鬼とJK

第4話鬼と食事するJK

ジュゥゥ、ジュゥゥ、

「じー。ジュルリ」

「あのさ。鬱陶しいから座っててよ。目障り」

「意外と手際いいんだな、お前」

意外とってなによ。そりゃ何年も自炊してればご飯ぐらい作れるっての。

うるさいから唐揚げ揚げてればグゥグゥお腹鳴らして後ろ立つし。

そんな興味深い？

料理って見たことないのかしら。

「はい、できた。運んで」

「あ？」

「運んで。」

「なんで俺が。」

「は？まさか手伝いもしないでご飯にありつけると思ってたの？なに様？」

「うっ。」

「手伝わないならいいけど追い出すから。」

「わーたよ運ぶよ！！」

ぐぬぬってボヤいてできたご飯を運んでいくこの男。

言うこと聞くなら最初から言うこと聞きなさいよ。

めんどくさい性格してるな。

「準備もいいわね。食べたら帰りなさいよ」

「帰るとこねーんだっての。いただきます。」

「そういう設定もういいから。モグモグ。」

パン！と手を合わせて唐揚げから食べ始めてる。

いただきますは言えるんだ(笑)

「じー。」

「今度はなに。」

「なんで”いただきます”言わねーんだよ。」

「？」

「メシ食う前には普通言うだろ？言ってから食えよ。」

いただきます？

そう言えばもう何年も言ってないな。

最後に言ったのいつだ？

「…。いただきます…。」

「なんで不思議そうなんだ。」

「言ったでしょ。文句あるなら出てって。」

「ヤダね。全部食ってねーしお前コレ食いきれねーだろ。残すの勿体ねぇ。」

「残ったら冷凍保存するから気にしなくていいわよ。」

「文明の力を使いやがって」

発展してんだからそりゃ使うわ。

こんな大量に唐揚げ作ることないから冷凍庫パンパンになるだろうけど。

てかコレ、本当に食べ切れるの？

揚げ物をこんなに食べたら胃もたれするでしょ。

「ガツガツガツガツ！！」

「…。」

「ムシャムシャムシャムシャ！」

「…よく食べるわね。」

「うめぇからな！見かけによらず腕はいいんだな！」

「コイツ明日の肉用に捌いてやろうかしら。珍味！鬼肉！なんて売ったら売れそう。」

「その発想はどこからくるんだよ…」

口いっぱいに唐揚げ詰め込んでうへぇって言ってる。

すごい、あれだけあった揚げ物の山が半分は減ってる。

お腹壊してもしーらない。

「さてと。私はカレー食べようかな。」

「やっぱカレーあるよな！？この匂いそうだと思ったぜ！」

「まだ食べるの？」

「いいだろ？1人で食うメシより2人で食うメシだ！」

「…」

そう言えば誰かと食事するって小学生以来かも。

いや、中学の給食以来か。

そもそもこんなに誰かと話すこと自体何年ぶりかな。

「俺大盛りな！ニカッ」

「肥えても知らないから。あぁ、そうなれば出荷すればいいのか。」

「そんな肥えるかよ。お前二言目にはトゲを挟んでくるよな。」

「は？なんの事？」

「…マジで言ってるのか？それが素なのか？」

「？」

「すげーひねくれた性格だな。クラスメイトですら話しかけてこないだろ。」

「なぜ分かった。」

「だからそこは外れろよ。」

解せぬ。

ここまで見抜かれるなんてとても解せぬ。

お箸を止めてオイッてツッコミもらうのも解せぬ。

「困ったことないから別にいいよ。話したところででしょ。」

「冷めてるなぁ。そんなんじゃ人生つまんねーだろ？人の一生なんか短けぇーのに。」

「…。別に。つまらなくなんかない。まぁ楽しくもないけど。」

ふーんって。

興味無いなら聞くな。

ムカつくからコイツのカレー、青唐辛子と七味とジョロキア入れてやろ

「はい、どーぞ。」

「お、きたきた！なんだ？けっこう刺激的な匂いだな。」

「そう？普通のカレーの匂いよ。いただきます。」

「今度はちゃんと言うんだな。いただきます！モグ！」

「じー。」

「ーっ！！ぅぼェ！！なんだこれ！！クソうめぇ！！」

「いや効かないのかよ。こわ。」

バチくそ激辛カレーなのに。

コイツバカ舌だ。

むせながら涙流して食べてる。

こわぁ。