほら、取ってあげたんだから心から感謝してお風呂行きなさいよ。さすがにそのヌルヌルと買い物行きたくないし。」


「なんだよ…こんな簡単に取れんのかよ。はぁ取れてマジでよかった。あんがとー、さて風呂風呂」


「本当に感謝した。アホだ。」


ルンルンでよかったーとか言ってるけど。


怒らないのか。


これは驚きだ。


「出るまで待ってるか。宿題でもしてよ。」


数分もすれば出てくるでしょ。


「あーさっぱりした。」


「驚異の5分。ちゃんと洗ったの?」


「あ?当たり前だろ。てかメシ買いに行くんだよな、髪乾かすから待ってろー。」


「腕何本あるんだし。インスタント男」


聞こえてないみたいで髪乾かしに行っちゃった。


しょうがない、靴履いて待ってよ。


どーせすぐ来るだろうから。


―――


「思ったより髪スベスベになったな。」


髪質がよくなって喜ぶ鬼であった。

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