6話:玉の座りが悪い
梅雨。じめじめ
私。モヤモヤ
やだ、私なんか嫌な感じになってる……。陰湿な感じだ。
一時間、また一時間と時は過ぎていく。星空さんからは連絡はない。何か事件に巻き込まれているのかも、不安感が高まる。
カランカラン、お店の扉が開くたび、期待して顔を上げても星空さんは来ない。もうコーヒーは残っていない。
カランカラン、今度こそなんて思いながら顔を上げてみる。あれ?来たのは星空さんの先輩である山口さんだった。
「ん?こんにちは、鈴木さん。制服姿じゃないってことはバイトが終わったとこ?」
「えぇ、星空さんと待ち合わせていたんですけど。連絡が取れなくて」
「そうなの?星空だったら、事務所にいたよ。あー、そっか。今は作業中だから、携帯は近くには置いてないかも」
「そうだったんですか」
無事ならよかった。けど、じゃあ普通にすっぽかされたってこと?今度っは安堵とモヤモヤが入り混じる。
「そういえば、山口さんは休日ですか?」
「いや、俺は今年の花火大会の知らせを持ってきたよ。前回の評判良かったからアルバイトどう?就活で忙しい感じ?」
「いえ、参加させてもらいます!就活は忙しいけど去年から楽しみにしてたので」
「去年から?」
「えぇ、まぁ。前回の花火大会がとても楽しかったので」
去年の星空さんとの約束は他の人に話すと茶化されそうだったので、二人の秘密ということにしていた。でも、星空さんはちゃんと覚えているのかな。
「じゃあ、俺はこれで。今度はお客として来ますね」
「はい!ありがとうございました」
山口さんから受け取ったチラシを店の目立つ位置に張り付ける。
その後、山口さんに聞いたのか待ち合わせの約束に気づいた星空さんが急いで謝罪に来た。話し合いの結果、今度食事を星空さんが奢ることで決着した。私としては食事の予定が出来て嬉しいけど、星空さんはどう思っているんだろう。女の人として見てくれてるだろうか。ただの友達なのかな?
就活が上手くいってないせいか、思考がどんどんネガティブになってしまう。何もやりたいことが決まってなかった前よりも気分は前向きだけど、それでとんとん拍子に就活が上手くいくわけではない。今の所、就活は全敗だ。気合いを入れ直さないと。
花火大会までに決まるといいな。その時はちゃんと報告しよう。
パンパン!両手で頬を叩く。
よし、モヤモヤはここまで。今は私にできることをやろう。
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